表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/25

第13話

「知り合い? そうだな。彼女は、私の初恋の女性だからね」


兄さんの眉が、ぐぐっと寄せられる。


「そして、親しい身内でもある」

「ええっ!?」

続くジェイの言葉に、僕は思わず声を上げた。


「? 何だ、その驚きようは」

「だって……」

義姉さんの身内って、女系の印象が強いからなぁ。


義姉さんのお母さんって跡取り娘で、お婿さんを迎えたんだよね、確か。

で、義姉さんは一人っ子で、結婚の時にいろいろ揉めて。

義姉さんの従姉妹いとこは四人姉妹で、話に聞いただけだけど、結構強烈な人たちだったような。

上から、カオルコ、ミドリコ、サクラコ、ユカリコ、だったっけ。うち三人は兄さん達の結婚式に来てたらしいけど。遭遇しなくてよかったと、つくづく思う。


男の身内って、……お父さんや叔父さんの話は出てたけど。義姉さんが初恋ってことは、同年代か年下だよね。

うーん……聞いた覚え、ないなぁ。

兄さんに知られると厄介だから、言わなかったとか?


なんて考えているうちに、兄さんの表情が、だんだん物騒になっていくんですけど。


「……出ていけ」

兄さんが、ジェイのーー義姉さんの腕をガッと掴む。

「メアリの中から、即刻出ていけ!」

「そうしたら、空になった器におぞましい輩が入り込んで、好き勝手始めるぞ」

「何だと!?」

「そうさせたくないから、瑞姫は私に頼んだ。君が納得するまで、この器を埋めていてくれと」

「……メアリが?」

「ああ。そのままにしておくと、どんな素性の魂が入り込むかも分からないんだ。殺戮者なら、身近な人間から血祭りにあげるだろうし、色情狂なら、そこらの男を捕まえて交わり始めるだろう」

「……!」

愕然とした表情で、兄さんはジェイから手を離す。


「器であっても、君が愛してくれたものを、そんなふうに使われたくないと、瑞姫が泣くから。だから私は、ここにいるんだ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ