終末の章
翌朝、竹内は飛び起きた。
夢を見たのだった。
彼は確かに昨日見たヴィジョンのその先を起床時に覚えていた。
よりいっそう樹海への旅の決意を固める竹内。
彼の胸には好奇心が募るばかりだった。
その好奇心とは裏腹に、
樹海に迷い込むやもしれぬというリスクももちろん考えていた。
そこで竹内はありったけの食料をつめこんだ大荷物を背負ってそこにやってきた。
自然や俗を離れたところにもっと自分を高めてくれるものがあると信じた彼は、
その危険も顧みずに早速樹海の中へと入っていった。
鬱蒼と茂った多くの木々が自分を出迎えた。
枝垂れるツタなどを時折払いながら奥へ奥へと進んで行く。
昔漢文に読んだ仙人の存在なども頭の片隅に置き留めながら、
自分の霊感を高める探検を続けてゆく竹内。
しばらく歩き続けると彼は切り株の上に荷物を置いて食事を取ることにした。
すると突然、彼はどこからかおいしそうな臭いがするのをその鼻で覚えた。
臭いの元を突き止めようと、竹内はもう一度荷物を背負いなおして歩き出す。
見つけるのには困難を要したが、数十分の後にやっと見つけた。
見るとそこには一つの集落のようなものが形成されている。
どこか見覚えの有る風景だった。
同志達を見つけたような気分になった竹内。
隠し切れなかった心の荷が少し降りたような気がした。
突然、彼は自分の体が軽くなったのを覚えた。
それも気にせずに彼は夢中でその集落の跡を漁った。
しかし人間の姿はどこにも見当たらない。
不思議に思った竹内はその不可思議さに神秘を覚え興奮する。
そして彼はさらにその歩みを進めてゆく。
時折眼を瞑り昨夜見たヴィジョンを思い起こしながらどんどんと進んでゆく。
無数の樹木を掻き分けて、奥へ奥へと入ってゆく。
その時、突然彼は我に返った。
その後の彼の行方は、誰も知らない。




