9話 好感度100パーセント
「お前、ウィルフレッドのなんなんだ!?」
「い、義妹ですが」
「そうじゃない! 奴にとってお前が、どんな存在なのかと聞いているんだ」
ラファル王子に腕を引かれながら、お兄様からは声が届かないくらいに離れたところまできてから、そう問い詰められた。
お兄様が平気そうに元の場所にいるので、きっと危険なことはないのだろう。
ゲームでも意外と悪い人ではなかったのを信じてみる。
「えーっと、養い親家の、血のつながらない意地悪なキョウダイでしょうか」
あら、それってなんだかシンデレラの意地悪な義姉みたい。
お兄様にとっての自分を客観的に考えてみて、少し凹んでしまう。
「そんなわけあるか! あれほどデレデレのウィルフレッド、初めてみたぞ。お前が傍にいることが、奴のためにならないのなら俺も考えさせてもらう」
我ながら自分たちの関係をぴったりの表現で言い表したと思ったのに、ラファル王子は納得されていないご様子だ。
「あのぅ。失礼ながら、なぜお兄様のためにならないことを、ラファル王子が気にされるのでしょうか」
意外と悪い人でないことを知っているので、恐る恐る聞いてみる。
「それは俺が、ウィルフレッドが好きだからだ!」
おおおー、一切戸惑うことなく、気持ちよく言い切った。すごい。さすが自信溢れる俺様王子様だ。
「それは……恋愛的な意味で?」
「うーん、恋愛的に好きかというとそこまでは? とにかく顔が好きだな。あの銀髪にアイスブルーの冷たい目で見られるとゾクゾクする」
おっと。これには同意するしかない。私も前世でお兄様を好きになった最初のきっかけは、ビジュアルがドタイプだったからだ。
「それに冷静で頭がよくて仕事ができるところもポイントが高い。俺は男女関わらずそういう人間が好きだ」
分かる。私もそういう頭脳派キャラが好きだから。
そこで言うと宰相令息のパーシバル様が一推しキャラになるかと思っていたけれど……意外にもそうはならなかった。
「でも一番は性格とのギャップだな。あれほどクールな見た目で、頭もキレる男が、口では冷たいことを言いながら、一度懐に入れた人間には実はすごく優しい。あのたまに見せる優しさがクセになる」
ガシッと王子の手を掴む。気が付いたら掴んでいた。ほぼ無意識だ。
「な、なんだお前……」
「分かります! 一言一句、全て! そこまでお兄様の良さを分かっていただけるなんて、嬉しいです」
「おお! 分かるか。しかしなんかムカつくな。自分のほうが先に分かっていましたみたいな言い方で」
「いえいえ滅相もないです。人を好きになるのに、順番など関係ありませんから」
「まあそれはそうだな。しかもお前は義妹なんだから、張り合っても仕方がない」
「ラファル王子のご慧眼には感服いたしました」
「ふふん、そうだろう……ってオイ! まさか泣いているのか!? どこで泣く要素があった!?」
「だって……」
だってラファル王子は、ゲームでも孤独で誰も寄せ付けなかったお兄様を、側近にしていた。
もしかしたらゲームの中の王子も、お兄様の本当の良さを分かって、側近にしてくれていたのかもしれない。
誰も味方がいない、絶望のエンドしかないと思っていたゲームのお兄様のことを。
そう考えると嬉しくて仕方がなかった。
「だって嬉しくて……」
「……ふん。お前のウィルフレッドへの愛は本物のようだな。あまり気に食わないが……そこは認めてやらんことはない」
「ありがとうございますぅ……」
何度もゲームをやり直していた頃の私に伝えたい。
ウィルフレッドにも味方はいるよって。
「またちょくちょく見張りにくるからな! 茶でも用意して待っていろ」
「はい! また是非お兄様について語り合いましょう」
固く握手を交わして、ラファル王子は去っていった。
――最後のほうのあの感じ。好感度50%くらいはいっているかもしれない。
ちなみに私のラファル王子への好感度は、100%だ!(親愛の意味で)




