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悪役義兄との子、育てます  作者: kae
第3章 事務官長

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5話 魔術訓練開始

「初めまして。これからあなたがたに魔法を教える、カレンと申します。よろしくね」

「よろしくお願いいたします! カレン先生」

「おねがいします~」


 結界石も安定してきたということで、今日から毎日少しずつ他の魔法を習い始めることになった。

「カレンは魔術学院の講師もしていて、魔法を教えるプロなんだ。彼女になら安心して習っていい」

「はい! 頑張ります」

「じゃあ僕はいくから。カレン、二人をよろしく頼む」

「お任せください、セレファス様」


 セレファス様が魔術の教師にと紹介してくださったのは、30~40代くらいの女性の魔術師だった。

 エネルギッシュでハキハキと話す方で、つられて私まで大きな声で話してしまう。

 私が習うのと同時に、エヴァンジェリンも一緒に魔法の基礎を教えてもらうことになっている。

 セレファス様曰く、エヴァンジェリンにもなにかしらの魔力を持っているだろうとのことなので。


「えーまずヴィヴィアンさんは、結界石の作製と修復の腕はセレファス様のお墨付きなのね。そして護身用に移動式の結界を張れるようになりたいと。うん、似ている魔法だからすぐにできるわ。護身用だったら、雷魔法なんかもおススメよ。掴みかかったりされた時、ちょっとビリっとくるだけで大抵の人は近寄ってこなくなります。そんなに適正がなくてもできるわ」

「なるほど!」

 前世でいうスタンガンみたいな感じか。

 カレンさんの説明に、うんうんと頷きながらメモをとる。

「エヴァンジェリンは、最初は魔法でできる色んな遊びをしてみましょう。やっているうちに、なにが適正か分かってくるから」

「やったー」

 エヴァンジェリンも、一目でカレン先生を気に入ったみたいだ。


「エヴァンジェリン。今日はどのおもちゃで遊びたい?」

「わあ、いっぱい」

 テーブルの上に、ぬいぐるみやクレヨン、積み木など沢山のおもちゃが並べられている。

 これが全部、魔法に関係するおもちゃなのだろうか。

「エヴァ、キラキラがいい!」

「いいわね。ではノラさん、これで一緒に遊んであげてください」

「はい」

 エヴァンジェリンが選んだのは、なんだかキラキラとした粘土のようなものだった。粘土というか、スライムみたいな?


「それではヴィヴィアンさんは、私と両手をつないでください」

「両手をですか?」

「そう。これは移動結界の練習ですが、少し危険なので始めのうちは私とだけ練習してください」

「分かりました」

 カレンさんが両手を上に向けて差し出すので、その手の上に自分の手のひらを重ねる。

「では右手から、結界石に魔力を流す要領で、少しずつ私に魔力を流してみて」

「はい」

 いつも結界石に力を込める時を想像しながら、少しずつ魔力を流してみる。

「こらこら、いきなり多すぎよ!」

「すみませんっ」

 カレン先生に注意され、今までの半分になるくらいに魔力を調整する。

「うん、いい感じ。これで結界石を作るのと同じように、他の人に魔力を込めて、強化することができます」

「そんなことができるんですか」

「魔力の器がある相手だけね。普通の人に魔力を流したら、受け入れられなくて体調を崩してしまう。人によって受け入れられる器も違うから、注意すること。じゃあ次は左手のほうから、私の魔力も流してみるわね」

「はい」

 カレン先生の言う通り、私の左手からは、カレン先生の魔力が流れてくる。

「まあ! ヴィヴィアンの器はとっても大きそうね。自分の魔力だけでそんなにあるんだから、当然かしら」

「そんなことが分かるんですか?」

「ええ、もちろん。逆に相手の器の大きさが分からないと、危険だもの」

「確かにそうですね」

 そう話す間にも、右手から魔力を流して、左手から魔力が流れ込んでくる。

 カレン先生との間で、グルグルと魔力が巡回しているのが分かる。


「目を閉じて。魔力も自分の一部だと思って、感じとってみて」

 魔力も自分だと思って……カレン先生に流し込んだ魔力が、その先でどうなっているのかを感じてみる。


 ――あ、なんだか魔力がいっぱい溜まっているところがある。リンゴくらいの大きさかしら。だけどまだ半分くらい、スペースが空いている。

 ちょっとだけ魔力を流し込む量を調整してみる。

 リンゴの魔力が減る量……私に流れ込んでくる量よりも、カレン先生に流し込む量のほうが、ちょっとだけ多めになるように。

 ……溢れたらどうなるんだろう。リンゴが破裂しちゃったら、まずい気がする。

 じゃあ9割以上は埋まらないように……、うん、いい感じ。

 ぐるぐるぐるぐる。


「はい! 今日はここまで。お昼休憩にしましょ」

「え……」

 カレン先生に言われて目を開ける。

 もうお昼休み? だったらいつの間にか、2時間くらい経っていたことになる。

「あ! エヴァは……」

「楽しそうに遊んでいましたよ」

 カレン先生が指さす方向を見てみると、エヴァが先ほどのオモチャで遊んでいる。

 なんだかエヴァの周囲全体が、キラキラと輝いて見える。

「おかあさま、みて~」

「まあ綺麗!」

 エヴァがキラキラの粘土で、お花や星など、色んな物を作っている。

 そしてそれぞれが、赤かったり青かったり、パチパチしたりキラキラしたりと違っている。

「この粘土は最初はただのキラキラした透明なんだけど、流す魔力の系統によって、反応が変わるのよ。このおもちゃ程度の反応だと力の強さは分からないけれど、エヴァンジェリンは色んな系統が少しずつ使えそうね」

 カレン先生がそう言いながら、一番大きな丸い粘土を持ち上げる。

「あー、それは……」

 バチバチバチバチィ!!!!!

「きゃあ!」

「カレン先生! 大丈夫ですか!?」

 ただの透明な丸い物体が、カレン先生が持ち上げた途端に、大きな音を立てて光を放つ。

 驚いたカレン先生が投げ出した後も、地面でバチバチと、音を立てている。

「これは……雷? エヴァ。これどうやって作ったの?」

「パチパチ、いれられるだけいれたー」

「あらそうなの。エヴァは雷系統がだーいぶ強そうねぇ」


 エヴァの意外な魔力の才能が、さっそく判明してしまったのだった。



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