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皇女が信頼する従者は、間もなく目を覚まし、フェリシアはその胸で号泣した。
「私ごときに、治癒を使っていただいたのですか……」
「当然のことですわ。それに、レーヴがエリクサーを譲ってくれたのです」
正確には、アンナリーズがマスターオークの黒灰石から作りおいてあった物だ。
ユスティナは、レーヴにぼんやりとした目を向けたが、そこに感謝の輝きはなかった。
「中隊長。馬車を呼びに戻ろうと思うんですが。また襲撃される可能性はありますかね」
「なぜ――私に問うのです」
「いえ、何となくです。ご意見をお聞かせいただけますか」
「そうです、ね。敵の正体は不明ですが。シルバーオークをそうそう集めることは、困難でしょうね」
「この場に殿下と二人になりますが、安全ですか?」
その質問の意味を察したのか、彼女は目を伏せ、少しの時間をおいてから返事をした。
「ええ。大丈夫です。私がこの身に賭けて、お守りいたしますから」
その言葉にウソはないように思えた。
もとより、皇女だけであれば、これまで、いつでも手にかけることはできたのだ。
「では、しばしお待ち下さい」
二人の視界から十分に離れたあたりで、体を浮かせた。




