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9-2

 翌日は、ヘンドリカの部屋を二人用に模様替えすることで、一日が過ぎた。

 日が沈んだあと、彼女に導かれ、姿を見せたその母は、髪の色と顎の形がそっくりの女性だった。娘の年齢から逆算すれば、五十代くらいだろうが、心労のせいか、さらに十は老けているように見える。

 当主以外で、事情を知っている使用人は、執事とレーヴだけ。

 強めの香水で、獣の臭いはごまかすことができる。

 症状の進行度合いにもよるが、二人の部屋は二階ということもあり、当面は誰かに気づかれることなく生活できるだろう。

 石を実際に取り出すまでには時間がかかるだろうが、それでもヘンドリカにとって、心の負担は軽くなったのだと思う。


 それからしばらく、彼女がジルドの申し出を受けたことを知った。

 レーヴの知識になかったことが一つ。

 帝国では、婚約の儀として白蝶貝という二枚貝を使うらしい。二人の名前を記した紙を、光のアビリティで二つの殻に刻印し、結婚するまで互いに相手の名前を持ち合うのだそうだ。

 フリッツが屋敷へ呼ばれ、人生で初めてだという、その儀式を無事に遂行した。

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