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テューダー家に戻ったのは、次の日の未明だった。
暗がりの中でも、周辺の民家とは作りも大きさも明らかに違ってはいることはわかったが、それでも、辺境伯の建物の半分以下の広さだ。
アンナリーズは、その日、実家に泊まるのだと言って、そこで別れることになった。
屋敷まで、徒歩でも鐘一つほどの距離。馬車で送ると言われたが、丁重に断った。
帰り道、これからすべきことを考えるためだ。
今回、男爵が戦う相手は、おそらく王国に侵略している連中なのだろう。
帝国は、サーチャーを帯同させるだろうか。霊石を外して、テューダー家の援護をすべきだろうか。
ルノアならなんと答えるだろう。
あれこれ思案したが、決断するための情報が足りず、結論を出せないまま帰宅した。
男爵が鳩を飛ばしていたようで、辺境伯はずっと起きて待っていてくれたようだ。
今回の行軍には、彼も参加しなくてはならないらしく、急ぎ、カトリアにも戻るよう伝えたという。
名目上は、偵察任務とはいえ、獣鬼を対人戦闘に躊躇なく使う相手だ。全員が無事に帰投し、これまで通りの平穏な生活を続けられる未来図を、想像することは困難だった。




