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それから半月ほど、夜の練習で、風と光はどうにか使えるようになったが、独学ではそれが限界のようだ。あるいは、そもそも、火と、その二つ以外のスタイルが備わっていないのかもしれない。
ただ、霊石を外してアビリティが使えたことで、間接的にルノアの無事を確認することにつながった。
重力制御については、彼女からハズレ扱いされていた意味が少し理解できるようになった。
このスタイルには決定的な制約が二つある。
一つは、生き物には使えないこと。コベロスでルノアから聞かされた通りだ。
動物や鳥はもちろん、昆虫や植物、そして、生命体と言えるのかどうかわからない獣鬼にも。もっともわかりやすのが木の葉で、枝に付いている状態では反応せず、だが、落ち葉になると操作可能となる。
唯一の例外は、レーヴ本人と、自身の体が触れている相手だけ。数日前、アンナリーズが空を飛びたいと言ったことがあったが、彼女単体では浮かせることができなかった。
制約の二つ目は、距離の限界だ。
静止状態の物に力を及ぼそうとした場合、それがせいぜい一メートルほどの近さになければならない。
投げた石などの移動体の方向を変えたり、加速させる場合、多少範囲が広がるが、それでも数メートル。離れれば離れるほど、影響力は弱くなる。
それ以外にも、火や水、砂が対象外だ。石は問題なく、つまりは、物体の形をはっきり識別、確定させなければならないのだと思う。
ほとんどのソーサラーから相手にされないスタイルの、こんな細かい仕様に詳しくなっても、話せる相手は一人くらいしか思いつかない。
このままルノアとの再会の日を待ちながら、平穏な日常を送ることになるのだろうという考えが、まったく浅はかだったなどと、このときはもちろん想像もしていなかった。




