エピローグ
ぺたぺたてくてく。今日もリフィルとアレシアはのんびりと森の中を歩いていた。リフィルの頭の上ではレオンがのっかっている。
王都を出発してから一週間。次の町はまだ見えてこない。ちょっと遠いかも。
「でもそろそろ見えてきてもいいよね?」
「うん」
というわけで、地図を確認。アイテム袋から地図を取り出して広げてみる。この広い国の全ての村や町が記載されているとってもすごい地図だ!
王都を出発する時に、出会った兵士さんからもらったもの。本来なら機密情報の一つらしいのだけど、機密なんてものはもう今更らしいから。
もっとも。広い国をむりやり紙一枚に描いているので、距離とかはわりとざっくりとしているらしいけど。
つまり、何が言いたいのかと言うと。
「たぶん、もうすぐ……?」
「本当に……?」
「た、たぶん……。レオン。レオン」
「にゃん」
「わかんないって」
「あ、あはは……」
ぶっちゃけとっても分かりにくい!
しかも森の中なので、まっすぐ目的地に向かっているかも実は分からなかったりする。レオンが言うには、ちゃんと真っ直ぐらしいけれど。
この先にあると信じて歩くしかない。大丈夫、ご飯は問題なく食べられる。お城でたくさん手に入れたから! それに、王都から離れると動物もわりと多く見るようになったから、レオンが捕まえてきてくれる。安心。
でもそろそろ町も見てみたいと思うのも本音。せめて人が住んでいる町まで行けば、次の場所も詳しく教えてもらえるから。
少しだけ不安を抱えていたら、リフィルの隣にふわりと誰かが下りてきた。
「リフィル。久しぶり」
「魔女さん!」
あの時と同じ、黒いローブの魔女さんだった。とりあえず魔女さんに抱きついてみる。間違いなく魔女さんだ!
「ふふ。どうしたの? リフィル」
「てんちゅう」
「いたい!?」
とりあえず手を取った後に全力でしっぺというものをしてみた。満足。
「じ、地味に痛かった……。なに? どうしたの?」
「レオン。しってた、よね?」
「…………」
そっと魔女さんが目を逸らした。それが答えだと思う。
「おしえて、ほしかった」
「ごめんね? どこかの誰かが黙っておいてほしいって言ってたから」
「む……」
頭のレオンを抱き上げる。レオンはうにゃ、ととっても可愛らしく首を傾げた。あざとい。とてもあざとい。
「やっぱりレオンがリフィルちゃんの言ってた子なんだね」
そんな、アレシアの声。振り返ると、なんだか優しげに微笑んでいた。
「魔女様からいろいろと聞いていたから、なんとなくそんな気はしてたよ」
「おかしい……。わたしだけが、きづいてなかった……?」
「うにゃ。ふにゃにゃや」
とても、笑われた気がする。腕に抱いてレオンの前足を揉んでおく。こいつめ、こいつめ! これでもか!
「うにゃあ……」
「とっても気持ち良さそう……」
リフィルも気持ちいい。レオンの肉球は侮れないのだ!
そんなリフィルたちの様子を、魔女さんは楽しそうに笑って眺めていた。
「うん。大丈夫そうで安心したわ。聖女とも会ったみたいだから、心配していたのよ」
「にどと、あいたくない」
「ふふ……。でも、あの聖女のおかげで、レオンのことを知ったでしょう?」
「む……」
それを言われると、まあそうなのだけど……。でも、それはそれ、これはこれ、だと思う。とにかく、あの聖女とは二度と会いたくない。絶対にだ!
「聖女は、嫌い」
「そっか」
「うん」
魔女さんが頭を撫でてくれる。それがとっても気持ちいい。
「次の町だけど、あなたたちが進んでいる方向で問題ないからね。そうね……。あと二日ほどで着くと思うわ」
「おー。ありがとう」
「ありがとうございます!」
「うん。がんばってね」
そう言って、魔女さんは姿を消してしまった。神出鬼没、というのはこういうことを言うのだと思う。たぶん。
ともかく。このまま歩いて問題ないらしい。がんばろう。
そうしてまた歩き始める。ぺたぺた、てくてく。
二人と一匹……。いや、三人の旅は、まだまだ続く。この国はとても広いから。ゆっくりのんびり、壁を作る旅を続けていく。
「次はどんな町なのかな?」
「んー……。おっきな、まち、らしい?」
「兵士さんが言ってたね」
「うん」
王都ぐらいの大きな街らしいけど、王都が魔物に襲われたから慌ててたくさんの人が逃げ出した。今では住人が半分ぐらいになってるらしい。
それでも、今まで通ってきたどの町よりも人が多いらしい。それはちょっと楽しみだ。
どんな町で、どんな人がいるのだろう。少しだけ期待してしまう。
「にゃ」
「うん?」
「うにー?」
「ん……。うん。そう、だね」
最初は、たった一人で壁作りをするつもりだった。でも……。
腕の中のレオンを見る。もふもふしてる。
隣を歩くアレシアを見る。目が合って、にっこりと笑ってくれる。
それに。訪れる町でたくさんの人と出会ってきた。お世話になった人も大勢いる。
「うん……。たのしいよ」
こんなに楽しい旅になるとは思わなかった。故郷の人にはちょっとだけ悪いと思うけど……。
「うーにゃ!」
「うん。たのしんで、いこう」
ぼんやりと見ていただけだけど、あのお母さんとお父さんなら、きっと笑って許してくれると思うから。
だから。この先も、リフィルはレオンとアレシアと一緒に、楽しく壁作りを続けようと思う。
聖女に見捨てられた国だとしても、リフィルはこの国が、とても好きになったから。
でもとりあえず。
「そろそろ、ごはん」
「え」
「おにく!」
「にゃあ!」
「まだ早いよ!?」
がんばる前に、お肉を食べよう!
ぺたぺたてくてく。リフィルたちは今日も歩いていく。ぺたぺたと、壁を作りながら。
了
壁|w・)本作はこれにて完結となります。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
ぺたぺた歩く幼女が書けて満足でs……なんでもない。
次は……魔法少女ものも書いてみたいな!




