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捨てられ少女の壁作り ~聖女に捨てられ魔物があふれた国で、もふもふと一緒に結界を作ります~  作者: 龍翠
第五話 捨てられ少女はぺたぺた歩く

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05-10


 お城に戻ってきたリフィルは、レオンを持ち上げてじっと見つめていた。ちなみに今はいつものリフィルに戻ってる。いつもの様子のリフィルに、アレシアも安心してくれていた。

 じっとレオンを見つめる。じっと。じいっと。

 レオンは気まずそうに、にゃあ、と鳴いて目を逸らした。


「レオン」

「うに」

「レオン」

「うにゃ」

「…………。怒っていい?」

「ふにゃ……」


 しょんぼりと項垂れるレオン。リフィルは微かに笑って、レオンを抱きしめた。

 あの懐かしい、ぼんやりと外を眺める感覚。あれは、ずっとリフィルと一緒にいた子が表にいた時の感覚だ。つまりは……。レオンは、リフィルとずっと一緒にいた子。


「どうして、だまってたの?」

「うにぃ……」

「いいにくかった……? どうして?」

「ふしゃ。うにゃにゃにゃ。にゃご」

「なるほどわからん」

「にゃあ!?」


 いや、なんとなくは分かるのだけど。

 レオンが言うには……。ずっと自分が閉じ込めていた存在に、つまり今のリフィルに、全てを押しつけてしまったのが後ろめたくて、言い出しにくかった、とのこと。

 なんというか……。ちょっと呆れてしまう。リフィルはちっとも気にしていないのに。むしろ、大切な片割れがいなくなったことが、本当に寂しくてつらかったのに。それは、レオンも何度か聞いていたはずなのに。


「レオンのばか」

「にゃ……」

「ばか」

「に」

「ばか……」

「うにゃあ……」


 ぎゅっと抱きしめる。こんな近くに、あの日いなくなってしまった子がいたなんて思わなかった。本当に、嬉しい。嬉しくて嬉しくて……。不思議と涙があふれてきて。

 変だ。痛くも悲しくもないのに、涙が出てしまう。リフィルは変になってしまったかも。

 でも……。今は、止めようとも思わなかった。


「にゃあ」


 レオンは、そんなリフィルに苦笑いしているみたいだった。




 そうして、落ち着いたところで。


「それじゃあ、レオン」

「に?」

「からだ、かえす」

「…………。にゃ?」


 何言ってんだこいつ、みたいに聞こえてしまった。そのままの意味だけど。


「あ、うん。そうだ。そうだね」

「にゃにゃ」


 うんうんと頷くレオンに、リフィルは言う。


「レオン。ごめんなさい」

「うにゃ!?」


 ちゃんと、謝っておかないと。

 ずっと、ずっと。いろいろと押しつけてきた。村での生活から始まって、あの残酷な未来を知った時も、そしてそれをどうにか対処しようとしていた時も、全て押しつけてきた。

 レオンは、ずっとリフィルのことを助けてくれていたのに。リフィルは一度も、レオンを助けたことがない。だから、謝らないと。

 そう、拙いながらもしっかりと説明して。


「うにゃ!」


 ぽふんと額を叩かれた。肉球パンチ! 気持ちいい!


「うにゃにゃ! ふーっ! ふにゃー! しゃー! に!」

「…………。ながいと、こまる……」

「うにゃ……」


 レオンの言葉はなんとなく分かる程度なので、長文はなかなか大変だ。えっと……。

 リフィルは何も悪くない。むしろ責められるべきは自分だ。リフィルにはレオンを責める権利がある、みたいな内容。だと思う。けんりってなんだろう。わかんない。

 でも。


「んー……。おわらない、やつ?」

「ふに……」


 これは、あれだ。自分が悪い、いや自分が、みたいなことを繰り返すやつだと思う。だから……。これ以上は意味がないな、と思った。

 だから。


「じゃあ、ありがとう、レオン。ずっと、かんしゃ、してる」

「うにゃ!」

「うん……。どういたしまして」


 お互いにありがとうを。感謝もずっとしていたから。

 お互いに、謝って、お礼を言って。これで終わり。つまり。


「じゃあ、からだ、かえす」

「うにうにゃにゃ!?」


 いやなんでだよ、という言葉が聞こえたような気がした。


「だって……。このからだは、あなたの、ものだから」

「にゃご」

「いまは、わたしの? わたしは……。もう、じゅうぶん」


 いろんな場所を見た。お友達もできた。リフィルとしては、わりともう満足してる。だからまた、あの子の中からぼんやりと眺める生活に……。


「うなー! にゃごご! ふしーっ! にゃ!」


 えっと……。満足しているのはレオンも同じで、むしろこの猫の体が気に入ってる。それに、アレシアはリフィルとお友達になったんだから、ちゃんと一緒にいてあげるべきだ、みたいな内容。

 そういうもの、なのかな?


「そう?」

「にゃん」

「ん……。わかった」


 それじゃあ……。もうしばらく、リフィルはがんばろうと思う。今ならレオンも一緒だから。


「レオンは……。もう、いなくならない? ずっと、いっしょ?」

「うにゃ!」


 もちろんだ、と頷いてくれる。リフィルはそんなレオンを抱きしめて、


「うん……。よかった。これからも、よろしく、レオン」


 柔らかく微笑んでそう言った。


「うーにゃ」

「うん。そろそろ、ばんごはん。シアがつくってくれてる」


 それじゃあ、と二人は部屋を出る。あの聖女と出会った時の嫌な気持ちは、もうすっかりなくなっていた。


壁|w・)これからは、ずっといっしょ。

次回、エピローグです。


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レオン許されたか…もうリフィルちゃんのこと泣かすなよ?
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