きおく
会いたいと思っても、
会いたいと言えない。
何かを考えていても、
何ひとつ声にしていない。
時は転がり続けている。
誰にも止められない。
そうしている間にも、
忘れて、忘れられる。
詩のようなものを、
時々感じてもらえた。
心の中か外か裏側か、
どこかに置いた言葉。
始まりはもう何年も前で、
始まりはもう関係なくて、
人は通り過ぎてゆき、
人は遠ざかっていった。
会いたくないと思っても、
会いたくないと言えない。
何かを求められていても、
何ひとつ答えを出せない。
夢は見えなくなっている。
誰かも見えていない。
ちぐはぐな気持ちのまま、
飽きて、飽きられる。
詩のようなものを、
時々褒めてもらえた。
心の中か外か裏側か、
どこかに隠した安堵。
これからはもう何年も無くて、
これからはもう繋がらなくて、
自分は横たわってゆき、
自分は土になっていった。