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私たちは一年も付き合ったのに、一年一緒にいたほどの仲の良さではなかった

作者: 七村 沙友

 一年と一か月くらいの期間、付き合っていた彼氏とお別れした。それからというもの、友達と遊んだ際に「最近どう?うまくいってる?」と訊かれては「別れちゃったんだ」と答えていた。



 多くの人は「でも一年も付き合うなんてすごいよ」と言って私を励まし、さらには「私はいつも半年くらいしか続かないし」なんて言って自分の恋愛と比較し始める。



 けれど、私自身は一年続いたことを全くすごいと思っていない。反対に、一年もずるずるとはっきりできずにここまできてしまったなと後悔の念でいっぱいなのだ。


 私と彼の仲はそこまで深くなくて、たぶん数字に換算したら実質五ヶ月くらいを共にした人たちくらいの薄っぺらい関係性だったと思う。




 私は彼のことをきっと一部分しか知らなかった。だって、私は彼の嫌いな食べ物を知らない。私と会わない休日に、バイト以外には何をしているのかよく分からない。多分私たちは自分をさらけ出すのが苦手で、そういうところが似ていたんだと思う。



 私は全ての人に好かれたい、嫌われるのが怖いという思いがある。だから思っていることでも言わないほうがいいかな、と思って遠慮することがよくある。


 恋人には特に嫌われたくなくて、ずっと好かれていたいという思いが強い。そして、私を好きだというその好意の度合いを落としたくない。


 そのため、偽りの可愛い自分で、ダメなところのない自分を演じて恋人と接することになる。



 だから私は恋人と深い関係を築けない。身体では深くつながっていても。




 でもそうするとだんだん、居心地が悪くなってくる。恋人と会っているその瞬間は楽しくても帰ってから疲弊している。そうして私たちは、互いに言いたいことが言えないままストレスを溜めていって、それが些細なことがきっかけになって爆発してしまったのだ。溜めていた量が多かった分、修復は不可能だった。




 それでは、恋人と長く関係を続けていくには、嫌な部分も全て見せるべきなんだろうか。でもそうやったら、嫌われて振られちゃうかもしれない。じゃあそのとき私たちはどうすればいいんだろう。

 嫌な部分も認めてくれる人を見つけるべきだろうか。




 友達と居酒屋で飲んでいて、彼氏との近況を聞いていた時にこんな話があった。そのカップルは、付き合って二年くらいの仲だった。


 二人でデートに行くと決めていた日の朝、集合一時間前になっても彼女から連絡が一件もないことにあれっと思った彼氏が、彼女に電話をする。すると、


彼女「……あ、もしもし?」

彼氏「おはよう、寝てただろ」

彼女「おはよう。ごめん、今日めっちゃ眠くてまだ寝たい。出掛けるのなしにしな

   い?」

彼氏「えー、まあ、いいよ。俺もなんかめんどくなってきたわ」

彼女「じゃあなしだ!また一週間後にでも!」



 それでデートが無しになる。それでも二人の関係性には全く影響がないのだという。後日、今日は会いたい!って日にリベンジデートに行き、仲良く帰ってくるようだ。この話を聞いて私は卵焼きに間違えて酢を落としてしまうほど驚いた。私、そんなこと元彼には絶対できなかった。待ち合わせにちょっと遅れるだけでできない女みたいで申し訳なく思っていたのに。



 この話、彼氏が素敵すぎるというのはもちろんなのだが、それ以上に彼女のこの素をさらけ出している感じを私は羨ましく思った。彼女がきらきら輝いて見えたし、私もこれくらい素を出してみたいと思った。ちなみに、彼氏のほうがデートをめんどくさがる日もあるとのことで、そこはお互い様なのだという。




 自分の嫌な部分も全て相手に見せる。

 そうするためには、素の自分を少しずつ出す努力をしなければならない。



 そして、私自身も相手の嫌な部分を、認めていかなければならない。この人のこういう部分が嫌いだから別れる、というのではいけない。それはただその人を恋しているだけにすぎないのだと知った。



 嫌だと思う部分は正直に直してと言ってみるとか、それでも改善されなければなんか可愛いからこれからも向き合っていこうと思うようにするか。


 もしそんなふうに思えたら、それは恋の一つ上のステップにいけるんじゃないだろうか。



 私は次に付き合う人とは、一か月経てば一か月の仲、一年経てば一年の仲でいたい。そのために、自分の嫌いな部分もさらけ出して、ありのままの私ってこんな人だけど、どう?って、言ってみたい。



 そのためにまず出来そうなことは何だろうか。すっぴんを付き合ってすぐに、見せられるようになることとか? あと、過去の暗い思い出も、話せるようになることかな。




 次の相手とは、ちゃんと。

 さて、今はそのための準備期間ということで。


これは1か月くらい前の近況です。だんだん近くなってきました。

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