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鳥のように、風のように。
見えない筈は、ない筈。
私は全てが見えていた筈。なのに見えない筈はない。
なんで見えないのか、私には分からない。
「見えていないんだよ、それは」
「そうなの?」
「そうなの」
「私には見えていた」
「私は、見ているとは思えなかったな」
「私は見てたの」
「見えてなかったんじゃない?」
「確実に!」
「見えてないじゃん」
「見えて……いたの……」
「嘘つき」
「嘘じゃないの……」
「嘘じゃん、嘘しかないよ」
「違う、違う、違う……」
違うんだ、違うんだ。
私には見えていたんだ。それが確かに、確実に、見えていた筈なのに。
誰も信じてくれない。
何で?
本当は見えていなかったの?
分からない。分からない。分からない。私は、見えていたの?