特訓
遅くなりました。
「おはよう!星夜君!朝だよ!特訓だよ!さぁ!早く起きて!」
「朝からうるさぁい!」
俺は思わず勢いよく起きあがってしまった。
なんで部屋に入ってきてんだこの人!
「え?昨日の夜も入ってきてたじゃん」
確かに…え?と言うことはここの鍵持ってんの?
「いや、窓から入ってきたよ?」
ライノルドさんの示した方を見ると粉々に砕け散った窓ガラスがあった。
「バカなの?ライノルドさんバカなの?」
「バカとは酷いなぁ。窓がしっかり戸締まりされてたから、壊して侵入しただけさ!」
「直せ。今すぐ直せ」
「僕は直せないよ?」
壊すなよ。
「いいから!早く着替えて特訓だよ!」
こうして俺はライノルドさんが持ってきた訓練着に着替えさせられたあと、訓練場に連行された。
━━━━━━━━━━数分後━━━━━━━━━
「疲れた…」
「ちょっと休憩にします?」
ライノルドさんの方が疲弊していた。元々俺は体力あるし、親に何かよく分からない流派の格闘技教え込まれてたからなぁ。ライノルドさんの剣術も凄かったが、こっちが避けまくってたら、体力がきれたらしかった。
「なにその、体力…あと、動きが変…」
「親に教え込まれてましたから」
「君の親怖いね」
失礼な。確かに少しおかしいなとは思ってたけど。
「次は魔法の方に移ろうか」
待ってました!異世界なんだから魔法が使いたい。昨日教えてもらった感じだと、炎、氷、風、雷、闇、光の六属性があるらしい。他に、合成魔法とかがあるらしい。
「じゃ~始めるよ~」
「お願いします!」
「まずこれが炎の初級魔法…《フレア》」
ライノルドさんが呪文を紡ぐと指先から小さい太陽のような炎の球体が現れた。
「これは攻撃魔法だね、えいっ」
「危ねぇ!」
この人こっちに魔法飛ばして来やがった!服が焦げてんだけど!?
「おっ、避けたね。そしてこれが…」
「待て何事もなかったかのように進めるなよ」
やっぱりこの人少しおかしいな。そう思った一瞬だった。
「これが氷の初級魔法こっちは防御魔法だね《アイスムーロ》」
そう唱えると手のひらサイズの氷壁が出来あがり、すぐに溶けて消えた。
「これは大して使えないね。冬だと結構重宝するけど。例えば人を転ばせるのにとか」
「子どもか。何歳だよ」
「二十歳だよ」
「意外と若いな!」
でも精神年齢は子どもな気がする。
「次に特に使いどころのない風!《ヴェント》」
「わぁーいい風ー」
「はい次、雷!《トォノ》」
「痛っ!」
ライノルドさんの指先から飛び出した電気が俺の手目掛けて飛んできた。静電気かよ!嫌がらせじゃねぇか!初級魔法全部こんなのか!?
「はい次、闇。《ティマータ》」
「ん?前が見えない?」
「はい光、《リヒト》」
「あれ?見える?」
どうなってんのこれ?もしかして闇の初級魔法は目隠しで光の初級魔法は光源?
「その通り!」
「その通りか。この二つはそこそこ役に立つかな」
「じゃあ、星夜君も使ってみようか!昨日魔力操作はできるようになったでしょ?その魔力を手のひらで練って、それを想像通りの形、効果にかたどっていく感じで」
「ふむ…《フレア》!《アイスムーロ》!《ヴェント》!《トォノ》!《ティマータ》!《リヒト》!」
食らえ、初級魔法目白押し!
魔法は俺の想像通りの軌道で発動した。どうだ!窓割った恨みだ!
「それは残像だよ!」
「はぁ!?」
確かに当たったと思ったが、直前でライノルドさんの姿が消え、魔法は全て背後の壁に当たり掻き消えた。どうなってんの!?
「これが光と闇の合成魔法、《ファントム》だ!」
やべぇ!使いてぇ!「それは残像だ」とかやってみたい!
「にしても星夜君は凄いなぁ!初級とはいえ全属性同時発動なんて!」
「そんなに珍しいことなんですか?」
さっきライノルドさんが連続で発動してたからそこまで珍しく無いのかと。
「確か、魔界の方にいる『魔王』とこの世界の『賢者』だけが六属性同時発動出来るらしいよ!『勇者』でも四属性までしか出来ないらしいよ!さすが!『旅人』はスゴイネ!」
「……………………は?」
セリフ多めのお話しでした。かなりキャラクターが暴れてます(笑)