スーツとパレード開始
俺はリサに王城を案内してもらった後、客室に案内された。ちなみに案内はメイドさんだ。
「ここが八雲様に使っていただくお部屋になります」
「……ここですか?」
マジで言ってんのかな?豪華過ぎない?
「ここです」
ここらしい。マジかぁ……落ち着けねぇ…
「それとこれから八雲様が此方の世界に転生された歓迎と、ノーリッサ様が旅に出られると言うことで国を挙げてのパレードを致しますので、こちらの服にお着替え下さい」
そう言って渡された服は…
「…………え?」
地球でワーカホリック、社畜などと言われる、社会貢献者がよく着ているあの服……そうスーツだった。スーツ言っても、パーティー用のスーツではなく、会社員が着るようなスーツだった。
「この服は十代目の転生者様がこの世界に来た時に着ていた服に似せて作った服です」
十代目転生者絶対社畜だろ。
「十代目転生者様はこの服を元の世界で一番着ていたそうです」
やっぱり社畜だ!
「それと、こちらは転生者であることを示す腕輪になります。」
渡された腕輪は、厚さ約2cm、外側の円周約44cm、内側は円周約30cm、上から見た感じは長さは約7cmで、中心部には菱形の透明な淡黄色の宝石が嵌まっていた。
「おぉ……」
「この宝石は『転生石』と言います。この石は転生者の方が身に着けると、力・
守護・敏捷・知恵の内、装着者に足りないものを補う効果を持っております。使い方は後でお教え致します」
「へぇ……なんかゲームのアイテムみたいだな」
ただ発動方法が分からないな。まぁ、後で教えて貰うか。
「パレードは十分後になりますので、時間になったらお呼び致します。それまでに着替えて頂きますようお願いします」
「分かりました」
そう言うとメイドさんは一礼して、退室した。
「さて着替える前にさっきから気になってたものを確認するか」
俺がさっきから気になっていたもの、それはこの部屋の天井、そしてここにない照明である。何か分からないが、天井の方に違和感を感じる。照明の方は部屋が明るいのにもかかわらず、この部屋に照明らしき物が見当たらないのだ。
「これは魔法なのか?」
だとしたら俺では解決のしようがない。まぁ、魔法だろ。そう思っとこう。
「なんか落ち着かねぇ……」
生まれてこの方高級旅館や高級ホテルに泊まったことが無いためこういった感じの豪華な空間に慣れないのだ。え?修学旅行とかに行ったことがあるだろうって?修学旅行は小・中両方とも体調を崩して休みですよ。行ってみたかったなぁ…修学旅行…
「さて着替えるか」
5分後…
「八雲様、準備はよろしいでしょうか?」
「はい大丈夫です」
「では、ご案内します」
案内のメイドさんの後について行くと、座席のみのパレード用の煌びやかな馬車があった。馬車の前で待機していると、後ろから声を掛けられたら。
「あっ、星夜さん!」
「お、リサ…様」
後ろを振り向くと、花色のふんわりとしたドレスを身に着け、銀木犀に似た花の髪飾りを着けている、リサがいた。さっきまでの勢いでリサと呼ぶところだったが、メイドさんがいる前では流石に呼べない。
「リサでいいと言いましたのに…」
本人は不機嫌だが。
「姫様。急に走られては困ります」
なんかいかにもじぃやな人が出てきた!異世界ってやっぱりすげぇ!
「まぁまぁ、お祖父様。姫様が八雲様と2人きりで馬車に乗ることで嬉しくなるのも仕方がないですよ」
「ナ、ナディ!?何を言っているのですか!?アーノもです!何故そんな『なるほど』みたいな顔してるんですか!?」
リサが顔を真っ赤にして早口でまくし立てる。成る程、今まで案内してくれたメイドさんがナディさん、さっきのじぃや風の人がアーノさんか。
「っと、姫様。八雲様。そろそろ馬車に乗り込んで下され」
「あっ、すいません」
もうじきパレードが始まるようだ。なんか緊張して来た…
「星夜さん、笑顔です。笑顔で、手を振っていれば大丈夫です」
リサにフォローされた。ありがたい。そんな感じのやりとりをしていると、目の前の扉が開かれた。遂にパレードが始まる。
また遅れました…申し訳ありません。
お知らせですが、次話投稿時に作品名を変更したいと思います。理由は活動報告で。