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84)噂の転入生

いつも読んで頂き有難う御座います! 予約投稿時間を間違えました! 遅くなりましたが投稿させて頂きます!

 レナンが巨獣を倒してから2週間程が過ぎた……。



 白き勇者レナンが、王都を滅ぼそうとした巨獣を圧倒的な力で倒した事は、混乱を招く為に王城により箝口令が敷かれた。


 しかし、巨獣討伐隊に多数の冒険者達が居た事で真実は伝わり王都ではレナンが恐るべき力で巨獣を倒した事は、言わば公然の秘密となっていた。



 “白き勇者レナンが、叉も王国を救った!”



 そんな声が王都中を駆け巡り、白き勇者レナンを称える声は更に増すのであった。


 そんな王都に有る王立学園でも、白き勇者を称える声は途絶える事は無かった。王立学園の廊下にて生徒達が今日も白き勇者について噂をする。


 「おい! 聞いたかよ? 白き勇者の噂! 彼は、巨大な魔獣を山ごと切り崩したらしいぞ!」


 「ああ、俺の従兄のダチが、討伐隊に参加してたんだ。その話……信じられねェけど、マジらしい。従兄がダチから聞いたらしいが、とんでもねぇ強さらしいぞ、白き勇者って奴は……」


 「らしいな……。それで、お前聞いてるか? あの噂……」


 「ああ、ウソかホントか知らねェけど……この学園に来るかもって話だろ? 噂の勇者様が……」



 廊下の端で、学園の男子生徒が白き勇者について熱く語る。そんな男子生徒達が話し合う中で3人の少女が、昼食を終えて昼からの授業の為に廊下を移動する。


 廊下を渡る彼女達はリナとジョゼ、そしてティアの3人だ。そんなティア達をみて、廊下を通り過ぎる別な少女達が影口を呟く。


 「……ねぇ、あの子って確か……」


 「そうそう……白き勇者のレナン様を捨てて……フェルディなんかに夢中になってた子でしょう?」


 「……フェルディって確か……最悪の強姦魔でしょ? レナン様を振って……何でそんなクズ男に媚びたのかしら?」


 「馬鹿だからじゃないの? それか好きモノか……」


 「……あー、どっちも有りそうな顔だわ……。そんな恥ずかしい顏で、良く出歩けるわねー」


 少女達はワザと聞こえる様にティアの事を馬鹿にする。対してティアは感情を殺して無視して歩くが……。



 「おい! 一体誰の事を言ってるんだ!? 言いたい事が有ったら面と向かって言え!」


 ティアの横に居たリナが、我慢出来なくなり陰口を言った少女達に詰め寄る。


 「な、何なの……貴女は? 言い掛かりは止めてよ」


 「……良くそんな子を庇えるわね……。貴女もその子と同じく……馬鹿なのかしら?」


 ティアの陰口を言っていた少女達は、詰め寄るリナに対し開き直って言い返す。


 「何だと! 何も知らない癖に!」



 馬鹿にされたリナは、少女達の言葉に激高し今にも飛び掛かりそうだったが……。


 「……もう、良いよ。リナ……」


 怒るリナに対し、影口を叩かれたティア自身がリナを制止する。


 「ティア……、お前……」


 「良いんだ、私が悪いのは……間違っていないから……」


 「ティ、ティアちゃん」


 庇ってくれたリナに対し、ティアは悲しそうに笑って答えた。そんなティアにジョゼは涙ぐんでいた。

 


 「……本人が一番分ってるじゃない。自分が馬鹿だって事」


 「本当ね……。さっさと行きましょう。誰かさんの近くに居たら、馬鹿がうつるわ」


 陰口を叩いていた少女達は悪びれる様子もなくその場から去って行った。


 「お、おい! ちょっと待てよ! ……くそ、行っちまった……」


 「……もう良いよ。それより、庇ってくれて有難うね、リナ」



 謝りもせず去って行く少女達に、正義感の強いリナは憤慨する。対してティアは自分の為に庇ってくれたリナに礼を言った。


 「当たり前だろ! でも、お前……本当の事、何で言わないんだよ? お前は騙されてたんだぞ」


 「ううん……、騙されたにしても……結局、私がした事はあの子達が言った事の通りなんだから……全部、私が悪いよ」


 「ティアちゃん……、本当にゴメンね……リースお姉さま達が……ティアちゃんに酷い事を……。それに……私も止めれなかった……」


 ティアの言葉を聞いたジョゼが涙ながらに謝罪した。


 彼女の従姉であるリースは、マリアベルの直属である白騎士隊に所属する。


 ジョゼは、従姉のリースがティアとレナンの婚約破棄に関わっていた事と、自分がティアの傍に居たのに止められなかった事を悔やんでいたのだ。


 「……有難う、ジョゼ……それから、リナも……。そして二人には……酷い事を……改めて、本当にゴメンね……」


 「ティアちゃん……」


 「……ティア……」


 ジョゼの言葉を受けたティアは、ジョゼとリナに感謝すると共に、ソーニャによって騙されていた際に、二人に辛く当たった事を涙を流して侘びた。


 もはや何度目か分らない謝罪を受けた二人は掛ける言葉を失った。


 「「「…………」」」



 (しばら)く3人は沈黙したが、授業前で有る事を思い出しリナがワザと明るく声を出した。


 「……次の授業に行こう!」


 「うん!」


 「……そうね!」



 そう言って立ち止まっていた廊下から、次の受講する教室へと向かう3人。



 昼食後からの授業の為、まだ少し時間は有るが目的の教室までは少し離れていた。向かう途中、リナが思い出す様に呟いた。


 「……そういや、あれからソーニャの奴……姿を見せないな」


 「うん……でも、討伐任務から王都に戻ってる筈……リース姉様も戻ったらしいから……」



 リナの言葉に白騎士隊にリース(従姉)と言う縁があるジョゼが知っている事を答えた。対してリナが憤慨しながら呟く。



 「……そうか、戻ってたら一発ぶん殴ってやろうと思ってたんだけどな」

 

 「その点は大丈夫よ。ソーニャがアルテリアに来た時、いっぱい殴っといたから。だけど私も殴り返されたけどね」


 「ははは、そうか! 少しは気が晴れたよ。後は……お前の弟だな……。確か、この学園に来るんだろう?」


 悪戯っぽく微笑んで答えたティアに、リナは、声を上げて笑った。そしてレナンの事を問う。


 「……うん、それは間違いないよ。リース姉様もそう言ってたし……」


 「そうか、いつ頃になるのかな……」


 ジョゼの返答に、リナはティアを気遣って呟く。


 「……焦ったって仕方ないよ。学園に居ればきっと会えるわ……アリガトね、リナ」


 「気にすんな。オッと、次の授業には何とか間に合ったか……」


 礼を言ったティアにリナは何でも無い、と言った風に答えた。



 

 そうして歩きながら話し合う3人は目的の教室に到着した。


 時間ギリギリだった為、各々が所定の席に座ったタイミングで担任の女性教師が教室に入って来た。


 但し一人では無く、その後ろにはソーニャと……。幻想的な程、見目麗しい少年が入って来た。


 その少年は美しい銀髪と抜ける様な白い肌。白い首にはやけに目立つ真っ赤な首輪が巻かれている。


 瞳は夕暮れ時の空の様な美しい茜色の瞳を持った少年――レナンが立っていた……。


いつも読んで頂き有難う御座います! 投稿時間が遅くなり申し訳ありませんでした。


追)一部見直しました!

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