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82)漆黒の龍-2

 漆黒の龍によって甚大な被害を受けた新生軍と呼ばれる軍勢は、指揮系統が大いに混乱したのか統率が取れていない。


 そんな状況を血染めの少年である黒き龍が見逃す筈が無かった。



 黒き龍は一瞬、その巨体を白く光らせると電光の如く飛んだ。


 “キュボ!!”


 そして瞬く間に一隻の巨大空中戦艦の真正面に迫った。黒き龍に肉薄された空中戦艦から大音声が響く。


 「た、退避!! 正面に! ち、血染めが来ます!!」


 空中戦艦の大音声を逆撫でする様に、黒き龍は空中戦艦の真正面から突っ込んだ。


 “ガガガアアン!!”


 黒き龍が空中戦艦内に突入した事で、戦艦の正面には大穴が空いた。 黒き龍は戦艦の内部を蹂躙(じゅうりん)し破壊しながら突き進む。


 “ゴゴゴオオォン!!”


 空中戦艦は黒き龍が内部を破壊しながら進撃している為であろうか、至る所に火柱や爆発が生じた。



 やがて空中戦艦の真ん中程で黒き龍の進撃は止ったが、次の瞬間……。


 “カッ!!”


 空中戦艦の真ん中の位置で上下に眩い光が立ち上り、直ぐに空中戦艦は大爆発した。


 “ゴガガガアアアン!!”


 黒き龍により内部から破壊された空中戦艦は爆散しバラバラになりながら落下していく。


 空中戦艦が起こした大爆発の火球の中から飛び出した黒い影……。その影である漆黒の龍は次の戦艦に狙いを定める。


 少し離れた位置に浮いている空中戦艦に超高速で飛行し、空中戦艦のど真ん中に何と飛び蹴りを浴びせた。


 “ゴゴオオン!!”



 不可思議な力で超強化された漆黒の龍の飛び蹴りにより、巨大な空中戦艦は“くの字”に折れ曲がり、そのまま浮力を失って真っ逆さまに落下して行ったが、途中で大爆発を起こす。 


 “ドガガガアアアン!!”


 こうして瞬く間に2隻の空中戦艦が藻屑(もくず)と化したのだった……。



 黒き龍の攻撃で大打撃を負った新生軍の艦隊は大混乱の最中、反撃を試みようと3隻の戦艦が漆黒の龍に迫らんと進み出る。


 そしてジズやレギオンと言った龍達も一斉に黒き龍を襲わんと飛び掛かった。


 対して黒き龍は動きを止め、迫る軍勢に対し真正面を向き空中で浮かんだまま、左手を握り人差し指だけを上に向けた。まるで挑発するかのように……。


 すると刹那に黒い稲妻が生じ、左手を覆う。まるで黒いモヤが手を包んでいるかの様だった。


 次いでモヤの様な黒き雷が立てた人差し指の先端に集まり3m位の漆黒の球体が生じた。黒き龍は左手を手の平を広げながら、そっと差し出す。


 その動きに合わせて人差し指の先端に生じていた黒い球体は迫り来る空中戦艦に向け放たれる。


 放たれた黒き球体はゆっくりとした手の動きに反して恐るべき速さで飛び、此方に近付かんとしていた空中戦艦の内、一番近くに来ていた戦艦に命中した。


 “ドギュウン!!”


 そんなくぐもった大音響の後、命中した黒い球は刹那に巨大化し、空中戦艦の前半分を包む。


 対して黒き龍は巨大化した黒い球体を見て差し出したままの左手の平をグッと握る。


 すると巨大化した黒い球は黒き龍の手の動きに連動し、瞬く間に収縮し始める。


 “ギュン!!”


 見る間に収縮する黒い球に吸い込まれる様に削れていく空中戦艦。



 何らかの引力が生じているのか、その黒き球に引き擦り込まれる様に巨大なジズや無数に居るレギオンも吸い込まれていく。


 そればかりか黒き龍に迫らんとしてた他の空中戦艦も収縮する黒き球に引き込まれ始めた。


 “ズズズズズズ!!”


 対して黒き龍はどういう理屈か収縮する球の影響を全く受けず、平然と浮かんでいる。


 漆黒の龍が左指から放った黒き球は、周囲の全てを飲み込み消滅させた後、甲高い音を立てながら強い光を一瞬放って消え去った。


 “ピキン!!”


 黒き球が放たれ、そして消滅するまでの僅かな間に3隻の空中戦艦と(おびただ)しい数のジズとレギオンが消滅した。




 新生軍の艦隊は5分も待たずに7割を失った。そして過半数の空中戦艦を失った艦隊は撤退を始めた。


 逆にジズとレギオン共は黒き龍に特攻を掛けるべく集結し始める。恐らくは艦隊が撤退するまでの時間稼ぎをジズとレギオンにさせる心算なのだろう。


 黒き龍はそんな最中、艦隊を追う事も無く空中に浮かんでいたが、そこに先行して特攻してきた4体の巨大なジズが現れた。


 4体のジズは2体が口を開いて光線を放つ為か眩い光を口内に溜め始めた。そして残り2体は黒き龍に肉薄し鋭い爪と牙にて襲い掛かる。


 対して黒き龍は左手を前に出し、半身をずらして構えを取る。


 その姿は正に熟成された武闘家の姿だった。途端に、黒き龍の両手にモヤの様な黒い稲妻が覆う。



 そして迫った2体のジズと光線を放とうとしている奥側に居た別な2体のジズに対し、潜り込む様に身を低くして4体のジズの間を通り抜けた。


 そして通り抜け様の刹那に4体のジズの胸部に一撃を与えた。


 ”ドドドン!“


 その動きは巨体にも拘らず素早く、そして鋭かった。黒き龍、いや血染めの少年は無手での格闘術が得意の様だ。


 打撃を与えられた4体のジズは突然風船の様に膨らみ、パンパンに丸まって……そして爆散した。


 “ドパン!!”


 爆散したジズは体液や臓物をばら撒いて霧散した。


 4体のジズを爆散させた黒き龍だが、その周囲はジズやレギオンに取り囲まれた。この戦域に居た全てのジズやレギオンが黒き龍を取囲まんとしている様だった。



 黒き龍に取ってジズやレギオンなど、アリの様に取るに足らない脆弱な存在だったが、この数は余りに多かった。


 流石の黒き龍もこの数相手では手間取るかと思われたが、彼の龍は全く動じていない。



 堂々と立った姿勢で浮き、両手を大きく広げた。すると黒き龍の前面に黒い雷が集まり大きな黒い輪を形成した。


 “キイイイイン!!”


 輪が生じた次の瞬間、輪の中央から無数の影の様な黒い雷の刃が飛び出した。


 “キュキュン!!”


 放たれた黒い雷の刃は独りでに方向を変え、黒き龍の周囲に居た、大量のジズやレギオンに命中した。


 “キュドドドド!!”


 黒き龍に襲い掛からんとしていた大量のジズやレギオンは飛来した黒い雷の刃に貫かれると、再生される事も無く一瞬で音を立てて霧散する。


 “バシュウン!!”


 まるで刃その物に溶かす様な猛毒が有るかの如く、貫かれたジズやレギオンは血飛沫をばら撒いて消滅した。



 こうして黒き龍の周囲に居た大量のジズやレギオンはあっと言う間に全滅した。



 しかしこの戦域には撤退しようとしている空中戦艦が居る。その数は6隻……。


 そしてこの空域には今だ、ジズやレギオンは撤退する艦隊の周囲に大量に居る。恐らくは艦隊を守る為に配置されていたのであろう。


 残存した6隻の空中戦艦は、この空域から撤退する事を最優先し、漆黒の龍に対し反撃する気など全く無く全速力で遠ざかって行く。


 対して生き残っているジズやレギオンは撤退の時間稼ぎの為、黒き龍に特攻する様に命令されている様だった。


 艦隊の周りに居たジズやレギオンは残った全数で、艦隊の周囲から離れて黒き龍に対し一直線に飛び向かって来るのであった。

 



 いつも読んで頂き有難う御座います!


 追)一部見直しました!

 追2)今後の展開の為一部見直しました!

 追3)名称に記入ミスが有った為見直しました!

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