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304)ギナル皇国侵略戦-17(皇城前にて)

あけましておめでとう御座います! 本年もたゆまず頑張りますので、何卒宜しくお願いします!!

 ギナル皇国将軍のラザレと、その部下で女性騎士ネビルに皇国侵攻の目的と……世界の危機を伝えた黒騎士レナン。


 その上でレナンは、死んだと伝えられていた……前皇帝アドニアの一人娘である皇女エリザベートの生存を知らせる。



 それ聞いたラザレとネビルは、敵である筈の黒騎士レナンと行動を共にすると言い出した。



 「エリザベート皇女殿下が御存命ならば……私は殿下を御守りする……! それが前皇帝アドニア陛下の大恩に報いる事だ!」

 「私も閣下に従います!」



 ラザレがレナンを真っ直ぐに見つめ言い切り、彼の部下ネビルも続く。



 「……俺は皇女を利用する心算だぞ?」

 「ならば、私が殿下をお前より守る!」

 「一騎打ちでは這って逃げた癖に?」

 「次は足に噛み付いてでも倒す!」


 黒騎士レナンが意地悪く問うても、ラザレは構わず言い返す。



 ラザレの目は希望に満ちており、ネビルも彼の横で何度も頷いている。そんな彼等にレナンは思わず……。



 「……はぁ……面倒くさいな……。まぁ、仕方無いか……。お前、先に皇女の元へ行って彼女を守ってやってくれ。それとお前は後ろの頑固な2人を守れ。彼等には、皇女の付き人として働いて貰うから」


 「「アギャ!」」


 ラザレとネビルの意志が固い事を理解したレナンは、やり取りで気が抜けた為だろうか……年相応の口振りで呟いて、リベリオン達に指示を出す。


 指示を受けたリべリオンの内、皇女を守る様に命令されたリべリオンは、凄まじい速度で飛び去った。


 残ったリべリオンはラザレ達の傍に寄り、彼らを護衛する。



 偽装された人工の低い声を解除し、元の若い声と素の口調で話したレナン。


 

 彼の声を聞いた女性騎士ネビルは……。


 「……黒騎士……貴方は……一体……!?」


 突然変わったレナンの口調にネビルは驚き問う。



 「……何度問われても同じ……俺は黒騎士。それ以上でも、それ以下でも無い……」


 ネビルに問われた黒騎士レナンは、最初に問われた事と同じ答えを返す。



 その声は先程ネビルが聞いた若い声と口調から一転し、低く威厳に満ちた声に戻り完全に別人の様だ。



 (……どう言う事!? さっきの声と話し方は……どう考えても少年の様だった……。私より若いか……同じ年頃の様な……。あの恐ろしい兜の下には……一体、どんな素顔が……?)



 レナンからの素っ気ない返答を聞いた女性騎士ネビルは、急変して戻った彼の声と態度に驚きながら、黒騎士レナンの素顔に強い興味を持つ。



 ネビルは時折り、レナンが口にする"彼女"の存在も気になっていた。



 (……この黒騎士は……圧倒的に強く恐ろしい……。それこそ、白き神程に……。いや、あの丸い機械が言うには……黒騎士の力は白き神を遥かに上回ると……。確かにあの強さ……白き神を凌駕すると言われても納得するわ……。

 だけど……彼はあの最悪な神々とは違う……。此処には居ない“彼女”を想う、人とのしての心を持っている。

 そして、敵である筈の私と閣下を何度も守り……兵達も手加減して殺さず、皇都を壊さない様に気を配る……。

 しかもエリザベート皇女殿下をも守ろうとしている。この皇国を建て直す為に……。ならば……彼は皇国の救い主……!)



 女性騎士ネビルは、今までの黒騎士レナンの行動を振り返り……この黒騎士こそが皇国の救世主であると確信した。



 そんなネビルの想いを余所に、戻した低い声で黒騎士レナンは呟く。



 「……今より皇城へ攻め入る……。俺に付いて来ると言うなら、気を引き締めろ……」



 そう呟いたレナンに対し、ラザレとネビルの2人は力強く頷く。


 それを見たレナンは彼らに背を向け、固く閉ざされた皇城の正門に目を向ける。



 正門前にはギナル兵達が沢山集い守りを固めていた。黒騎士の来襲にそなえているのだろう。



 その様を見たラザレ将軍が、彼らに声を掛けるべく前に出ようとしたが、レナンが手でそれを制止した。



 「……お前は、この皇国の将軍なのだろう? 彼らを困乱させても面倒だ。 ……オニル、この者達に認識阻害と障壁を」


 「はい、マスター」


 “ヴン!”


 レナンの指示にオ二ルが答えると、低い音と共にラザレとネビルの2人は半透明の光に各々包まれる。


 ラザレとネビルは驚いて互いの姿を見るが、不思議な事に……その姿は半透明の光の所為かぼんやりとして、はっきりと見えない。


 

 「貴方達それぞれに、光を歪める効果を持たせた障壁を展開しました。大抵の攻撃は防御出来る上に、相手側は貴方達が誰か判別するのは不可能でしょう」


 「……何故……ここまでする? お前と行動を共にする、私達の姿を皇国軍に見られて囨乱が生じても……お前自身に何の問題も無い筈だ」


 「唯の気まぐれだ……いちいち気にするな。それより来るぞ」


 

 オニルが説明しながら施した認識阻害の障壁にラザレが問うが、レナンは面倒臭そうに答えながら……皇城正門を指差す。


 ラザレとネビルが そちらを見ると、侵略者である黒騎士レナンを倒そうと皇国兵士達が一斉に向かって来る所だった。


 

 「お、お前達止めろ!! こ、この黒騎士には絶対に勝てない!!」


 「……案ずるな……ゼペド達、白き偽神の盲信者以外は殺さん……」


 

 剣を構えて襲い来る部下の皇国兵達に、ラザレは慌てて叫ぶが……認識阻害されている為か、声の主が誰か伝わらず動きは止まらない。


 叫ぶラザレに対してレナンは静かに答える。


 

 そして黒騎士レナンは左手をすっと前に出す。次の瞬間――。


 “カッ!!”


 レナンが纏う鎧の左手甲に宿る半透明な宝石が眩く光った。すると……。



 「あ……か、体が……」

 「な、何だ……急に力が抜けて……」

 「うぐ……」



 迫り来た皇国兵は呻き声を洩らし……全員、膝を付いて動かなくなった。


 良く見ると……動けなくなった皇国兵の体から白いモヤの様な光が、黒騎士レナンが差し出した左手の甲に宿る、半透明の宝石に吸い込まれていく。



 「ま、まさか……エーテルを吸い取ったの!?」

 

 「……雷を浴びせるよりマシだろう? ……まぁ暫くは、まともに動けなくなるが……」



 皇国兵達の体からエーテルが吸い取られる様を見て、ネビルが驚きの声を上げる。

 

 対してレナンは大声を上げたネビルに静かに答えた。



 体内に保有しているエーテルが枯渇した者は、無くなったエーテルが自然回復するまで極度の倦怠感で行動不能になるのだ。


 黒騎士レナンは常時、自らが鎧の機能で受けているエーテル吸収を外部に向け、襲い来た皇国兵達のエーテルを吸収し、まとめて行動不能にした……と言う訳だ。



 数十人の皇国兵を傷付けずに無力化したレナン……。



 この場に残るギナル皇国兵は、皇城正門を守る4、5人だけだ。


 今だ、皇城の正門は固く閉ざれており……門を守る兵士達も、極度に緊張した面持ちで剣を構え、怯む様子は無い。



 強固な正門の守りを見たレナンは……差し出した左手の人差し指で、何も無い空中に軽く文字を描く様な仕草をする。



 すると……レナンの指の動きに合わせ、空中に白い光の線が写る。


 “ジジジ゛!”


 その光はギザギザ模様を重ねた様な線だった。



 空中に描かれたギザギザの光の線は、10 cm程の大きさで……消えず空中で留っている。



 レナンが人差し指でその描かれた光の模様を"ピン!"と弾いた。


 指で弾かれた光の文字は……超高速で飛びながら巨大化して、皇城の正門にぶち当たる。



 すると……。


 “ゴガガガン!!”



 光の文字に接触した、皇城の巨大な正門は一瞬で粉々に切り刻まれ、崩れ落ちたのだった……。


いつも読んで頂き有難う御座います! また、昨年中は大変に有難う御座いました!

 

次話は1/5(水)投稿予定です、何卒よろしくお願いします!

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