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298)ギナル皇国侵略戦-11(リミッター解除)

 異端審問官のヤマチが操るゴウライヒヒに、殺されそうになった女性騎ネビル。そんな彼女を救ったのは、去った筈の黒騎士レナンだ。



 ヤマチはレナンに、ゴウライヒヒを仕向け彼を押し殺そうとしたが……黒騎士レナンは自身の強大な力を押さえ付けていた鎧のリミッターを解除する。



 そして彼は、襲い掛かって来た巨大な魔獣であるゴウライヒヒの腕を難なくへし折った。



 腕を折ったレナンは、ゴウライヒヒの腕を掴んだまま空中でクルリと前回りして、のけぞった魔獣の顔を踏みつける。



 “ゴゴオン!!”



 レナンに踏み付けられたゴウライヒヒは、轟音を立てて地面に赤い染みとなって圧潰されたのだった。



 黒騎士レナンの蹴りは恐ろしい破壊力で、圧潰されたゴウライヒヒは真赤な染みとなって地面に広がり、全く原型を留めていない。


 残っているのはレナンが掴んだ魔獣の腕だけで、彼は残った腕をつまらなそうに放り捨てる。


 ゴウライヒヒを圧潰したレナンの蹴りで、地面は円形のすり鉢状に凹んだ。その衝撃で地面が凹んだ際に兵舎が揺れ、壁が崩れた程だった。




 一体のゴウライヒヒを難なく圧殺したレナン。そんな彼に、助けられた女性騎士のネビルが信じられない、と言った様子で小さな声で問う。



 「……な、何故……私を助けたの……?」


 「俺はお前と、あの男の命を預かると言った……。預かった以上、勝手に死なれても、つまらん……」



 ネビルの問いに黒騎士レナンは、どうでも良さそうに答えた。そんな中……兵舎の屋根に居る異端審問官のヤマチは黙っていられない。



 「く!? 続けていけ!!」



 最初の一体を難なく殺した黒騎士レナンを見て、ヤマチが追撃指示を出す。


 すると、ラザレを押さえ付けていたゴウライヒヒが、レナンに向けて駆け出し襲い掛かった。



 “ガアアアア!!”



 両手を前に牙を剥き出して迫る魔獣に、地面に座ったままのネビルは恐怖で固まったが、レナンは全く気負わず構える。



 そして襲い掛かって来たゴウライヒヒの腕を取り、豪快に投げ飛ばす。



 “ゴゴオン!!”


 重さなど、まるで感じてない様に軽々と巨体を地面に叩き付けたレナン。そんな中、ゴウライヒヒに押さえ付けられていたラザレが部下のネビルの元へ駆け寄った。



 「ネ、ネビル! 大丈夫か!?」

 「は、はい……閣下……。ですが、足をやられて立つ事が……」


 ネビルを起こして問うラザレに、彼女は辛そうに答える。先程、ゴウライヒヒに鷲掴みされて喰われそうになった時、足を痛めた様だ。


 ラザレは動けないネビルを抱えて、急ぎ広場の端へと移動する。



 そんなラザレ達のやり取りを見たレナンは、傍で浮かぶオニルに向かって呟く。



 「……オニル、あいつらを守れ……。死なれても、うっとうしい」


 「はい、マスター。彼らに障壁を展開して保護します」


 レナンに指示されたAIのオニルは、広場の端まで移動したラザレとネビルを球体状の白い光で包む。


 「な、なんだ!? これは!?」

 「……マスターより、貴方達を守る様に命じられましたので障壁を展開しました。光の中なら安全なので大人しくして下さい」



 球体状の光に包まれ驚くラザレに、彼とネビルの傍に近付いて来たオニルが答える。


 元より部下のネビルが、足の負傷で満足に動けない状況だったので、ラザレは奇怪なドロイドの言葉通り、ネビルを抱えたまま、頷くのであった。


 黒騎士レナンは、ラザレ達をオニルが保護したのを尻目に呟く。



 「大猿相手なら……殺しても構わんな。……オニル、もう少しリミッターを解除する。データを取っておけ」


 「はい、マスター」



 叩きつけたゴウライヒヒを見ながら、レナンは何の気負い無く呟きAIのオニルに答える。



 レナンが呟いた直後……彼が纏う漆黒の鎧が更に変化を見せた。


 “イイイイン!”


 鎧は先程よりも甲高い音を立てると同時に、両手両足と胸部に宿る半透明の黒い宝石が鈍い光を放つ。



 「……よ、鎧が光っている……何が、始まるんだ……?」


 黒騎士の鎧の変化を目にしたラザレが呟く。



 しかし黒騎士レナンはラザレに答えず、地面に転がったままのゴウライヒヒの片足を両手で掴んだ。


 そして鞭を地面に叩きつけるが如く、巨大なゴウライヒヒを振り回し何度も何度も地面に叩き付けた。



 “ドガン! ガゴン! ゴゴン!!”



 その速度は余りに早く、目も上らない速さでゴウライヒヒを叩き付ける。


 地響きと共に土煙が立ち込める中……。



 「む……? 脆すぎるな……」



 叩き付ける手応えが無くなったのを感じたレナンが、動きを止めて掴んでいた魔獣を見ると、ゴウライヒヒの上半身は千切れて無くなり、叩き付けた地面は血塗れだった。



 黒騎士レナンは壊れたオモチャを捨てる様に、残ったゴウライヒヒの下半身を放り投げる。



 「「…………」」



 余りに凄惨な末路を向かえたゴウライヒヒに、広場の端でラザレとネビルは固まったまま言葉を失っていた。



 だが……二体のゴウライヒヒを無残に殺された異端審問官のヤマチは激高する。



 「お、おのれ!!、 叩き潰せ!!」



 黒騎士レナンにヤマチは怒り狂いながら、新たに5体のゴウライヒヒを向かわせた。




 迫り来る5体の内、最初のゴウライヒヒが彼に肉薄し、両手を上げて襲い掛かって来た。



 肉薄したゴウライヒヒにレナンは軽くノックする様にパンチすると……。


 “バギン!!”


 あり得ない音が響いて、軽く殴られた筈のゴウライヒヒには上半身が吹き飛ぶ。下半身のみとなった魔獣は大量に血を流して倒れた



 最初の一体が一瞬で絶命したにも関わらず、他の四体のゴウライヒヒは構わず黒騎士レナンへと襲い来る。


 レナンはその内の一体を蹴ると、蹴られたゴウライヒヒは砲弾の如く後方に吹き飛んで、連なる兵舎に激突する。


 “ゴシャア!!”



 大きな破壊音を上げて、蹴り飛ばされたゴウライヒヒは激突した兵舎と共に砕け、臓腑をぶちまけて絶命した。


 既に二体のゴウライヒヒが死んだ事で残る三体は動きを止める。対してレナンはすっと右手指を立てると、その指先に甲高い音と共に眩い光が灯る。



“キイイイン!!”



レナンは、一瞬動きを止めた魔獣に向け、軽く右手指を振った。



 “ズビュン!”



 黒騎士レナンが指先を振ると風が通り抜ける様な音と共に、彼の指から光が弧を描いて放たれた。


 三日月の様な光は、斬撃となって三体のゴウライヒヒを貫いて背後の兵舎も通過する。



 すると――


 “ズルゥ!”


 斬撃が貫いたゴウライヒヒは三体共が斜めに切断され、肉塊となって絶命した。



 そしてゴウライヒヒがまとめて切断された後、斬撃が通り抜けた兵舎も綺麗な切断面を見せて崩れ落ちる。

 

 斬撃は長く後方まで貫通し、兵舎は軒並み斜めにカットされズレ落ちてしまったのだ。



いつも読んで頂き有難う御座います! 次話は12/15(水)投稿予定です! よろしくお願いします!

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