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289)ギナル皇国侵略戦-2(煽る黒騎士)


 ギナル皇国へ侵略を開始したレナン……。彼は取囲んだギナル兵達に放たれた魔法を、吸収し、逆に衝撃波として放ち、兵達を一掃した。



 もっとも、敢えて殺さない様にレナンは威力を調整して衝撃波を放ったのだが、ギナル兵の部隊長は、そんなレナンの手心を感じようともせず、興奮して叫ぶ。


 

 「な、何をしている! 相手は一人だ! ぜ、全員で、取り囲んで数で押し通せ!」



 部隊長は叫ぶが、周りの兵達は黒騎士レナンを恐れて、動こうとしない。



 「き、貴様等!! この俺の命に逆らうか!? 上官である、俺の言葉は白き神と同意だ! 逆らえば、異端審問官に引き渡すぞ!」



 部隊長の“異端審問官”と言う言葉を聞いた、兵達はビクリと体を震わせ……止む無しと言った様子で剣を再度握り締める。



 その“異端審問官”が余程、恐ろしい様だ。



 黒騎士レナンを取り巻く兵達は、皆……悲壮な顔を浮かべ一斉に襲った。



 対するレナンは、そんな彼等のやり取りを見ながら……全く恐れた様子も無く大剣を大地に突き立てる。


 すると……剣を突き立てた地が光を放ち、爆ぜた。



 “グオン!!”



 黒騎士レナンを中心に大広場の床はひび割れ、その場に居たギナル兵達は吹き飛ばされた。



 「う、うぅ……一体……何が……」


 「……もう終わりか……威勢は良い様だが、お前はそれだけのクズだな……。生かす価値が無い」



 レナンが放った衝撃波で転がされたギナル皇国の部隊長は、ひび割れた地に足を取られ両手を付いて這いながら呟くが、黒騎士レナンは大剣マフテイルを部隊長に向け、下らなさそうに吐き捨てた。



 「おのれ!! この私を愚弄するか!」



 レナンに見下された部隊長は怒り狂って立ち上がり、剣を振り上げる。対するレナンも静かに大剣を構え直す。



 「死ねぇ! 那教徒がぁ!」



 ギナル皇国の部隊長は、怒りに任せてレナンに取り掛かった。



 対するレナンは、音より速く大剣マフティルを薙ぐ。あまりに速い為その動きは目で捉える事が出来無かった程だ。



 大剣の衝撃波で吹き飛ばされた兵の内、何とか立ち上がる事が出来た者は、レナンの手が一瞬ぶれた事しか見えなかった。


 だが、その大剣は確実に部隊長の体に届いており……。



 “ズルゥ!”


 

 レナンの大剣で斬り捨てられたギナル皇国軍部隊長は、体を斜めに切断され絶命した。それを見た他の兵達は、恐怖で絶叫する。



 「ヒ、ヒィ!!」「増援、増援を!!」



 ギナルの兵達は混乱して右往左往しながら叫ぶ。レナンはそんな彼らに構わず大剣マフティルを天に向けて振り上げた。



 “ギイイン!!”



 すると、大剣マフティルは主であるレナンのエーテルを吸い上げ、音を立てて光り出す。



 次いで黒騎士レナンは光る大剣を、軽く振り降ろすと……マフティルを通じて集められたエーテルが眩い光となって大剣より放たれた。



 放たれた光は皇城を守る城壁塔を貫き……。



 “ゴガアアアアン!!”



 大音響を響かせて爆散し、皇都上空に巨大な火球を形成する。放たれた光により貫かれた城壁塔は……高熱の為か、くり抜かれた様に跡形も無く消滅していた。



上空の火球は、ギナルの皇都に浮かぶ戦艦ラダ・マリーを赤く染める。


 

 「「「「…………」」」」



 レナンの周りに居たギナル兵は……我を忘れて消滅した城壁塔と、空に輝く巨大な火球を絶句して見上げていたが……。



 「う、うわあー!!」「て、撤退だ!!」



 我に返った兵達はクモの子を散らす様に、黒騎士レナンの元から、一目散に逃げ去ったのだった。



 ギナル皇国への侵略を開始した黒騎士レナン。



 襲って来たギナル兵達を圧倒し、指示していた部隊長を斬って捨て……その上で、ギナル皇城を守る城壁塔を吹き飛ばした。



 その戦い方には、以前の優しく穏やかなレナンの面影は、何処にも無かった……。




  ◇  ◇  ◇




 「……上手く煽れた様だな……」



 われ先にと逃げ出すギナルの兵達を見ながら、黒騎士レナンは呟く。



「……マスター、このギナル皇国の首都カナートを陥落させるのに……マスター御一人で戦われるのは、効率的とは言えません。

 先ずはラダ・マリーのレーザー砲で、支配者層が居住する皇城と周辺邸宅を焼き払い……次に兵舎、続いて居住区を、一掃すれば一分以内に首都機能を破壊出来ます。レーザー砲による一斉砲撃を今すぐ行って宜しいですか?」



 レナンの呟きに、彼の横に浮かぶ奇怪なドロイドを、アバターにしているAIのオニルが静かに恐ろしい提案をしてきた。


 

 「……不要だよ、オニル。元より戦力差は一方的……。俺が求めるのは殲滅では無く統一だ。巨大過ぎる力で叩き潰して、この皇都を更地にしても後の統治が困難になるだけ……。所で、オニル……上のジャミングは効いているな?」


 「はい、マスター。アステア上空から見たロデリア王都と、ギナル皇都の状況は、広範囲に展開されたプロジェクションマッピングによって、偽装された映像が投影されています。同時に監視衛星のセンサー類からの検知も、偽装情報を送る様に調整しております。此処ギナル皇都の上空に停泊しているラダ・マリーや、我々の戦闘行為も含め、上空からは何も変わりない"日常"が映し出されています」


 AIオニルとの進言に、レナンは冷静に否定して、逆にオニルに問う。問うたレナンにオニルは淡々と答えるのだった。



 レナンの指示でAIのオニルは、この惑星上に設けられた自動生産プラントや監視衛星と言った設備支配権を奪い、ベルゥ達新生軍に偽装情報を送り続けてる。



 従って……今、ギナル皇国の上空にラダ・マリーが停泊している状況や、ロデリア王国に自動生産プラントが設置されて復興が進んでいる様子は、ベルゥ達新生軍には、全く別な映像に置き換えられていた。


 

 新生軍は、レナンがゼペド達を倒した事は確認出来たが、彼が知識を得て衛星を含むアステアに設置された設備の支配権を奪った事実は知らなかったのだ。


 しかも、その事を新生軍が気付かない様にAIオニルは巧妙に情報操作していた。


 

 「……遠く離れたリネトアや墓所に居る新生軍には、このアステアの現状を把握する事は不可能でしょう。従って、マスターには存分に戦って頂いて構いません」


 「まあ、さっさとやるさ……それより、このギナルには支配に丁度良い偶像が在るだろう? それを活用させて貰う」


 「……偶像ですか? マスター、情報の補足をお願いします」



 レナンに 問われたオニルは彼の意図が読めない様で、聞き返す。



 「……仕上げの時に分る。……その為には、今の皇帝ユリオネスは殺す。それと、この皇国で支配階級にある臣下もな……。敢えてもっとジワジワと追い詰めて、この国の奴らに自らの立場を知って貰うさ……。 酔って踊されていた傀儡って事を……」


 「はい、マスター」



 聞き返したオニルだったが、レナンは問いに答えず……迷いなく抹殺対象を口にするのだった。


いつも読んで頂き有難う御座います! 次話は11/14(日)投稿予定です、宜しくお願いします!

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