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278)反逆の白き龍

 レナンが次々と伝える驚愕の事実に、王城に呼び出された皆は……驚きを隠せない。



 そしてレナンは最大級の秘密を話す。



人工の月であるリネトアからベルゥ達が攻めて来ている事を……。



 「……お月様に……敵が住んでる……!?」

 「ば、馬鹿な……!」

 「信じられ無い……本当の事なの、レナン君!?」



 大きい方の月に敵が居ると聞かされ、驚くソーニャとベリンダ。ルディナは口に手をやり、動揺しながらレナンに問う。



 そんな彼女達に対し、レナンは設明を続ける。



 「ああ……、この俺も……奴らも、あの月から来た……。あの月は、リネトアと言う国だ。知っての通り……奴らは強大……。奴ら自身も……奴らが使う兵器も……。だから、俺は……この船を作った……」


 「……白き勇者のレナン様……貴方は……そんな強大な敵に、戦いを挑む……おつもりですか……?」



 説明したレナンに、アルフレド王子が……信じられ無い思いで彼に問う。



 「俺は、マリアベルの夫として……彼女が成そうとした事を続けるだけです。彼女は……マリアベルは……黒騎士として……この国を、民を守る為に最後まで戦かった。ならば……夫である、この俺も彼女の遺志を継ぎ戦います」



 アルフレド王子の問いに、レナンは揺るがぬ決意と覚悟を持って答えた。すると……。



 「ならば……! その戦いに私も、参加させて下さい!」

 「ああ……! 私もだぞ!」

 「もちろん、私もね」

 「当然……私もな」



 レナンの覚悟を知ったソーニャが決意を告げると、レニータ達白騎士達も、次々も名乗りを上げる。



 そんな彼女達に対し、レナンの答えは……。



「……いいや……ソーニャ達、皆は……どうか、この国を守って欲しい。俺は、もう誰も失いたくない」



 ソーニャ達の名乗りを、レナンは、彼女達を案じて断わった。



 「白き勇者のレナン様……貴方の……従姉であるマリアベル姉様の想いを尊重する気持ちは……僕自身も、とても嬉しい……。ですがあの敵は、知れば知る程に強大……ギナル皇国すら傀儡にする位に……。貴方様は、そんな敵に……お一人で挑むと言うのですか?」



 レナンの言葉を聞いたアルフレド王子が、彼に問う。



 「アルフレド殿下……俺は一人ではありません。“兄弟”達が居ます。オニル……10体程転送を」


 「はい、マスター」



 レナンの指示を受けた、オニルが静かに答える。



 "ヴン、ヴン、ヴン!"



 すると……レナンを取り囲む様に、真白い光の円が10個現われて……。 次に大きな何かが、突然姿を見せる。



 「こ、今度は何……!?」

 「し、白い龍!?」

 「龍だけど……あの、黒い奴とは……全然違う……」



 光と共に現われたのは、全高3m程の2本足で立つ白き龍だった。


 それは太く長い尾と、小さな羽を持つ……筋肉質で頑強な体付きの龍だ。



 その姿を見たソーニャ達白騎士は口を揃えて、驚きの声を上げる。



 現われた白い龍の数は10体……。


 しかし……龍とは言えど王都を破壊尽くした、黒い龍であるレギオンとはまるで違う。



 この白い龍は、確かに龍の姿をしているが……顔付きが人に似て優しい。



 人懐っこい大きな2つの目を持ち、理性的な顔立ちをしている。その顔の形は……大型犬とトカゲを掛け合わせた様だ。


 白い龍達は、体を守る為か……金属性のボディアーマーを着ており、手甲や足甲も装備され、胸部や胴部、そして頭部を保護している。


 

 その白い龍達は大きな声を出したルディナやベリンダ、そしてソーニャ達にも全く動揺せず、どこか優しげな顔で彼女達をじっと大人しく見ているだけだった。




 「……彼らは……まさしく俺の血を分けた兄弟……。俺の"角持ち"としての血を与えて生まれた戦士達です。王都を破壊した黒い龍レギオン以上の戦闘力と再生力……そして何より高い知能を持った存在……。

 その名はリベリオン……。俺は彼らと……マリアベルの想いを持って、この戦いに挑むつもりです」


 「……リベリオン……。で、ですが……この白い龍は、あの黒い龍に比べてとても小さい……。それにたった10体では……どうしようも無いのでは……? 黒い龍は何千、何万も居たのですよ……?」



 レナンの言葉にアルフレド王子が反論する。彼は王都の破壊を目にして、ベルゥ達の力を恐れていた。


 そして何より、そんな敵にレナンが挑もうとする事を、案じる余りの言葉だった。



 「……お言葉ですが……マスターである、レナン ジメイラ グリアノス殿下の血液より採取した、DNAを受け継いでいるリベリオンの戦闘力は、量産型のレギオン等比較になりません。

 攻撃力、防御力、敏捷性、再生力、そして高い知能……。何よりあろう事か、王族としての血を分け与えられたリベリオンは圧倒的なエーテル発動力を有しています。

 その総合的な戦闘力は、この王都城門に居た4体のゴリアテすら、リベリオン一体で遥かに凌駕します。それに……数の上でも問題ありません……」



 アルフレド王子の意見にオニルが説明した直後……。



 "ヴオオオオン!!"



 広間の空に、大きな音と共に無数の光が現われた。



 そして……その光の後に姿を見せたのは……白き龍リベリオンだ。その数は余りに多く、一体どれ程居るか分らない位だった。



 「う……うお……!」

 「……何て……数なの……」



 空には巨大な美しい船と、無数のリベリオン……。 白き龍リベリオンは、皆が翼を広げているが、羽ばたく事も無く浮いている。



 「……ざっと……3000体のリベリオンを用意しております。必要に応じエリワ湖にマスターが準備した自動生産プラントで、幾らでも増産可能です。……これでも不足ですか?」



 驚くデューイとルディナを無視して、オニルは……大量のリベリオンを前に声も出ないアルフレド王子に向け、皮肉の声を掛けるのだった。



いつも読んで頂き有難う御座います! 次話は9/22(水)投稿予定です、宜しくお願いします!

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