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277)伝えられた真実

 「な、なんだ!! あれは!? 何て大きさだ!」


 「まさか……! 奴らなのか……!」



  白く巨大な船を地上で見ていたデューイとベリンダが、驚き叫ぶ。




 対してソーニャは……。



 「……もしかして……これは……レナンが……」



 彼女がうわ言の様に呟いた時だ。



 “ヴオン!”



 不思議な音と共に、光の輪が生じてその中に大男が現われた。



 その男は見た事が無い、奇妙な服を着ており……その服は筋骨隆々とした男のボディラインを明確に現わしていた。


 そんな男の横には、奇怪な丸っぽい形状の物体が浮いている。



 「き、きさま何者だ……! うん? ……ええ!? も、もしかして……レナン……なのか……?」



  突然現われた逞しい男に……レニータが剣を構えて叫んだが、良く見れば……その顔に見覚えがあり、戸惑いながら尋ねる。



 「ええ、レニータさん。俺です、レナンです……」


 「……間違いありません……お姿は何故か……大人の姿となられていますが……この御方は白き勇者のレナン様です。……私には分かります」



 レナンのテレパシーを受け、伝えていたラニは、彼の声を聞いて同じ人物であると、断言する。



 「レ、レナン!!」

 「レナン様!」



 微笑んで答えるレナンにレニータやアルフレド王子を始め、皆が駆け寄って彼を取り囲む。



 そんな中……ソーニャは黙って震えていたが、レナンの方から彼女に声を掛ける。



 「……ソーニャ……1人にして……すまなかった……」



 "バッ!"



 声を掛けられたソーニャは、何も言わず駆け出してレナンに抱きついた。



 「一体! い、今まで……何を! う、うあああー!!」



 ソーニャは我慢仕切れず、レナンの胸を叩きながら号泣する。



 マリアベルを失った彼女は……どうにか我慢していたのだが、レナンを見て糸が切れた様に 取り乱して泣いた。


 

 「……ごめん……ソーニャ……マリアベルの事……」


 「うわぁー!!」



 レナンはソーニャを優しく胞きながら、マリアベルを守れなかった事を侘びる……。


 対してソーニャは大声で泣きながら、ずっとレナンの胸を叩くばかりだった。



 「ぐす……! ソーニャちゃん……貴女は一人では無いわ……!」

 「うぐ……うう……そうだぞ、私も居る……!」

 「ああ……私も同じだ……」



 レナンの胸で泣くソーニャを見て……ルディナが彼女を後ろから抱き、レニータやベリンダもソーニャを慰める。



 ソーニャはしばらく泣き続けたが、ようやく落ちていた様で……レナンに問い掛ける。



 「ぐす……も、もう……大丈夫です……。レナン、その姿は……? それに……上のアレは……?」



 落ちついたソーニャは……そっとレナンから離れて、彼を見ながら線の細い少年の姿から、逞しい大人へと変わってしまった彼の容姿と……天空に浮かぶ巨大な船を見て、不安そうに尋ねた。



 「……大丈夫だ、ソーニャ…… アレは俺の船だ。 奴らの物じゃない」


 「……い、一体……何が有ったのですか……? 白き勇者のレナン様……」



 ソーニャに向け、優しい目で話すレナンにアルフレド王子が問う。



「はい、アルフレド殿下……俺は、ゼペドと名乗った男達を倒した後……空に浮かんでいた黒い船に体当たりを掛け……そのままエリワ湖に叩き落としました。

 それで、俺は命に関わる大怪我を……。その際、俺を救い……この俺自身の真実を教えた者が居ました……。それが、この者です。オニル……挨拶を」


 「はい、マスター。それでは改めて……。この私は、中級万能戦艦エゼケルのAIであるオニルです。皆様、お見知りおきを……」


 「な、何だコイツは!? しゃ、喋ったぞ!?」

 「い、生き物なのか!?」



 レナンに促されて話したオニルに、レニータやデューイは驚いて剣を構える次第だ。


 その様子を見たレナンは苦笑しながら、オニルに命ずる。



 「オニル……人型のアバターを投影しろ。皆が困乱する」


 「はい、マスター。友好度と親和性を考慮して……女性型を選択します」



 "ビュン!"



 レナンの命を受けオニルが答えた後……タツノオトシゴの様な奇妙な機体が、音と共に白く光った。


 すると、そこには……白を基調としたボディスーツを着る美女が立っていた。



 「人間に……なった……」


 「な、何が何だか……レナン……設明してくれ…… 」



 女性の姿になったオニルを見て、デューイとレニータが戸惑う。



 「ええ……今、設明します。先ずは俺の本当の名前から……」



 問われたレナンは改めて……その場に居る者達に、自分が知った事を設明するのだった。




  ◇   ◇   ◇




 「「「…………」」」



 レナンが説明した事実に……その場に居た、ソーニャ達は絶句する。



 彼が彼女達に先ず伝えたのが……ベルゥ達、侵略者の事だ。ベルゥ達新生軍が別の世界から来ると知って……ソーニャ達は驚愕していたのだ。



 また、その恐るべき力も……レナンの話を聞いて改めて思い知った。


 そして……レナン自身の出自と立場も理解し、皆は大いに戸惑っていたが……。



 「……レナン……ジメイラ、グリアノス……殿下……知らなかったとは言え……無礼を、お許し下さい……」



 レナンの設明を聞いて、その場に居た者達は、驚きの余りに固まっていた中……。



 アルフレド王子は、レナンが尊き血を引く持つ者だと理解して慌てて跪き、デューイやラニが続く。



 「お止め下さい、アルフレド殿下……。今の俺は、白き勇者でも……遠い国の王子でも無い」


 「マスター、それは違います。貴方は10万年の長きに渡り、リネトアを治めたグリアノス王朝の正統な王位継承者。

 故に貴方は特別な力を有し、尚かつ本艦を始めとする……多くの兵器群の上位支配権を持つお方……。

 既に……この星の主要な設備や、兵器は貴方が支配者として更新し、ベルゥ以下新生軍には支配権がありません。マスター、貴方がその気になれば……すぐにでも、この星の実効的支配者に成る事が可能です。

 植民地である、この星の正統な所有者は……グリアノス王朝王位継承者のマスター、貴方ですから……」


 「……植民地……もしや……この国も……」

 「レ、レナン殿……まさか、貴方は……!?」



 跪いたアルフレド達を、レナンが制止するが……彼の言葉を遮ってAIのオニルが、レナンの立場を淡々と設明する。



 この星が植民地と告げられたアルフレドは驚愕し、デューイは立ち上がって剣に手を掛ける。


 上空の巨大な船も……ゼペド連と同様に、この国を侵略する為の物と、デューイは恐れた為だ。



「オニル……余計な事を言うな。経緯はどうあれ……この星は……この星に住む者達のものだ。余所から来た我々のものじゃない。少なくとも、マリアベルは……そう言う筈だ」


 「……レナン……」



  オニルを制止するレナンだったが……彼の口からマリアベルの名が出て、ソーニャはレナンが姉の事を忘れていない事に嬉しく感じて、彼の名を呟く。



 「ソーニャ……アルフレド殿下、そして皆……聞いてくれ……。この戦いは終わっていない。こうしている間にも奴らは、次の戦いを準備しているだろう。……敵はギナル皇国じゃない。奴らは……あそこに居る……」


 レナンはソーニャ達に話しながら、天に淡く光る夜明けの2つの月の内……大きな方の月を指差して告げたのだった。


いつも読んで頂き有難う御座います! 次話は9/19(日)投稿予定です、宜しくお願いします!


追)一部見直しました

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