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257)圧倒

 マリアベルの死に伴い、覚醒したレナン。彼は、マリアベルの心と共に戦う事を誓う。


 レナンの強い闘志に従い、彼の体に宿る五つのオド器官と呼ばれる、宝石状の器官が全て激しく光り輝き……甲高い音を立てて力を発動する。



 ”ギイイイイン!!”



 「……て、撤退だ……」

 「え!?」


 「今すぐ!! こ、この場より撤退だ!!」



 レナンの凄まじい力の発動を見たぜペドは彼に背を向けながら、アニグやメラフに向け呟く。



 呆気に取られたアニグが間抜けな声を漏らすが、ゼペドは答えず飛び上がって、レナンから距離を取りつつ叫んだ。



 対してレナンは……。



 「……逃がしはしない……」



 そう呟いたかと同時に飛び上がった。


 ”ドン!!”



 レナンが飛び上がる際に踏んだ王城の床は大きく抉れ、彼が飛び上がった衝撃で、王城が揺れた程だ。



 ゼペドは全力で飛んで逃げたが……。



 ”バン!”



 レナンがゼペドを軽々追い越し眼前に現れる。



 「ば、馬鹿な……!?」



 ゼペドはエゼケルに乗って離脱する積もりだったが、全速力で逃げたにも拘らず、一瞬でレナンに追い越され……眼前に立ち塞がったレナンに、驚愕した声を漏らす。



 しかもレナンは空中に浮かんでおり、どうやら空を飛ぶ能力を身に着けたようだ。



 「……お前達だけは……絶対、許さない……」

 「ま、待て……!」



 ゼペドの眼前に浮かぶレナンは、激しい怒りに震えながら……ゼペドを睨む。


 対してゼペドは必死に制止したが……。



 ”ドン!!”



 レナンは当然答えずゼペドに襲い掛かり……。


 

 “ザシュ!!”



 音より早くゼペドに間合いに入り込んだレナンは、異形の右手をゼペドの胸に突き立てる。



 「あ……あが……!!」

 「……お前達自身が、教えてくれたな……自分の弱点を……」



 エーテルを集めるオド器官を貫かれたゼペドは抵抗出来ず、苦悶の声を漏らす。レナンは怒りに満ちた低い声で話しながら左手を上げる。



 「これは、マリアベルが味わった痛みだ!! 思い知れ!!」

 


 レナンはそう叫んで、左手でゼペドの体を切り捨てる。


 “ザン!!”


 「ギャアアアア!!」



 レナンの斬撃で片腕と体を斜めに切断されたゼペドは絶叫する。


 オド器官ごと首下を貫かれている為か、ゼペドは一切の反撃出来ず、レナンの斬撃で既に虫の息だ。



 先に飛び立ったゼペドを追い掛けてきたアニグとメラフは、体と腕を切断されて……瀕死となったゼペドを見て絶句する。


 「「…………」」



 「ひぐ……ひぃ……おぐ……」

 「……マリアベルの痛みを理解したか……ならば、死ね」



 上半身を切断されたゼペドは虫の息で苦悶の声を漏らす。レナンはそんなゼペドに、何処までも冷たい目で見つめながら吐き捨て……右手に力を込める。



 “ギイイン!!”



  右手に大きな音を立てて、凶悪な力が集まり……白く光る。



 「ば……ばで……ま、まま……待つのだ……ぎ! ぎいいいあぁ! あぎいいぃ!!」


 ”バアアン!!”


 レナンより破壊されたオド器官から、過剰なエーテルを込められたゼペドは、自分の最後を予感し、必死に命乞いしながら……最後は風船の様に膨らんで爆散し絶命した。



 爆散したゼペドの血肉が空に舞い散る。



 あっさりとゼペドを殺したレナンは、ゆっくりと下方に浮かぶアニグとメラフの方を向いた。



 異形の体となり、額より凶悪な角を生やしたレナンには……ゼペドの返り血がこびり付いていた。



 彼の姿を見たアニグ達は恐怖に震えながら、レナンに命乞いをする。



 「ま、待って……! 落ち着いて!」

 「お、俺達は! こ、この地を去る! だから……!」


 「…………」



 レナンはアニグとメラフの必死な命乞いに答えず、無言で彼等を睨む。


 レナンの中では、アニグ達は何としても殺すつもりだった。



 「ぼ、僕達は……君の味方……! そ、そそう! 同族だよ!? そんな僕達を……」


  “ヒュン!” 


 “ギュルルルル!”



  アニグは同族を強調してみっともなく懇願したが、レナンは一瞬で彼の間合いに迫り、長く生やした尾でアニグの首と体を締め付ける。


 「オゴオ!!」


 「……味方……? 同族……? 笑わせるな……」



 レナンは尾で締め付けながら、悲鳴を上げたアニグを嘲笑しながら呟く。



 そして尾に力を込めると、その尾が白く光り出し……。


 

 “ズパン!!”



 一瞬でアニグの体をバラバラに切り刻んだ。



 「ひ、ひいぃ!!」



 細かい肉片となって落下して行く、アニグのなれの果てを見たメラフが恐怖の叫び声を上げる。


 「……残りは、お前一人……絶対に逃がさない……」


 「ま、待て!! は!? そ、そうだ……エゼケル!」



 恐怖に震えるメラフにレナンは向き直り、呪詛の言葉を掛ける。彼は一人残らず白き神共を殺す心算だった。



 メラフは命乞いしながら、何かを思い出した様で、右手に巻かれたリングに向かい叫んだ。




 ……しかし、何の動きも起きない。




 「!? ど、どう言う事だ! エゼケル、応えろ! お、俺の前の敵を! 攻撃しろ!」


 “……事前登録された王位継承者の特有エーテル波動を確認……。本艦は支配権偽造による不正操作を受けている可能性があり……その為に支配権の更新が必要です……。本艦コックピットのコンソールにて直接操作の上……メインコンピューターにアクセスし……本艦の支配権更新をお願いします……”



 メラフが混乱しながら右手のリングに叫ぶと……静かな機械音声が状況を報せる。



 「ば、馬鹿な!? 王位継承者!? そんな奴が一体何処に! ……は!? ま、まさか……角持ちの……奴か!?」


 メラフは予想外の事態に慌てふためくのだった……。


いつも読んで頂き有難う御座います! 次話は5/26(水)投稿予定です、宜しくお願いします!


追)抜け等を見直しました。

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