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248)国王の死

 突然、天井と成していた上層階を破壊された玉座の間……そこへ上空から舞い降りてきた、銀髪と茜色の瞳を持つ3人の男達。


 彼等は、自らをギナル皇国を支配する”白き神”と名乗った。そして彼等はロデリア王国の滅亡を望む。




 神と名乗る男達の言葉に、玉座の間に居た者達は動揺するが、国王カリウスが手を上げて、制しながら彼等に問う。



 「……白き神……ギナルの狂信者共が崇める神とやらか……? 何故に我が王国に害なす?」


 「ゼペド、アニグ……いいから、さっさと終わらせよう。ベルゥ様に、一刻も早く成果を示さないと……」



 国王がゼペド達に問うが……アニグは答えず、彼の横に居た神経質そうな男であるメラフがゼペド達に話す。



 「そうだな……他の国も在る事だし、さっさと終わらせるか……」



 ゼペドはそう呟きながら、右手の指先を国王の前に向ける。



 「!? へ、陛下!!」



 危険を感じたマリアベルが、大声で叫んで国王カリウスを庇おうとしたが……。



 “キュン!!”



 マリアベルの動きより速く、ゼペドの指先から光線が放たれ……国王カリウスの体を薙いだ。


 そればかりか、放たれた光線は……国王の周りを守護していた近衛騎士や周りに居た側近達も纏めて薙いだのだった。ゼペドは軽く指先を動かしたに過ぎなかった。




 全ては一瞬の事……ゼペドの放った光線が消えると――



 “ズルルゥ!”



 ゼペドの光線を受けた近衛騎士と側近達は……体の上と下に切断され、生々しい嫌な音を立てて、臓腑をぶちまけ崩れ落ちた。



 そして、国王カリウスも例外では無かった……。



 「ぐ、ぐふぅ……」



 苦しげな息を吐きながら、カリウスは前のめりに倒れた。但し、上半身だけが……。


 

 「ち、父上!!」



 父である国王の無残な姿を見たアルフレド王子は……半狂乱になりながら、臓腑と血を垂れ流している父に駆け寄り叫んだ。



 「ち、父上! 父上!!」

 「お、叔父上!!」



 泣き叫ぶアルフレドに続き、姪であるマリアベルも瀕死の国王カリウスに駆け寄り……涙を浮かべ叫んだ。



 「……ア……アルフレド……お前だけは……マ、マリアベル……あぐ!……はぁ、はぁ……我が姪よ……息子を……頼む……ど、どうか……そして、お前も……生き……」



 アルフレドとマリアベルに囲まれた、国王カリウスは……マリアベルに息子アルフレドを託して、そのまま事切れた。



 姪であっても亜人の血を引くマリアベルには、冷たい態度を取って来たカリウスだったが……。


 

 今際の言葉は、しがらみの無い本心だった様で……マリアベルが聞いた事が無い程、優しく温かい口調だった。




 「……王子が生き残ったか……まぁ今、殺すがな……」



 ゼペドは心底つまらなそうに、国王の最後を見ながら呟く。


 そして指先を死んだ国王カリウスに縋り付くアルフレドに向けるが……。



 「させない!!」



 そんな叫び声と共に、ゼペドは吹き飛ばされる。



 “ガゴオン!!”



 ゼペドを吹き飛ばしたのはレナンだ。



 “キイイイン!!”



 彼は、異形の右手を光らせながら、アルフレドとマリアベルの前に立つ。


 吹き飛ばされたゼペドは玉座の間の壁に激突し、瓦礫に埋まった。そんな彼を見て、アニグが叫ぶ。



 「ゼペド!?」


 「……騒ぐな……どうと言う事は無い……そうか……お前が、首輪の奴か……」



 瓦礫の中から、ゼペドが平気そうな顔で現れる。



 「お、おのれぇ!! よくも陛下を!!」



 叔父である国王カリウスを殺されたマリアベルが立ち上って、ゼペドに向かい大剣を向ける。


 彼女に続いて白騎士隊や騎士達がゼペド達を取囲むが……。



 「……ほう……その耳……亜種の下等動物か? この地方での生息は珍しいな。だが、家畜である事は変わらぬ……。下賤な下等動物共め……目障りだ……」



 ゼペドは素顔を晒しているマリアベルを一目見て、呟く。どうやら、このロデリアの地に亜人のマリアベルが居る事が珍しかった様だ。



 しかし、直ぐに興味を無くし……指先をマリアベル達に向ける。



 「まずい! うおおおお!!」



 マリアベル達の危険を察知して、レナンは異形の右手で斬り掛かる。



 右手の力を発動したレナンの切り込みは、電光の様な速さで常人には捉える事すら出来ない筈だが……。



 “ガッ!!”



 ゼペドはあっさりとレナンの腕を掴んで呟く。



 「何だ? この程度なのか?」



 そしてレナンの右腕を掴んだまま、彼を軽々と持上げて床に叩きつける。



 “ドゴオ!!”



 ゼペドに叩きつけられた事で、玉座の間の床は、衝撃音と共に大きく凹み砕けた。



 「ぐはぁ!!」

 「レ、レナン!!」



 叩きつけられて苦しそうな声を上げたレナンに、マリアベルが大声で叫びながら彼の元へ駆け寄ろうとしたが……。



 「来るな!!」



 レナンはヨロヨロと立ち上りながら彼女を制止する。



 「……この男達は危険だ……。戦えるのは、僕だけ……君達は、陛下を……いや、殿下を安全な所へ……」



 レナンはマリアベルに対し、ロデリア国王が絶命した事を見て……彼の救助を諦め、アルフレド王子を優先して逃す様に指示した。



 しかし……。



 「……行かせると思うか?」



 マリアベル達を逃がそうとするレナンに対し、襲撃者の一人であるメラフが冷酷に告げる。だが、そんなメラフにゼペドが声を掛ける。



 「放っておけ……どうせ、この都に居る下等動物共は一匹残らず始末する……それよりコイツを何とかしないとな……」



 メラフを制したゼペドは獰猛な笑みを浮かべ、レナンに迫る。



 対してレナンはマリアベルに向け叫ぶ。



 「行け! 此処は任せろ!!」

 「す、すまん! 後で必ず!」


 レナンの声にマリアベルは生き残った者達を引き連れながら、叫ぶのだった。


いつも読んで頂き有難う御座います! 予約投稿の日程を間違えており投稿遅れ申し訳ありません。


次話は4/25日 投稿予定です、宜しくお願いします!

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