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244)龍出現

 「な、何だアレ!?」 



 森の奥深くで、突如天高く上る光を見て驚くベルンが叫ぶ。



「面妖な……! だが、もしかすると……ティアお嬢様が……あそこに……」



 「う、うん……ティアちゃんも、アレを見たら……きっと……」


 「行くぞ、皆……何が出るか分らん、気を引き締めるぞ……」



 ライラとミミリは確信を持って呟くと、ダリルは一行を見渡し声を掛ける。皆は緊張した顔で頷くのだった。




  ◇   ◇   ◇




 “ヴオン!”



 「……入れそうに無いな……」




 天を貫く光の真下……ティアはそこに居た。




 「ちょっとティアちゃん! 貴女が元カレを取り戻す為って、言うから付いて来たんだけど……こんな所に来るなんて聞いて無いわよ!」




 ティアは光の柱の前に張られた結界の前で呟くと、彼女の背後でユラが文句を言う。



 ユラは、武闘大会でティアと接戦を繰り広げた仲だ。


 ティアとユラの後方では、ギガントホークが不思議そうな顔で彼女達を見つめている。




 「ユラさん……間違っていませんよ……私はレナンを必ず取り戻す……。その為だけに動いている。此処に来たのも、その為です」


 「わ、私は……元カレの為に、何かの魔獣と戦うって聞いたけど?」


 「ええ。私は嘘は付いていないわ……。その魔獣は、この森近くの街道で出会ったの。だから、この森の奥が怪しいかなって探索していたんだけど……如何にも何か有るわね、アレ……」




 聞いていた事情と随分異なる様子に、ユラは疑いの目を向けるが……ティアはどこ吹く風で答える。



 ティアは龍を狩る為の後方支援としてユラを誘ったのだが……彼女には、倒すべき魔獣が龍とは伝えていなかった。



 ティアとしては魔法が得意な一級冒険者のユラに大砲役として活躍してくれれば、それで良かった。


 ユラを危険な目に合す心算も無く、龍と真っ向から戦うのは自分だと決めていた為だ。




 ティアは龍を探して森を進む内……光の柱が天に登るのを見て、この場に来た。



 この場所は不自然な程広く、森が開けており……その中心で光が天高くそびえている。


 光の前に来ると、壁の様な結界が張られ……それ以上進む事は出来ない。



 ティアが結界の先を見ると、光の柱は卵の様な建造物の頂上より、天高く立ち上っていた。


 卵の様な建造物は黒く巨大だ。表面には帯状の光が幾つも走っている。




 「……こんな巨大なモノ……このアルテリアに有ったなんて……」


 「ティアちゃん! ひ、光から何か飛び出したわ!」



 ティアが光を放つ建造物を見て呟く中……ユラが光の柱から何か飛び出すのを見て叫ぶ。


 ティアも其れを見て……獰猛そうな笑みを浮かべ叫んだ。



 「……アイツだ! 間違いない、あの龍だ!!」

 

 「え? 龍?」



 ティアは光から飛び出した黒き龍を見て叫ぶと、状況が全く分って無いユラが初めて龍と聞かされ、目を白黒させ問う。



 飛び出した龍はティアの叫びを聞いて、真っ直ぐ地上のティア目掛け急降下する。



 「ちょ、ちょっと!? ティアちゃん! りゅ、龍って何!?」


 「あれ? 言ってませんでした? まぁ、ユラさん……アイツと戦うのは私です……。ユラさんは危ないので、遠くから離れて適当に攻撃して下さい」


 「あ、貴女って子は! 後で覚えてなさい!」



 驚き叫ぶユラに対し、ティアは白々しく答えると……ユラは更に怒りながら森の奥へ駆け出す。



 元より後方支援が主である彼女は急いで自分の持ち場へと向かった。



 対して、ティアはと言うと……。



 “キイイイン!”



 右手を光らせながら迫る龍に向かって不敵な笑みを浮かべるのだった。




  ◇   ◇   ◇




 「あ、あれ見て! ティアちゃんだよ!」



 光の柱に向かって駆けていたライラ達は……もう真近と言う所で、ギガントホークに乗り空を飛ぶ赤毛の少女を見つけた。



 皆が良く知るその少女を見た時、親友のミミリが叫ぶ。

 


 一行がティアを見つけ安堵する中……空からティアを迎え撃つ様に飛ぶ黒い影を見て皆は戦慄する。




 何故なら、彼女達は……その黒い姿に忘れられない恐怖を抱いていたからだ。




 今、ティアを襲おうとしているのは……正にあの龍だった。



 その龍は、レナンが倒した腐肉の龍より、随分と小振りだったが……異形のシルエットは間違いなく、あの恐るべき龍だ。



 食べる事に特化した、巨大な口を開けティアに噛み付こうとした時……地上から無数の氷が矢の様に龍を襲う。



 ティアはそのタイミングを見計らって龍から離れ、強力な火の魔法を放つ。

 

 彼女が得意とする火球を龍に向かって放ったのだ。



 “ドガガアアン!!”



 龍は火球をマトモに受け、地上に墜落する。するとティアもギガントホークを上手く操り急降下して追撃に向かった。



 「おい、行くぞ!」


 「「「「おお!」」」」



 その様子を見ていたダリル達はティアの元へ急ぐのだった。




  ◇   ◇   ◇




 「ティアお嬢様!」


 「ティアちゃん!」



 そう叫んだライラ達一行が、龍が墜落した場所に到着すると……。



 “キン! カキン!”


 ティアが右手の秘石を発動させながら龍に向かって剣で斬り掛かっている所だった。


 「“……爪牙となりて切り刻め 地狼牙!”」


 龍に斬り掛かっているティアの背後で、冒険者のユラが地属性の中級魔法を浴びせる。


 龍に魔法は致命的なダメージを与えない様だが、隙は出来た様だ。


 「炎の剣よ!」


 ユラの魔法で龍が怯んだ隙に、ティアは秘石の力を発動し……無数の炎の剣を生み出し、

龍に向け一斉に放つ。


 “キシャアアアア!!”


 龍は炎の剣を浴びせられ、苦しみもがく。この恐るべき怪物は、ユラの魔法は効かないが、ティアの技はダメージが通る様だ。


 「す、凄いよ……ティアちゃん!」

 

 「アレが……ティアお嬢様だと言うのか……」


 龍とマトモに戦い合えているティアを見て、ミミリとライラは驚嘆の声を上げるのだった。


いつも読んで頂いて有難う御座います! ここでお知らせですが……プロローグの展開に本編が追い付くまで、週二回の投稿で頑張ってみます。


 余りにその展開に至るまで間が開き過ぎますので……。


そんな訳で次話は4/11日 投稿予定です、宜しくお願いします!

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