219)懺悔
フェルディに伸し掛かられ、下地を脱がされながら殴られたソーニャ。
そんな彼女にフェルディは悪魔の形相を浮かべて叫ぶ。
「……いいか、良く聞け雌豚!! てめぇの所為で、この俺は! こんな顔になって! ヒヒヒ! 地獄を見たんだよ! だからなぁ、てめぇは! 俺以上の地獄を味わって貰うぜ!!」
“ビリィ!!”
「い、いやああああ!! あぐ!」
フェルディはソーニャを殴りつけた後、嬉しそうに叫びながら彼女の下地を剣で斬り割いた後、乱暴に破っていく。
ソーニャは大声で叫んで抵抗したが、又してもフェルディに殴られ動けなくなった。
「キヒヒ! 漸く大人しくなったなー、先ずは再会を祝して楽しもう!! 俺も久振りだからスグだろうけど! 後で落ち着いたら、お前が狂う位に相手してやるぜ! 俺が飽きたら、後ろの連中だ。白騎士のお前に全員恨みが有るだろうから……死ぬほど遊んでくれるだろうよ!」
「……うぅ……うぐ……」
嬉しそうに叫んで服を破くフェルディ。遂には上半身を裸にされ、彼女の慎ましい胸が露わになる。
対してソーニャは痛みと恥ずかしさと悔しさで嗚咽を漏らすだけだった。
「生娘を犯すのは、やっぱりたまんねぇな!! 何日も何日も、時間掛けてやるから覚悟しろよ! 散々遊んだら……俺とお揃いに耳を切り取って! 首に掛けてやるよ! お前は耳だけじゃ済まさない! 指も、手も、足も、全部切り取って飾ってやる!! あー! 想像しただけで! 楽しくって仕方無いよ!!」
フェルディは狂ったように歓喜して叫ぶ。もはやこの怪物を止める者は、この場には居ない。
ソーニャは上半身丸裸にされ、醜い顏の男に乗られ……これから自分がどうなるのか、概ね予想していた。
きっと自分は無残に犯され、大勢の男達に弄ばれ、フェルディに体を切り刻まれ……最後には殺されるのだろうと……。
フェルディや後ろの囚人達は、見覚えが有る。確か、自分がマリアベルと共に捕縛した者達だった。
だからこそ、恨まれているのか……。自分が陥る地獄を前に、ソーニャは妙に納得してしまった。
そして“有る少女”を思い出す。この状況に既視感が有るからだ。
もっとも……あの時、その少女がフェルディに押さえ付けられ、自分と同じ様に上半身裸にされ……酷い泣き顔を浮かべていた。
対してソーニャは彼女を助ける側だったが……その少女を罠にかけ、フェルディに犯させようとしたのも、ソーニャ自身の策だった。
(……あの子も……ティアもこんな酷い気持ちだったのね……。ああ……コレって……自業自得って奴……だわ……。今更謝っても仕方ないけど……本当にゴメンね、ティア……)
ハラハラと涙を流しながら、ソーニャはティアに心の中で謝罪し……そして自分の状況に諦めかけた時だった。
“ガシャーン!!”
突如、教会の窓ガラスが割れ、ストロベリーブロンドを靡かせた少女が飛び込んで来た。
「パメラ! ソーニャ! ナタリアさん! 皆、無事!?」
窓の外から飛び込んで来た、ストロベリーブロンドの少女――ティアが大声で呼んだ。
中に入って来たティアに続き、彼女の従者であるライラ、バルド、ミミリも続々入って来た。
ティアはフェルディに乗られているソーニャを見て叫ぶ。
「ソーニャ!! その子から離れなさい、フェルディ!」
「な、何だ!? お前達は! ツェツェン様はどうなった!?」
突入して来て叫ぶティアに、フェルディは驚愕しソーニャから離れて立ち上った。
「……ソイツは師匠とマリアベル達が相手してるわ……。私達は別働隊って訳……。観念しなさい、フェルディ!」
「ティ、ティア……?」
「「ティア様!!」」
勇ましく叫んだティアを見て、何度も殴られ酷い目に遭ったソーニャが虚ろに呟く。対して彼女の背後で怯えて震えていたパメラと侍女のナタリアが感極まって叫んだ。
「うん? この声……何処かで聞いた事あんなーって思ってたんだけど……、そうか、お前……ティアだな! あの騙されて惨めに泣いてた馬鹿女の! なーんだ……お前も混ざりに来たのか?」
「……本当に……アンタみたいなクズに……騙されて、レナンを捨てたなんて……。思い出すと吐きそうになるわ……! でも、今の私はあの頃の私じゃ無い……! アンタ達を叩きのめして……その子達を助けてみせる!!」
「は! 相変わらず馬鹿だな、てめぇは! ノコノコ現れたてめぇ達は。たったの四人! だけど、見ろよ、この人数差を! よく見れば……男は一人だ。ソイツは殺すとして……後の女達は……キヒヒ! 良い楽しみが出来たよ!! おい、お前達!、ご馳走の登場だ! 男は殺して、女共は好きにして良いぜ!!」
卑下た笑いを浮かべ、嫌らしく叫んだフェルディに対し、囚人達も便乗して嬉しそうな顔をしてティアとライラ達ににじみ寄る。
「……馬鹿はアンタよ……! アンタ達なんかに、私達は負けないわ!! ライラ! バルド達と共にあいつ等を! 私はソーニャとパメラ達を助ける!」
“キイイイン!!”
そう叫んだティアは右腕の秘石に意識を送る。すると彼女の意志を歓迎するかの様に甲高い音を立てて力を発動する。
“ダッ!!”
秘石の力を得たティアは一瞬にフェルディの間合いに駆け寄った。
「!? は、早い!?」
矢の様な速度でフェルディの真横に来たティアは、彼の顔面に裏拳を叩き込む。
“バガン!!”
「うげぇ!!」
秘石によって強化されたティアの拳は、フェルディの顔面に突き刺さり、その衝撃で彼は吹き飛んでカエルの様な叫び声を上げて地べたに転がった。
「ひ、ひいぃ! お、俺の鼻がぁ! いい、痛ぇ!」
ティアが放った裏拳は、秘石によって強化されたとは言え、手首だけの軽い攻撃だった。
にも拘らず、フェルディは鼻を押さえ地面に転げ回って情けない悲鳴を上げている。
その無様な姿を見たティアは、心底フェルディを見下して吐き捨てた。
「雑魚過ぎる……。こんな情けない男と……レナンを比べていたなんて……。本当にあの頃の私を殺してやりたいわ。全て、今更だけど……」
フェルディを侮蔑しながら、ティアは悲しそうに呟いた。
戻れない過去とかつての愚かな自分に嘆く様に……。
いつも読んで頂き有難う御座います!
追)名称を追記しました。