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210)武闘大会-40(戦い終わって)

 「「「「「ワアアアアア!!!」」」」」


 コロシアムを包む大歓声。声を上げているのは観客達だ。


 レナンがギガントホークを光の刃で一掃した事で、彼らは大興奮し歓喜の声を上げている。



 今まさに無残に死ぬ筈だった絶対的な恐怖から、一転してその危機が消えて無くなった奇跡に……


 観客達は、其処に居た人々は皆、喜びと驚きと畏怖と言った感情が混ざり合って一気に爆発した様だった。




 大歓声の中、貴賓客用観客室に居た騎士の一人が大声を張り上げる。



 「皆の者、静粛に願う!! 今より国王陛下よりお言葉を賜る! 心して拝聴頂きたい!!」



 魔法により拡声された騎士の声は、コロシアム全体に響き渡り、興奮し歓声を上げていた観客達も静かになった。



 観客達が静粛になったのを見て、国王が立ち上がり皆に声を掛ける。



 「親愛なる王都の民達よ……! 武闘大会の最中に起こった、突然の危機にさぞ肝を冷やしたであろう……! これは憎きギナル皇国の度重なる我が国への卑劣な侵略行為の一環である! 

 だが、恐れる事は無い! そなたらが、たった今……目にした通り、この王国には白き勇者が居る! 見たであろう、彼の力を!! 彼が王国に居る限り……この国は安泰である! 

 そして、私は約束する……! この王国を脅かす愚か者共を一掃する事を! そなた等には、迷いなく、この私を信じて欲しい! ロデリア王国に栄光あれ!!」



 「「「「ロデリアにロデリア王国に栄光あれ!!」」」」



 国王の言葉を受け、コロシアムの観客達は声を合わせて王国の名を叫んで賛美した。その後、割れんばかりの歓声が響く。




  観客達の歓喜の声の中……マリアベルは大剣を地に突き刺して呟く。



 「……全く……全て、レナンに持って行かれた様だ……」


 「フ、フフ……そう、ね……」


 ティアもマリアベルの肩を借りながら彼女に答えた。マリアベルもダメージと疲労が積み重なっている様で、足に震えが来ている。



 「……二人共……無茶をし過ぎだ……。大体、マリアベルは……」


 レナンはボロボロな二人の様子に呆れながら、ティアに何度も攻撃して追い詰めたマリアベルに改めて文句を言おうとして口を噤んだ。


 レナンは貴賓客用観客室で彼女達の試合と、マリアベルがティアを守る為にギガントホークと一人で戦っている姿を見ていた。


 その為、マリアベルに対しこれ以上責めるのを止めたのだ。



 「……ふぅ……君も酷い有様だな……。この状況じゃ試合は中止だろうし、二人を先に治してあげるよ。……大地と空より与えられし生命の光よ、彼の者を満たし救いたまえ……“癒しの光”」


 レナンはそう呟きながら、ティアとマリアベルに癒しの魔法を掛ける。レナンの手が白く光り、その光が二人を包んだ。


 レナンの人外な潜在能力の為か、光に包まれた二人は瞬く間に癒されていく。彼女達が十分に回復した事を見てレナンは治療を止めた。



 「……あぁ……随分と楽になったよ……礼を言う。お前はどうだ、ティア……」


 「う、うん……私も一人で立てる様になったよ……。有難う、レナン……」



  回復魔法により治療された彼女達はレナンに礼を言うが、彼は何でも無いと言った様子で手を軽く振って応えた。


 そんな中、審判がコロシアム中央に立ち、試合中止の宣言が発表される。決勝戦の結果は両者引き分けと伝えられた。


 突然の試合中止に観客達は誰も不満の声を上げなかった。



 それもその筈、コロシアムにはレナンによって霧散させられた、沢山のギガントホークの死肉が撒き散らかれており……誰が見ても試合の続行は困難な状況だった。



 試合中止の宣言をした審判が引き上げる中……マリアベルはコロシアムを見ながら、静かに呟く。



 「……ギガントホークによる危機は去り……これは喜ばしい事だが……お前との決着が付かなかったのは残念だ……」


 「……全くだわ……。あのまま戦っていれば、勝ったのは私だったのに……」


 「ほう? 大きく出たな? 立っている事もやっとだった癖に」


 「はぁ? 何なら……もう一回やる?」



 互いに挑発し合うティアとマリアベル。そんな二人を見てレナンが慌てて割って入った。



 「ちょ、ちょっと待って、二人共! 元気になった途端、何でそんな風になるのさ! 試合はもう終わったんだよ!」


 「……止めてくれるな、レナン……ティアとは決着を付けねばならん故に……」


 「そうよ、レナン……マリアベルとの戦いは避けられないわ」



 止めに入ったレナンを余所に、ティアとマリアベルは向き合い一触即発と言った様子だったが……。



 「……フフフ……」「アハハハ……!」



 突然、ティアとマリアベルは笑い出した。



 「今回は……余計な横やりが入ったが……次は負けんぞ」


 「……それはこっちのセリフよ! ……貴女には色々言いたい事も有る……。でも、今回、貴女には色々……助けられたわ。でも……次の勝負には勝たせて貰う!」


 「なら、一年後の武闘大会で今度こそ決着を付けよう」


 「ええ、望む所よ。それまで鍛えに鍛えて、貴女に圧勝して見せる」



 不敵に言い合った二人は、同じタイミングで手を差し出し……ガッチリと握手した。



 「……正直……お前が此処まで強くなるとは思ってなかった」


 「私も、貴女がこんなに強いとは……想像以上だった」



 力強く握手した二人は、互いに讃えあった。その様子を見てレナンも安堵して微笑を浮かべる。




 ひとまず、二人の戦いは終わったのだ……。、その場に居たティア達が感じたその時、大声が響いた。



 「ティア!!」

 「マリアベル様!!」



 響いた声に、ティアとマリアベル達が振り返ると……クマリ達ティアの仲間と、白騎士のベリンダとリースが必死な形相を浮かべて、駆けて来る所だった。


一部見直しました。

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