表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
170/370

166)決意新たに

 頑強な装甲を持つ魔獣ランドシャークを倒す為、ティアは側面から打撃を加えた。


 その結果、横になって寝転んだランドシャークは、クマリの言葉通り起き上がる事が出来ない。


 頑強な鱗で守られていない腹部は、柔らかそうで簡単に切り裂けそうだ。だが、クマリは心臓を破壊する事を指示した。ランドシャークの内臓にお目当ての食材が有る為だ。


 クマリの声を受けたラウラ達は彼女の指示通り、ランドシャークの無防備な胸部に向けて攻撃を仕掛ける。しかし……。


 

 “ガガキン!”



 「!? や、刃が通らない!?」


 胸部に刃を突き立てたライラとバルドだったが、堅い何かに防がれて刃が通らない。


 「ちぃ! 肋骨まで頑強とは! バルド、鳩尾から突き上げる様に刺せ! そこが心臓だ!」


 「あいよ!」


 クマリは忌々しそうに叫んでバルドに指示を出す。指示を受けた彼は短く叫んで、倒れてもがくランドシャークの胸部中央から刃を首元に向けて斜めに刺し通した。


 “グウウォオ!”


 バルドの剣が胸部を貫いた時、魔獣は断末魔の声を上げて絶命した。


 「や、やった……!」

 「ああ、厄介な奴だった」

 「キャー!!」


 止めを刺したバルドやライラが感慨深く呟くと、ミミリが我慢出来ず叫ぶ。


 「まだ何も終っちゃいないよ! 討伐は最終目的じゃ無い! 必要なのは、この魔獣の肝臓だ! さっさと解体しちまおう。ミミリとライラは周囲の監視を行ってくれ。ティア、お前達が解体を行え!」


 「「「「応!」」」」




 ◇   ◇   ◇




 クマリの指示で倒したランドシャークの解体を行うティア達。ミミリとライラは散開して辺りを注意深く監視している。


 クマリも周囲を警戒しながらティア達に指示を送る。絶命したランドシャークの腹を割き、目的の肝臓を採取し、同時に討伐証明の頭部や有用な部位を腑分けするのだ。


 伯爵令嬢として育ったティアは冒険者に憧れていはいたが、魔獣を狩るのも解体するもの初めてであった。


 解体は初心者のティアが、経験有るバルドが付きっ切りで指導する。


 「……うへぇ……うぷっ、気分悪い……」


 「何言ってんだい、お前がお憧れてた職業だろ? これ位で根負けしてどうすんだい! それに比べ……流石にバルドは手際が良いね」


 目を白黒しながら手に着いた血を見て悲鳴を上げるティアに、クマリは呆れて叱りながらバルドを褒める。



 「……まぁ、俺は慣れてるからな……それによ……」


 褒められたバルドは喜びも無く淡々と答え、意味有り気に呟いた。



 「……どう言う事だ?」


 「魔獣狩りは散々やった……。俺と、ミミリと……それとレナンの3人でな……」


 「「「…………」」」


 「アイツは戦力として化け物級だったが……解体でも運搬でも……何でも出来た……。アイツはホント凄い奴だった……」


 バルドは此処に居ないレナンの事を思い起こしながら呟く。その顔は笑顔だが本当に寂しそうだった。



 そんなバルドを見たティアは……。突然、ランドシャークの死体にナイフを突き立て、猛然と解体を進める。


 先程まで手に血が付いて泣き言を言っていた先程とは別人の様だ。


 「大丈夫よ、バルド! わ、私が! 必ずレナンを取り返して見せるんだから!」


 「……ああ、期待してるぜ……ティア」


 魔獣の血で真っ赤になった手を休めず腑分けするティアの言葉に、バルドも真剣な表情で答える。



 「ふん……馬鹿弟子め……。呆けてる場合じゃ無い事を思い出した様だね……。いいかい、ティア。今日はこのランドシャーク一匹だが、お前の携帯食の為にはまだまだ、数は必要だ。

 これからは、私が指示した修行を続けながら、ランドシャークを狩り続けろ! 勿論、お前宛てに来てる依頼を全部熟してな……。

 そうする事で、お前はマリちゃんやレナン君達に手が届くだろう! どうだやれるか?」


 「はい、師匠! 私はやって見せます!」


 クマリの問いに、ティアは迷いなく言い切った。そんな彼女にクマリはニヤリと笑って見せるのだった。


 こうしてティアは目的のランドシャークを討伐する事が出来たのだった。




 ◇   ◇   ◇




 それからのティアは馬車馬の様に働いた。積極的に冒険者として依頼を熟し、危険な任務にも挑んだ。


 ティアは冒険者として専念する為、学生を辞める事も考えたが、それはクマリに強く反対された。


 クマリからはレナンや、ソーニャの様に全てやり切る様指示を受けたのだ。その為、学校に通いながらも、修行の為クマリを背負い走り続けた。


 携帯食の食材確保の為、ランドシャークを始めとする危険な魔獣も討伐し続けた。


 こうした精力的なティアの活動により、ティアは注目を集め彼女の二つ名である“紅き豪炎”は王都中に知れ渡るのであった。


 そして遂にティアは、建国祭での武術大会へのギルドからの正式な推薦を得る事が出来たのだった。


いつも読んで頂き有難う御座います! 度々活動報告にも書いておりましたが、近々……タイトルを変更する予定です! 変更の理由は……投稿して一年経つのに……今だレナン君は黒騎士になっていません! それじゃいつなるの?って考えたら……武闘会編や、王都襲撃編等々を経てからになり……まだまだ過ぎると思いましてタイトル詐欺になってるな……と感じております。そんな訳で、何処かのタイミングで見直す予定です!


次話投稿予定日は5/6水投稿予定です! 宜しくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ