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153)ダイオウヤイト討伐-26(危機)

 ティア達は5体目のダイオウヤイトを倒す為、近くに居た一体を取り囲み、先程と同じ態勢で攻撃する。


 最後の残り一体はマリアベルとクマリが狙いを定めて追うが、危機を察した為か襲撃を止めて彼女達から距離を取り逃げ回っている。



 その様子を尻目にティア達は5体目のダイオウヤイトを倒す事に専念した。


 まず、ミミリが怪物の背に乗るギナリ兵を矢で狙い打ちして、ダイオウヤイトの指揮を奪う。


 ライラとバルドは尾の動きに注意しながら、左右から斬撃を与えた。


 ライラ達の攻撃はダイオウヤイトに大したダメージを与えないが、彼の怪物を油断させる事は簡単だった。



 絶妙のタイミングで本命(ティア)が叫ぶ。



 「準備出来たよ!」


 ティアは右手に紅い光を纏いながら叫んで駆ける。


 「オオオオ!!」


 ティアは紅く光る右拳をダイオウヤイトに向け思い切り突き出した。


 “バガアアアン!!”


 ティアの放った右正拳突きによりダイオウヤイトは盛大な破壊音を響かせて、絶命した。


 その巨体はペシャンコに凹んで大量に青い血を撒き散らしている。


 その背に乗っていたギナル兵は飛び降りて逃げようとしたが、ライラに切り捨てられ倒れた。



 王都を襲ったダイオウヤイトの殆どがティア達に倒された事で民衆は歓喜の叫び声を上げる。


 「「「「ウオオオオ!!」」」」


 「や、やったね……。うぐ……」


 

 歓喜の声を聞きながら、ティアは飛石の副作用が作動し、急激な眠気に襲われよろめいてしまう。


 「ティアちゃん、しっかり!」


 倒れかけたティアを見て、ミミリが慌てて駆け寄り抱き寄せる。


 「……ま、まだ大丈夫……」


 ティアは一瞬意識を失いそうになったが何とか耐えた。



 彼女の副作用についてミミリ達は分っていた為、王都への移動中に突然寝落ちしたティアを背追いながら馬で移動したりして、出来るだけ彼女を休ませた。


 そのお蔭で、今回発生した副作用による寝落ちは耐える事が出来たのだ。


 「ティアお嬢様!!」


 ミミリに抱き抱えられるティアを見て、ライラやバルドも彼女の元へ駆け寄る。



 しかし、彼女達はティアの事に気が取られ、最後の一体がティア達を狙っている事に気が付かなかった。


 マリアベル達に追われた最後のダイオウヤイトは城壁によじ登っている。こうなれば、流石にマリアベル達も手が出し難い。


 マリアベルの剣技やクマリの魔法と言った遠距離攻撃も、構えている間に城壁の上側に登られてしまえば意味が無いからだ。



 マリアベル達が最後のダイオウヤイトを追っている間に、ティア達に倒された5体目……。



 それを知った怪物の背に乗るギナル兵は襲撃作戦の失敗を流石に悟り、憎しみに駆られる。


 とは言えダイオウヤイト一体では、これ以上の襲撃は功を成さない。彼は残された攻撃手段で、襲撃を阻止した連中への復讐を決めた。



 狙うは……一人で3体ものダイオウヤイトを殺した赤毛のティアだ。



 そう決めた彼は城壁の上からティアに向け酸攻撃を行う事を決めた。


 そして彼は白き神より与えられた不思議な輝きを見せる腕輪に意志を送る。この腕輪と同じ働きをするモノがダイオウヤイトにも装着されていた。


 ギナル兵が持つ腕輪が発信機とすると、ダイオウヤイトに装着されている方が受信機となり、ギナル兵の意志が彼の怪物に伝えられると言う理屈だ。


 尚、同じモノがジェスタ砦を襲ったロックリノや、腐肉の龍、巨獣にも装備されていた。



 そんなカラクリでダイオウヤイトを操るギナル兵がティアに向け強い憎しみを持って襲おうとしている事は、肝心のティア達は気付いていない。


 秘石の副作用でふら付いているティアを気遣うミミリ達……完全に無防備だ。


 対して敵の狙いに気が付いたマリアベルは叫ぶ。


 「ティア!! 狙われてるぞ!!」


 その声にハッとしたティア達はマリアベルの声がした城壁の方へと振り返る。



 すると、最後に残ったダイオウヤイトが城壁の上から長い尾をティア達の方に向け、今まさに強力な酸を吹き掛ける所だった。



 「に、逃げなきゃ……! あ、あう……」


 「ティアちゃん、しっかり!!」


 自分達が狙われている事に気付き逃げ様としたが、副作用の影響で上手く立てない。


 「ティアお嬢様!」


 「まさか、動けねぇのか!? 全員で移動させろ!」



 動けないティアの様子に焦ったライラとバルドは驚き、彼女を抱えて逃げようとした。


 だが、慌てている彼女達は逃げ出す方向が定まらず、オタオタしている。



 「ちぃ! 何をしている!」


 そんな様子にクマリが苛立ち、共にティア達の元へ駆け出す。



 そんな最中――。ダイオウヤイトは城壁の上から恐るべき酸を噴き出した。



 “ドシュウ!!”


 勢いよく噴出された酸は真っ直ぐティア達を襲う。


 「ティア!!」


 吐き出された酸を見てクマリは駆けながら叫ぶが、巨体の中で生み出された酸は高圧により駆けるクマリより速くティア達を襲う。


 もはや此れまで、と覚悟したティアは動けない中、ミミリを抱いて自分の身を盾にしようとした。


 

 “ザン!”


 そんな最中……ティアの前に懐かしさと愛しさを思い起こさせる“彼”が背を向けて降り立ったのであった。


いつも読んで頂き有難う御座います! 


遠い所に出張中の為、ちょっと前から予約投稿でUPさせて頂きました!


次話は3/22(日)投稿予定です! よろしくお願いします!



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