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152)ダイオウヤイト討伐-25(紅き豪炎)

 ティアはアクラスの秘石の力を開放し、紅い炎の様な光りを纏い絶大な破壊力を秘めた右正拳突きを、ダイオウヤイトに喰らわした。


 彼の怪物はその衝撃で断末魔の叫びを上げて吹き飛んだのだった。


 怪物の背に乗っていたギナル兵は吹き飛ばされた衝撃で転がり、そのまま動かなくなった。


 対してダイオウヤイトはティアによって頭部を完全に破壊され絶命している。



 ティア達の活躍で3匹のダイオウヤイトが倒された。



 王都を襲ったダイオウヤイトが瞬く間に半減した事で、救われた王都の住民達はマリアベルとティアの戦いを見て呟いた。



 「……す、凄い……アレが黒騎士……英雄の力か……!?」


 「ああ、あの大きな化け物を真っ二つにしたぞ!?」


 「しかし……あの赤毛の少女も、ムチャクチャ強ぇ!」


 「そうだね……あんな凄い炎の魔法見た事無いよ!」


 「……それだけじゃないわ! ……まるで火を纏ったみたいな、あの右手……! あの大きい怪物を一発でやっつけちゃった!」



 王都の住民は僅かに余裕が出来た為か、ティア達の戦いを熱く語る。



 そんな中、一人の住民がティアの戦い振りを見て思い付いた事を呟く。



 「そうだな……紅く燃える様な右手と……物凄い炎の魔法……。まさに“紅き豪炎”と言った所か?」


 「紅き……豪炎。赤毛に、燃える右手……確かに!」


 「紅き豪炎! 黒騎士マリアベルと……白き勇者に並ぶ英雄だ!」


 「おお……紅き、豪炎!」


 「紅き豪炎!」「紅き豪炎!」「「「「紅き豪炎!!」」」」



 住民達は興奮した面持ちで思い付いたティアの二つ名を連呼する。



 その様子に肝心のティアは……。


 「え? 何々? 皆、何言ってんの?」


 「……ククク、アホで残念な馬鹿弟子に……勿体ない二つ名だな……。オイ、ティア! 何も考えず右手を高く上げろ!」


 事態が良く分っていないティアに、クマリは右手を挙げる様に促す。


 「えーっと……。これで良いのかな」


 「何で、そんな頼んない感じなんだ! 取敢えず“紅き豪炎”って叫べ!」



 オズオズと右手を挙げたティアにクマリは叫ぶ様に促す。仕方無くティアは言われた通りに与えられた二つ名を叫ぶ。


 「あ、ああ紅き豪炎! うらあああああ!!」


 “ぐぎゅうううう!!”


 「「「「「…………」」」」」



 促されたティアは戸惑ってドモりながら与えられた二つ名と共に、良く分らない叫び声を上げた。


 気を張り過ぎた為か彼女の残念副作用が発動し、盛大にお腹が鳴る。



 ティアの叫び声と共に鳴り響いた腹鳴で、周囲は一瞬変な空気に満たされたが……。



 「「「「「……うおおおおおー!!」」」」」



 やがて割れんばかりの歓声が響いた。その様子を見たマリアベルは……。


 「フフフ……紅き豪炎か……。熱く強いティアにピッタリだ……。負けてはおれんな……」


 助けられた群衆に称えられるティアを素直に称賛するマリアベルだったが、大広場にはダイオウヤイトが残り3匹蠢いている。


 背に乗るギナル兵が操る、この怪物はティア達の思わぬ反撃に攻めあぐねている様だ。



 そんな状況にマリアベルはティアに向けて叫ぶ。



 「紅き豪炎、ティア フォン アルテリア! 戦いは今だ終わっていない! 先程の勝負忘れてないだろうな!」


 マリアベルは大剣をティアに向けて叫んだ。対してティアはマンジュを齧りながら力強く答える。


 「……モグモグ、んぐっ……不覚にも一匹、貴女に取られちゃったけど……、他の“虫”は私が総取りよ!」


 「アハハハ! その言葉、そっくり返してやる! 行くぞ!」


 ティアの言葉に思わず笑ってしまったマリアベルは大声で答えた後、近くに居たダイオウヤイトに向け駆け出す。



 「……全く、面白い展開になったね。馬鹿弟子に賭けた甲斐が有ったよ!」


 競い合うマリアベルとティアを見て、クマリが呟きながらマリアベルの後を追う。先程の様に彼女を支援する心算だ。


 呟くクマリの言葉は明るく、嬉しそうだ。彼女はティアを弟子にした事を心底喜んでいたのだ。


 対してマリアベルは追従するクマリに気付いて叫ぶ。


 「クマリ、魔法を放ち牽制してくれ!」


 「あいよ!“大地渡る風よ 我が前に集いて敵を引き裂く刃と化せ 風破斬!”」


 “ボヒュウ!!”


 マリアベルの言葉にクマリは短く叫んで風魔法をダイオウヤイトの背に乗るギナル兵に放つ。


 しかしギナル兵は詠唱の段階で攻撃を予想しダイオウヤイトの巨大な触肢でクマリの魔法を防ぐ。


 “ザシュ!!”


 だが、その防御でマリアベルに対し隙が出来た。


 「勝機! ハァアアア!」


 “ズパアン!!”


 マリアベルの一閃で、ダイオウヤイトは難なく真っ二つに両断された。その活躍を見たティアは叫ぶ。


 「私達も負けらんないよ! さっきと同じ作戦で行こう! 皆、力貸して!」


 「「「応!」」」


 ティアの叫びを受けたライラ達は力強く答えて行動を開始する。


 こうして、紅き豪炎と呼ばれたティア達の戦いは今日より始まったのだった。


いつも読んで居頂き有難う御座います! そう言えば3/16でこの箱庭を投稿して1年になります! 読んで頂いている方、いつも本当に有難うです!!


次話は3/18(水)投稿予定です! よろしくお願いします!

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