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131)ダイオウヤイト討伐-4(敵の正体)

あけましておめでとうございます! 本年もよろしくお願いします!

 ダイオウヤイトのハサミの様な触節に掴まれているミミリ。


 その彼女を助けようとバルドとライラが巨大な魔獣に立ち向かう。


 「ミミリ、ミミリを放せ! このバケモノ!!」

 「ミミリ殿! 今助けます!」


 ダイオウヤイトの周りではバルドとライラが叫びながら剣を振るうが長い足に邪魔され、魔獣にダメージを与えられない。


 ダイオウヤイトの背には黒装束の者が立ち、ダイオウヤイトを操っている様に見えた。


 先程までは黒い塊りに見えていたのは、ダイオウヤイトに姿勢を低くしてしがみ付いていた為だろう。


 「ミミリ! 今行くわ!」


 ティアが叫びながら魔獣の元へ向かおうとすると……、黒装束の者が“ツイ”と手を振る。


 すると、ダイオウヤイトはミミリを掴んだまま森に駆け出した。


 ライラはダイオウヤイトの前に立ち制止しようとしたが、怪物の長い足に蹴飛ばされてしまった。


 「ミミリー!!」


 ”ドガァ!!”

 「あぐぅ!」


 バルドが叫んで魔獣に向かうと、ダイオウヤイトが振るった尾節に吹き飛ばされ地面に転がる。

 

 「バル君! バル君!!」


 そんな様子を見たミミリが自身の状況も構わず彼に向かって叫ぶが……その声も空しく彼女はダイオウヤイトに連れ去られ森の奥へと消えて行った。



 蹴飛ばされたライラは大したダメージを受けていない様で、直ぐに立ち上がりバルドの元に走る。


 しかしバルドは傷が深いのか立ち上がれない。


 「バルド!」


 ティアは叫びながら彼の元へ駆け寄った。


 「バ、バルド! 大丈夫!?」


 「……うぐ……ミ、ミミリを……連れ戻さないと……!」


 ティアの声に、バルドは辛そうに体を起こしながら呻く。そしてヨロヨロと剣を片手に立ち上がった。


 「当然! 私も行くわ、バルド!」

 「私もお嬢様と共に行きます!」


 ミミリを助けに行く心算のバルドに、ティアもライラも気持ちは同じだった。



 そんな3人の背後からクマリが声を掛けた。


 「……やめとけ……今回の相手は……お前達では荷が重い。……死ぬぞ?」


 「馬鹿言うな!? ミミリを見捨てろって言うのか!? 俺は絶対行く!」


 制止するクマリに対し、バルドは彼女に向き直って叫んだ。


 「落ち着けよ、少年……別にあの子を見捨てるって訳じゃ無い。私が助けに行こう……」


 「で、でも師匠……その足じゃ!?」


 自分が行くと言うクマリに、ティアは酸を受けた彼女の足を案じて叫ぶ。


 クマリの足は酸により酷い火傷を負ったらしく、まだ足を引き摺っている。彼女の回復魔法でもいまだ完全には癒えていない様だ。


 「……フン……小娘に心配されるとはね……。じきに直るさ、こんな傷。……良いか、お前達……。今回のダイオウヤイト討伐自体が……奴らの“罠”だったんだ」


 「そんなのどうでも良い! こんな話してる間に、ミミリは!!」


 クマリが状況を説明しようとしている間にバルドは憤慨しながら、一人で森の奥に進もうとする。


 ミミリを助けに行く心算だろう。そんなバルドの肩をクマリは掴みはっきりと言う。


 「馬鹿野郎! ミミリを攫った連中が誰かも知らん癖に、お前一人行った所で死体が増えるだけさ! ミミリの奴を本気で助けたいなら、もっと慎重になれ!」


 「くそ! ミミリを攫った奴らは誰だ!? 何でミミリを!?」


 クマリに強い口調で諭されたバルドは少し冷静になった様で、苛立ちながらも彼女に問い返す。


 「ああ、それを今教えるよ……。皆、このナイフを見て欲しい。そこでくたばっていた野盗が持ってたモンだ……」


 クマリは此処で手にしたナイフを皆に見せながら、手短に自分の考えを伝えた。



 ギナル皇国の兵士が野盗に偽装している事。ダイオウヤイトは何らかの方法でギナルの兵が操っている事。彼らの目的は何らかの目的で人間を攫う事等を……。



 「……これはギナルの連中による明らかな侵略行為だ……。何故連中が人を攫うのかは分らんが……。この件はひよっこのお前達には荷が重い。奴らは戦争を仕掛けてる訳だからな……。

 だから私が一人でミミリを助けに行くから、お前達は王都に戻って応援を……」

 

 「冗談じゃねぇよ! ミミリが攫われたって言うのに、人任せなんかに出来るか!」


 クマリの言葉に激高したバルドがそう言い放って一人で森の方に歩き出した。ミミリを助ける心算だろう。


 「……師匠……私もバルドと同じ気持ちです! ミミリは何時だって私を助けようとしてくれた大切な親友です。そんなミミリを見捨てて王都に戻るなんて……私には出来ません!」


 「ティアお嬢様が、そう言われるなら私もお供します!」


 バルドに続きティアもクマリの言葉に反して彼の後を追う。ライラもティアに従い後を追った。


 「……ヤレヤレ……足手まといが増えるだけだってのに……。仕方ないね、全く……」


 バルドと共に森へ向かうティア達の背中を見ながらクマリは呟き、面倒臭そうに彼女達の後を追うのであった。



いつも読んで頂き有難う御座います! 少し投稿が遅れまして申し訳ありません。


次話投稿は1/5(日)の予定です、宜しくお願いします!

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