126)参戦マリアベル
いつも読んで頂き有難う御座います! 今年一杯は、この投稿間隔で投稿させて頂きます。取明けから以前の様な週3ペースにて投稿させて頂きます。ご不便掛けますが宜しくお願いします!
次話は12/18投稿予定です。宜しくお願いします!
ダイオウヤイトを巡って、ソーニャとティアと言い争った日の夜……。
レナンは王城に有るマリアベルの自室で、部屋の主マリアベルの今日の顛末を聞かせていた。
「……と言う訳で……また、ソーニャとティアがケンカになっちゃって宥めるのに苦労したよ、ふぅ……」
溜息を付きながら説明を終えたレナンをマリアベルは苦笑しながら慰めた。
「ご苦労だったな、レナン……。お前の姉がソーニャや私に怒りを覚えるのは当然の事だ。私からソーニャには、もう少し感情を抑える様に言っておこう」
「そうしてくれると助かるよ、マリアベル」
マリアベルの言葉に素直に感謝するレナン。対してマリアベルは気になっていた事を彼に尋ねる。
「……所で……。そのお前の姉、ティアだが……、突然ソーニャに拮抗する程の実力を身に付けた事に関して……お前は何も聞かされていないのか?」
「ああ、どうもティアは僕には秘密にしたいみたいで……その事に触れると有耶無耶にするんだ。でも……」
マリアベルの問いにレナンに困った顔で答えた。対するマリアベルは、レナンが最後に呟いた言葉が気になった。
「……“でも?”……何か有るのか?」
「ああ、この前話したと思うけど……ティアが急に強くなった理由は……クマリさんがティアの師匠になった事と、絶対関係有ると思うんだ」
「学園に忍び込んで居たクマリからお前とソーニャが聞かされた話だな……。確かに、クマリはああ見えて特級冒険者だ。そのクマリに師事すれば、腕が上がると言うのも道理か……。それにしてもクマリめ。相変わらず、何を仕出かすか分らん奴だ」
レナンの予想にマリアベルも同意し呆れ顔で呟いた。
「でも……ティアの変わり様……魔法の威力も普通じゃ無かった……」
「……確かに……クマリに師事した為か、本人の素養が開花したのか……理由は分らんが、間違いなくお前の姉は……“強く”なっていると言う事は確かだ……。フフフ……実に興味深い……!」
急激なティアの変化に戸惑うレナンに対しマリアベルは新たな強者の出現を喜ぶ。
「でも……幾ら強くなったとしても……中規模災害指定魔獣は危険だ」
「……ふむ、ダイオウヤイトか……確かに気になる。あの魔獣は本来森で活動し……しかも単独での活動を好む……。
にも拘らず、ギルドからの我々騎士団への支援要請によれば、ダイオウヤイト複数体で日中に現れ、街道に往来する者を襲うと言う……。
ジェスタ砦に現れたロックリノの大軍や……王都に攻め入ろうとした巨獣……。そして今回の不可思議なダイオウヤイトの活動……。何やら胸騒ぎがするな……」
「そう言えば、以前アルテリアでキンググリズリーが現れた時は……龍に餌場を荒らされたのが原因だった……。やっぱり……その魔獣の討伐、僕が行こうか?」
マリアベルの話を聞いて、危機感を感じたレナンが声を掛けた。
しかしマリアベルは……。
「……いいや、それには及ばん。お前には不測の事態に備えて貰う。先日の巨獣討伐の様な事が起こればお前しか対応出来んからな……。
ダイオウヤイトの対応は、この私が行こう。お前はソーニャ達白騎士と共に王都に留まれ」
「でも、姫殿下のマリアベルが単独で討伐任務なんて……。流石に色々拙いんじゃない?」
ダイオウヤイトの討伐任務に参加すると言うマリアベルに対し、レナンは彼女の立場を案じて制止した。
「フフフ……我が身を案じてくれるのか、嬉しいぞ? だが、心配は無用。私はあくまで黒騎士……。蝶よ花よと持て囃される姫君より、戦場で民の為、戦う方が性に合っている。それに……」
「……それに……何?」
意味深に言葉を切ったマリアベルに、レナンは問い掛ける。対してマリアベルは……。
「それに……お前の“元婚約者”殿に……“現婚約者”として挨拶をしたいと考えていた所だ。討伐任務で会えるなら丁度いい」
「……ティアに酷い事するなよ……?」
悪戯っぽく笑って話すマリアベルに対し、レナンは困り顔で釘を刺した。
どうやら、マリアベルの中ではティアに会う事の方が目的の様だ。レナンは討伐任務に挑むティアに新たな災難が生じない事を願うのであった。