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102)検証

投稿が遅れてしまい申し訳ありません! 予約投稿の日を一日間違えておりました! 

 ティアが天に向けて放った下級火炎魔法の火砕……。


 下級故に何て事無い魔法だった筈が、秘石の力により強化された為か、上級魔法を超える破壊力を示してしまった。




 上空で数十mを超える火球を形成し、大爆発を起こしてしまったティアの魔法を見て、クマリは呟く。


 「……ヤバい予感がしたけど……まさか、これ程とはな……。この大爆発だ……騎士達が集まるかも知れん……。おい、ティア!場所を変える……」


 「すぴー、すぴー」



 クマリが真剣に話しながらティアを見遣ると……当事者である彼女は立ったまま頭をグラグラと揺らしながら目を瞑り寝息を立てていた。



 そんなティアの姿を見たクマリは……。



 “スパーン!!”


 頭に来てティアの頭を叩いた。



 「……ううん……レナン……待ってて……すぴー……すぴー……」



 頭を叩かれたティアは身を捩ったが、深い睡眠の為か、目を覚まさない。



 クマリはその様子を見て溜息を付きながら一人呟く。



 「ふぅ……仕方ないね……、書置きに寄れば、初期状態において……秘石が発動した後、激しい飢餓状態や……強力な睡魔に襲われるらしいからね……」


 クマリはそう呟いた後、立ったまま寝ているティアを抱きかかえた。


 「……このまま此処に居れば騎士達に目を付けられても厄介だ……。今後の事を考える為にも、アソコに向かうか……」



 そう呟いたクマリはティアを抱えたまま風魔法を付与して飛び上がり、屋根伝いで走り去るのであった……。





  ◇    ◇    ◇




 「此処なら……一息付けるだろう……」


 そう呟いたクマリがティアを連れて来たのは木漏れ日亭の一室だ。



 女将に事情を話し一部屋借りたのだ。敢えてクマリがこの木漏れ日亭を選んだのは、とある考えが有ったからだ。


 クマリは抱えたティアを柔らかいベッドの上に寝かした後、彼女が持っていた書置きを取って読み始める。



 今日見た、秘石の力を検証する為だ。



 「……今日……ティアの戦いを見て確認出来た……秘石の力は、爆発的な破壊力と……瞬発力を生むのか……。それと……圧倒的な魔法の威力向上も……。そしてその持続時間は……書置きの通り……数分間……。その後、あの飢餓状態と……睡魔が襲うって事だな……。これも書置きの通り……まぁ、秘石を取り込んだ初期の状況らしいが……」


 クマリは書置きをパラパラ読みながら、呟く。しかし書置きの中に大きく丸印で囲まれた項目を見つけ読み上げる。


 「……うん? こんな所に注意書きが有ったのか……。

 何々……”初期状態における、秘石の発動の後……実験体の女性達を襲う、激しい飢餓状態や強力な睡魔……。それらは抗しがたく、明らかに通常の状態とは異なっていた。

 ……しかし……“あの“神”は其れを無視して……実験体の女性達に……満足な食事や睡眠を与えず……激しい負荷を与え続けた……。奴らは実験体の女性を家畜以下に扱い……まるで死ぬ限界を……見極める様に酷使続け……全ての実験体を死亡させた……。

 私の考えでは実験体の女性達に十分な食事と睡眠を与えれば……全員、死に至る様な事は無かったと判断している。”奴ら”は一人残らず女性達を殺すつもりで秘石を与えたのだ……“ 

 ……注意書きはココで終わってる……成程……ギナルに居る白き神って奴は……とんでもない悪魔みたいだ……。そんな奴らがレナン君の仲間な訳が無い……。ティアが言ってたエンリって人を殺した側の連中だな……」



 書置きを読んだクマリは感慨深げに呟いて、柔らかな寝息を立てるティアを見て、そっと髪を撫でた。



 「……此処まで来て……この馬鹿を死なす訳にイカンな……。その為のヒントは書置きに有った。アクラスの秘石を取り込んだ後、時間が経過すれば如何なるかは、実例が無いから分らんが……慣れさせるしか無いだろう。しかし……秘石を身に付けた最初の内は……この馬鹿が欲しがる分だけ食わして……眠らせば良い……。

 だが、戦闘中にそんな事は自殺行為だ……。だからこそ……コイツには頼りになる仲間達が必要だ……!」


 クマリはそう呟いて、ティアの眠る部屋を後にした。


 木漏れ日亭に彼女に取って頼りになる仲間を集める心算だった。




  ◇   ◇   ◇




 所変わって王都の学園――



 レナンは模擬戦の授業中にピタリと動きを止めてあらぬ方向の空を見つめて呟いた。



 「……何か外が騒がしいね……」


 彼が見つめる先は、丁度ティアが大魔法を炸裂させた方向だった。


 彼は気だるげに木剣を構えもせず訓練場に一人立つ。


 いや……レナンの周りには、彼に勝負を挑んであっさり敗北した上、転がされた男子クラスメイト達が床に蹲っている。


 彼等は“白き勇者に勝負!”と喜び勇んで立ち向かったが……、一撃の上で無力化され横たわる羽目となったのだ。


 レナンは横たわる数十人の男子生徒を順に相手したにも関わらず、全く息を切らしていない事より、全然本気を出していない事は誰の目にも明らかだった。


 その様子に剣技指導役の筈だった逞しい男性教師が、唸りながら木剣を手にしてレナンの前に立つ。


 「……ううむ……何と言う強さ……。これが白き勇者と言う訳か……これは……是非胸をお借りせねば……!」


 そう言って男性教師はレナンに対し、木剣を構えるのであった……


いつも読んで頂き有難う御座います!


追)一部見直しました!


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