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コメディー

その土産物はテロ級の危険物です。

作者: 山目 広介

 あるとき、土産を貰った。韓国土産だ。それは一粒の飴玉だった。


 ◆


 その女性は韓国へ旅行に行ってきたらしい。

 その土産として私の手のひらの上に個装された一つの飴玉を渡して去っていった。

 今は残業前の休憩時間だった。

 そしてもう休憩時間が終わろうとしていた。

 ゴミ箱の前に立ち、個装を開け、口に放り込む。個装はゴミ箱だ。


 ◆


 ……後悔した。

 読めないハングル文字の書かれた何かも分からないものをなぜ、口に入れたのか。

 まず、飴とも思えない、えぐ味、苦味。

 まずっ!

 極めつけが匂い!

 臭い!

 どのぐらい臭いのか。私に声を掛けてから仕事の話に来たはずの女性が突然、明日にしましょう、と打ち切って逃げて行った。

 チクショウ! なんだ、その(さげす)むような目は……

 美人さんにされて快感に目覚めたらどうしてくれる?


 その匂いの素は口の中にある私は逃げられない。

 そもそもこれはなんだ!? 朝鮮人参か!?

 誰だよ。こんなの飴玉にしたやつ。

 クソッ! 高級品なのかも知れないが最悪だ。

 やべぇ、気持ち悪い。

 何か恨みでも買ったか。毒殺されるのか?

 もうダメだ。仕事打ち切って帰ろう。


 匂いの元が私だと知られているのか、通路をまるでモーゼの如く、突き進めた。

 そんなに匂うのか? 目が合っただけで、逃げることないじゃん。

 なんで今日に限って、可愛い子とかが多いんだよ。


 最臭兵器になった気分だ。

 あとで気付いたが、吐き出せば良かったと。トイレにでも行って。

 それを思い付いたのが家に帰って堪らずに、吐き出した後だった。

 食べ物を粗末にしちゃいけないよ、と教えられたことが(あだ)となった。


 ◆


 今度、韓国の土産は韓国海苔や焼き肉にして、と言おう。キムチは好きじゃないからな。


 そして、翌日。

 昨日の今日だからだろう。

 女性の視線が突き刺さった。


 ―― ゾクッ ――


 やばい。遅かった。

 変な扉を開けたのかも知れない……





素:素材という意味で

元:発生元という意味で


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