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気がついたら魔神でした  作者: ヴァル原
第4章 デミア大陸編
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気がついたら『暴食』でした

転移をした俺の目に移ったものは木だった。まあ、正確に言うならば俺よりも先に転移した者がいたのだが、気にしない。

話を戻そう。先ほど、木と言ったが数メートルの高さのものが連なっているようなものでは無い。幹の太さは数百mにもなり、高さは上を見上げてもその頂上を視界に入れることが出来ない。まあ、それは当たり前である。何せ俺たちがいるのはその大きな木の内側だから。


「見上げたら首が痛くなるのは間違いないな。」


「何か?」


「いや、何でもない、気にするな。」


俺の言葉に反応した秘書は取り敢えず置いておき、俺は上を見上げる。筒状にくり抜かれた巨大な木。その側面や足元にはこれまた巨大な魔法陣が彫り込まれている。そこを魔力が通ることによって幻想的な光景を生み出していた。


「綺麗なもんだな。」


「そうですね。この幻想的な光景を目の当たりに出来るのはとても光栄なことです。何せ、エルダー王国にすんでいてもこの『神樹』に入ることが出来るのはほんの一握りのものですから。」


「これだけの魔法陣があるところに人をホイホイと入れるわけにはいかないわけか。」


「はい。」


この魔法陣見て、感じ、俺の中には怒り?だろうか、そんな気持ちがこみ上げて来た。恐らく、これは俺の感情ではないのだろう。俺は“シヴァ”の記憶を持っている。その記憶の中にはある創造神の魔力、それと全く同じものがこの魔法陣の至る所で感じることができるのだ。だから、俺の中に残る“シヴァ”(いるのかわからないが。)が怒りを露わにしているのだろう。


「もう少し待ってくれ。必ず、俺が創造神を倒すからな。」


俺が“シヴァ”との約束を更に確固たるものにしていると、エルティナから声がかかる。


「全員、来たわね。それじゃあ、案内するから付いて来て!神樹から街まで距離があるわ。でも、兵士たちが馬車を用意してるから大しただ問題じゃないわね。」


その兵士たちは何処かと少し疑問に思ったが、どうやら神樹への立ち入りは禁止されているらしく、いかなるものであってもそれは同じであるらしい。つまり、神樹を出れば多くの者たちが待っているらしい。


「じゃあ、開けるわよ。」


巨大な扉にエルティナが手を添えると、ゆっくりと扉が動き出す。しかし、扉が開き俺たちの目に映り込んだものは誰も予想していないものであった。


「こ、これは!」


颯太が思わず声を上げるが仕方ない。何せ俺たちを待っていたはずの兵士たちが全員倒れているのだ。そんな兵士たちを見て、先生、横山が先行し、勇者たちがそのそばへと駆け出す。


「大丈夫ですか!?」


「…………。」


声を掛け、体を揺らすが誰も意識が戻らない。よく見てみれば目立った外傷もなく、まるで眠っているようだ。横山が回復魔法を使用するが状況は変わらない。


「一体誰がこんなことを。」


颯太が拳を握り悔しそうに言う。だが、颯太。これをした犯人ならばもう見つかっているぞ。俺以外にはアスモデウス、それと場所までは分かっていないがルネも気づいているな。勇者たちやエルティナたちは何処だと辺りを見渡しているが見つからない。俺は親切に彼らに場所を教えることにした。


「違う、上だ。」


指をさしながらそう言うと全員の視線が一点に集まった。


「あいつが。」


そこに居たのは小さい少女だった。紫色の髪は肩に掛からない程の長さしかなく、不気味な黒いローブを見にまとう。また、よく見ると魔法陣が刻まれたマスクをしているな。如何にも怪しい奴だがステータスはどれほどのものか。


【ベルゼブ】

種族:悪魔

性別:女

レベル:69953

攻撃力:70260000000

防御力:39600000000

魔攻撃:73000000000

魔防御:41005000000

魔力:58300000000

俊敏:49000000000

運:35

マスタースキル

『暴食之神』

『禁断之箱』

エクストラスキル

『魔力探知レベル100』

『再生魔法レベル100』

『重力魔法レベル100』

『鏡魔法レベル100』

『以心伝心レベル100』


また破格のステータスの持ち主が現れたわけだが、種族と言い、持っているスキルと言い、何処かで見たことのある構成に似ている。知り合いかもしれないな。まあ、聞いてみるか。


「なあ、アスモデウス。」


「何ですか?イヅナ様?」


「あのベルゼブって奴は知り合いか?」


「知り合いですよ。」


やはりか。


「じゃあ、呼んできてくれないか?これをやったのは間違いなくあいつだろ?何でこんなことをしたのか理由を聞きたい。」


「わかりました。ベルゼブ!!!降りてきて!!!」


「む、むむ。」


アスモデウスが一言かけるとベルゼブは空から一気に降下してきた。しかし、ベルゼブが地面に降りるとき、一切の衝撃が感じられなかった。『重力魔法』を使ったのだろうか?だとしても魔力の操作が上手くなければあそこまで衝撃を抑えることは出来ないだろう。流石はアスモデウスに近いレベル、ステータスを持つだけはある。そんなベルゼブを勇者たちは警戒するが、構わずアスモデウスと会話を始めた。


「むー。」


「待ってた?私たちをですか?」


「むー。むーむーむー。」


「確かにその通りですね。あ、だから私たちと一緒に旅をしようと!」


「むー。むーー。」


「まあ、良いんじゃないですか。ルシファーから許可は取ったんですよね?」


「むー。」


「なら良いですね。わかりました、少し待ってください。」


話が終わったようだ。アスモデウスがこちらに向かってくる。


「イヅナ様!」


「何だ?」


アスモデウスは親指を立て、グッドサインをする。


「問題ありません。連れて行きましょう!」


「……俺に分かるように一から説明してくれ。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



アスモデウスの言葉が足りず、すぐには理解できなかったが、その後の必死な説明の甲斐あり何とかベルゼブのことがわかってきた。

ベルゼブはアスモデウス同様、ダンジョン『聖なる祠』からやって来た悪魔だ。いつ創造神との戦いが始まっても良いよう、準備を進めて来たようなのだが毎日同じ場所で似た事をしていても意味がないと感じたらしい。しかし、『聖なる祠』には結界が張られて降り、内部から外に出ることは出来なかった。だが、俺が結界に何度も干渉したことにより僅かながら穴が出来たのだ。それを通り、外の世界に出たと言うのだ。そして、スキルにある『魔力探知』使い、先に外に出ていたアスモデウスの位置を特定し、サモン大陸へ移動。そこでアスモデウスを発見したのだが、彼女が次はデミア大陸のエルダー王国へ向かうと浮かれているのに気付き、先回りをすることにしたのだ。そして、サモン大陸からデミア大陸に移動する為の魔法陣前で待っていたのだが、ぞろぞろと兵士たちが集まって来て人を待っていると伝えても信じてもらえず、襲いかかって来たので意識を奪ったとのこと。これが彼女のこれまでの出来事らしい。


「で、行動するにも仲間がいた方がよく、俺たちについて来たい。そして、ベルゼブは信用できるから問題ない。よし、連れてこう、と言うわけか。」


「流石、イヅナ様!理解が早い。」


「何故だろうな。アスモデウスにそう言われるとムカムカしてくるんだが。」


「イヅナ様…。こんなところでムラムラなんて何言ってるんですか。」


最近上がりまくっていた付き人の好感度がぐんぐん下がる。


「で、その子は貴方たちの知り合いなのね?なら、早く兵士たちを起こして貰えないかしら。」


「むむ。」


エルティナがそう言うと全員の視線がベルゼブに集まる(もともと集まっていたが)。ベルゼブは了解とでも言ったのか倒れる兵士たちに手を向ける。

ベルゼブが兵士たちの意識を奪えたのはマスタースキル『暴食之神』の能力である。『暴食之神』は吸収、吸着を掌握する。このスキル何が恐ろしいかといえばマスタースキルだけあり、効果を発動する対象への制限がほとんどない事だ。例えば、実態のないものを吸収することができる。意識もそのうちの1つだ。今もあの倒れた兵士たちの意識はベルゼブの中にある。そして、『禁断之箱』のスキルがそれだけの情報量のものを吸収する事を可能にする。『禁断之箱』は自分の体内に無限のスペースを作り、隔離することができる。これにより、彼女への負担をゼロに出来るのだ。また、『禁断之箱』にはもう1つの能力があるのだが、それは今は置いておくとしよう。

吸収した物はベルゼブの任意で元に戻すことが出来る。ベルゼブが意識を返したことにより、次々と兵士たちが意識を取り戻していく。やはり、このスキルは強力だな。俺も後で練習しておこう。


「むむ(戻した。)」


「そう……って、貴方喋れたの?いえ、今のはスキル?」


『以心伝心』は言葉を話さずとも伝わると言うなんとも曖昧なスキルだ。


「まあ、良いわ。まずは貴方が何故、ここにいるのか?教えてもらうわ。あの魔法陣を起動させた形跡はなかった。一体、どうやってここに来たのかしら?」


どうやら、エルティナのターンが始まるようだ。




















区切りが悪いですがここまでです。

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