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気がついたら魔神でした  作者: ヴァル原
第3章 サモン大陸編
82/164

気がついたら何者でした

今回、前回と作者自身あまり納得したものが書けていないので、もしかしたら後日書き直すかもしれませんが、よろしくお願いします。


「飯綱くん!」


「横山さんか。」


アスモデウスたちと共に進むこと、3分程度。俺たちは横山さんと杉本を歩いているのを発見し、合流した。2人とも大丈夫か?


「うん!大丈夫だよ!」


「俺も大丈夫だ。」


2人が言うには杉本が試練を早くにクリアし、横山が試験を受けている場所に移動したらしい。ただ、杉本が横山の姿を見たときにはすでに試練をクリアしていたと言う。どうやら、この2人は俺が思っている以上に、この世界に来たことで成長していたらしい。


「あとは歩と颯太か。」


「ええ。そうね。2人とも無事かしら?」


「大丈夫だよ、琴羽ちゃん。あの2人ならきっと試練をクリアできるよ。」


「……確かに。ふふ、考えればすぐにわかることだったわね。」


「……琴羽ちゃん。」


横山が目を見開き、笑った琴羽を驚いた様子で見つめる。杉本も同じ様子だ。まあ、無理もないだろう。琴羽は今まで自分を知ろうとせずにその本心をまるで抜け殻のような表情の下に隠して来たのだ。それは親友である横山が相手でも変わらない。もしかしたら、笑顔を見たのは初めてかもしれない。


「結衣。私は試練のおかげ、いえ、飯綱くんのおかげで自分を知ることができたの。本当のことを知るのは怖かったわ。けど、頼れる人が出来たからもう大丈夫なの。」


「……良かった。」


横山の頬を大粒の涙が伝っていく。


「ついでに私の本心を伝えておくわ。結衣、あなたにはこれからも親友でいて欲しい。心を通じ合わせることの出来るほどの仲になりたい。良いかしら?」


横山は次から次へと溢れ出てくる涙をなんとか拭き取ろうとする。そして、優しい笑みを浮かべてこう言った。


「うん、これからもよろしくね。」


「こちらこそ。」


2人の様子を見て、俺は友人とはやはり良いものだと思った。本気で相手の気持ちを思う者、死んでも相手の幸せを願う者、僅かな可能性を信じ、助けになろうとする者。言い方は違えど皆、本当に友を思わなければ出来ないことだ。そして、そう言ったことが出来るものこそ、かけがえのない親友となる。

俺は親友、横山と抱き合う琴羽に近寄り声をかける。


「良かったな、琴羽。」


「ええ。飯綱くん、その……助かったわ、ありがとう。」


「俺は何もしてないさ。」


「そうかしら?まあ、あなたがそう言うならそうかもしれないわね。」


「そこは少し否定して欲しかったな。」


「冗談よ。」


ここは冗談まで言えるほど心をに余裕を持てているとポジティブに考えよう。

琴羽は横山から離れ、口を開く。


「ごめんなさい、皆を待たせてしまって。私たちはもう大丈夫よ。」


「ごめんね、皆。」


「気にするな。よし、先を急ぐぞ、まだ、2人何処かにあるはずだ。」


そう言って再び、進み出そうとしたそのとき。


「「よっしゃあああ〜〜〜!!!!!!」」


また、聞き覚えのある声がした。


「イヅナ様、これって。」


「あの2人だろうな。よし、急ぐぞ。」


俺たちは駆け足で声がした方向へと向かう。

周辺の様子がどんどんと酷くなり、砂埃も上がっている。おそらく、あの2人がここで試練を受けていたのだろう。


「見えたよ!」


ルネが声を上げ、指を指す。すると、そこには倒れる鳥と狼がいた。警戒し、剣を抜くが、よく見ると体のそこら中が傷だらけだ。あれでは動けない。

また、よく見ると動けない獣の側に2人の人影があった。


「どうやら、無事に試練をクリアしたみたいだな。」


「おっ!雅風!俺ら試練クリアしたぞ!」


「歩、まだ警戒を解くな。こいつらがまた動き出すかもしれないだろ?」


飛び跳ねる歩に獣を警戒する颯太。偽物ではなさそうだ。俺たちは2人の側に駆け寄る。


「歩くん、颯太くん、大丈夫?」


横山はすぐに2人を心配した。


「おう!この通りだぜ!」


「ボロボロだけど…。」


「大丈夫ってことだろ。」


「そう言うことだ!流石は我が親友理解が早い!」


褒められたのにあまり嬉しくないのわ、何故だろうか。


「それよりも皆はどうなんだ?」


「歩くんと颯太くん、ほど酷い人はいないわ。」


「そうか?」


「歩、自分の傷を見た方がいいんじゃないか?」


「颯太もな。」


この感じを見ていると高校を思い出すな。まあ、虐められていたこともあったが、こんな風に楽しく話をしたこともある。だから、懐かしく思えてくる。別に俺、自身、日本に戻りたいとはそこまで思わないが、未練はそれなりにありそうだ。

昔のことにも思える日本での記憶を1人思い出していた俺だったが、すぐ側に空気の読めない付き人がいることを忘れていた。


「どうしたんですかイヅナ様?もしかして1人でどうやってあの輪の中に入ろうか悩んでたんですか?」


「……はあ〜。お前、本当に試練クリア出来たのか?」


「余裕ですよ!」


アスモデウスはいつも通りの満面の笑みで答える。このおかげで助かることもあるのだが、今はただ気楽な奴に見えるだけだ。


「それで誰か【聖剣グラム】は手に入れたのか?」


「そうそう、そのことなんだが…。」


「それについては僕が話そう。」


声のした方を向くと杖を持った男が立っていた。まあ、こいつが何者かはだいたい予想はつくが話は聞いておこう。


「僕は影山 恒夫。先代の勇者だ。あ、そうそう。さっき2人から質問されたから答えておくけど、この肉体はただのプログラムだから、本物はとうの昔に朽ち果ててるよ。とは言え、過去の記憶は持ってるし、今、ダンジョンの操作してるのは間違いない。君たちには辛い試練を与えてしまったね。まあ、簡単にクリア出来たものもいるようだけど。」


男は横山と杉本の方を見る。そういえば、あの2人は見た感じ疲れた様子もなかった。本当に楽々とクリアしてしまっただろう。俺でも少し疲れた試練だった。あの2人の力は知らぬ間に伸びているのかも知れない。


「君たちは強くなった。特に歩と颯太。今の君たちは全盛期の僕の力をとうに超えているよ。」


「当然だな。」


「歩、あんまり調子に乗らないでくれよ。」


2人の力か。確かにステータスを見なくとも纏っているオーラがダンジョンに入る前とはだいぶ違う。丁度、全員が揃っていることだ、ステータスを確認させてもらうとするから。


【木下 歩】

種族:勇者

レベル:1182

攻撃力:320000

防御力:300000

魔攻力:270000

魔防力:230000

魔力:200000

俊敏:280000

運:1000

【能力】

マスタースキル

『隙間之神』

ユニークスキル

『探求者』

エクストラスキル

『剣王レベル100』

スキル

『光魔法レベル100』


【上条 颯太】

種族:勇者

性別:男

レベル:1190

攻撃力:360000

防御力:320000

魔攻撃:280000

魔防御:220000

魔力:180000

俊敏:275000

運:1000

【能力】

マスタースキル

『道俣之神』

ユニークスキル

『統率者』

エクストラスキル

『剣王レベル100』

スキル

『光魔法レベル100』

『見切りレベル100』


【横山結衣】

種族:勇者

性別:女

レベル:860

攻撃力:80000

防御力:110000

魔攻撃:280000

魔防御:270000

魔力:230000

俊敏:70000

運:800

【能力】

ユニークスキル

『大賢者』

エクストラスキル

『再生魔法レベル50』

スキル

『光魔法レベル100』

『回復魔法レベル100』


【清水琴羽】

種族:勇者

性別:女

レベル:873

攻撃力:270000

防御力:130000

魔攻撃:0

魔防御:60000

魔力:0

俊敏:390000

運:700

【能力】

ユニークスキル

『武芸者』

『予測者』

『心眼者』

エクストラスキル

『槍王レベル100』

スキル

『体術レベル100』

『見切りレベル100』


【杉本健二】

種族:勇者

レベル:902

攻撃力:260000

防御力:250000

魔攻撃:190000

魔防御:190000

魔力:190000

俊敏:230000

運:500

【能力】

ユニークスキル

『裏切者』

『友好者』

エクストラスキル

『斧王レベル100』

スキル

『闇魔法レベル100』

『呪法レベル100』


【ルネ・サテライト】

種族:半人

性別:男

レベル:803

攻撃力:210000(+500000)

防御力:230000(+500000)

魔攻撃:220000(+500000)

魔防御:250000(+500000)

魔力:250000(+500000)

俊敏:320000(+500000)

運:5

【能力】

ユニークスキル

『風操者』

『黄泉之者』

エクストラスキル

『剣王レベル92』

スキル

『風魔法レベル100』

ギフトスキル

『邪神の剣』

『邪神の寵愛』


【アスモデウス】

種族:悪魔

性別:女

レベル:69790

攻撃力:56000030000

防御力:53000060000

魔攻撃:60000020000

魔防御:62000040000

魔力:58000080000

俊敏:56000020000

運:80

【能力】

マスタースキル

『色欲之神』

エクストラスキ

『全武術レベル100』

『全属性魔法レベル100』

『未来予測・予知レベル100』

『魔力索敵レベル100』


全員が驚くほど強くなってるな。レベルは800オーバー。スキルはレベルMAX。そして、歩も颯太に至ってはマスタースキルを入手している。このダンジョンは彼らに相当の経験をさせたのだろう。

経験。それは決して戦いの中だけで培われるものではない。彼らは普段決して体験しないようなことをしてきた。それは彼らにとって、今までに無いほどの経験となったのだ。

俺はここでふっと思いついた。勇者たちはこれからも戦っていくかもしれない仲間だ。今後のためにも、今のうちにユニーク以上のスキルの詳細を確かめておいた方が良さそうだな。俺は早速、行動に移る。


『隙間之神』・・・・情報の掌握。惑わされることなく相手を見抜くことが出来る。


『道俣之神』・・・・道の掌握。己や仲間の進む道を作り出す。軌道を操作することも出来る。


『探求者』・・・・探求の掌握。探究心上昇。己が物事を求める間、その思いの丈に比例し、能力上昇。物事との距離を縮める。


『統率者』・・・・統率の掌握。統率力上昇。統率下にいる存在が多いほど能力上昇。己の統率下にいる者の能力上昇。連携力上昇。統率下にいる者の下は移動できる。


『大賢者』・・・・魔の操作。大気中の魔力を操作できる。大賢者』所有者の魔法の威力上昇。魔法に対する抵抗力上昇。


『武芸者』・・・・武器の掌握。己が手にする武器の力を最大限に引き出す。また、手にした物を何であろうと武器とする。


『予測者』・・・・予測の操作。自分、または自分に対しての外部からの予測を操作する。少しだけだが予測した未来を改変可能。


『心眼者』・・・・目の掌握。己の目に映った偽りを見抜く。また、他人の視界を見ることが出来る。


『裏切者』・・・・逆の力の掌握。スキル使用時、自分の行動と逆のことが起こる。


『友好者』・・・・友との絆。自分以外の者のスキルを使用することが出来る。ただし、それには相手の承諾が必要。

現在使用可能スキルなし。

使用可能スキル上限数1。


と、こんな感じか。ルネとアスモデウスのユニーク、マスタースキルに変化は無いようだ。

だが、改めて見てみると勇者の力がどれ程凄いのかわかる。使いようによってはどのスキルもとてつもない力を発揮できるものばかりだ。特に可能性を感じるのは杉本の『友好者』だ。今はスキルの上限数は1だがあの数は伸びる。全ては無理だったとしても、勇者たちのスキルをいくつも使える戦士が誕生する可能性があるのだ。

もしかしたら、あの杉本が勇者たちを支える日がいつか来るかもしれない。まあ、他の奴らも成長している以上、それは難しいかもしれないがな。


「ん?何か分からないことでもあった?」


先代が不満そうな表情で言う。


「いや、何でもない。続けてくれ。」


「分かった。では、いきなりだけど本題に入る。」


そう言うと、先代の後ろから1つの星が飛んできた。何人かはそれを不思議そうに眺めていたが、俺にはあれが何かわかった。隠そうにも隠しきれないオーラが溢れ出ている。


「【聖剣グラム】か。」


「その通り。よく分かったな。」


「あれだけのオーラを放ってるんだ。分かるさ。」


「それとそうだな。」


会話をしている間に星、もとい【聖剣グラム】は先代の隣まで移動していた。

刀身は星に刺さり、柄しか見えない状態だ。それでもここにいる勇者たちの体が震えるほどの威厳は持ち合わせている。


「そこの彼が言ったようにこれは【聖剣グラム】。君たちが手に入れようとしていたものだ。」


「あれが……【聖剣グラム】。」


皆の目が【聖剣グラム】に集まったその時だった。もう1つの【聖剣】が光を纏い顕現した。


「うわっ!」


ルネの目の前に魔法陣が現れ、その中から剣が現れる。【聖剣カラドボルグ】だ。


「懐かしいものだ。かつてその剣は僕の仲間が振るっていたものだ。確か、『犠牲』の力…だったか。その力は全ての聖剣の中でも特に強力だ。しかし、その為には代償が必要だ。……心して使えよ。」


先代は【カラドボルグ】を悲しそうな目で見た後、ルネに強く警告した。ルネは答える。


「大丈夫。僕はこの剣を守る為に使うと決めたさ。ただ、その為ならどんな代償をも払う。それだけの覚悟を持って僕はこの柄を握った。だからこそ、僕は力の使い時を間違えるつもりはないさ。」


先代はしばらく見定めるかのようにルネを見つめた。その場の空気に勇者たちも緊張したのか、口を開かず2人の様子を見る。もちろん、俺も静かにしていた。ただ……。


「…イヅナ様、これ何してるんですかね?ねえ、イヅナ様、イヅナ様。聞こえてますか?」


付き人は黙ってはくれなかった。お願いだから本当に静かにしてくれ。

俺がアスモデウスに気を取られているうちに、先代はルネを認めていた。


「辛い道だが頑張ってくれ、勇者の1人として。」


先代の顔は先程の厳しい物ではなく、家族に向けるような優しいものとなっていた。ルネも自分が認められたと分かったのか、笑みを浮かべていたが先代の最後の言葉に首を横に振った。


「僕は勇者様ではないよ。ただの人間さ。まあ、先代の勇者様にそう言われては頑張るしかないけどね。」


「ん?今、勇者ではないと言ったのか?付き人と言うことか?」


「付き人とは違うね。僕とイヅナくん、それにアスモデウスさんは国王様の頼みで勇者様に同行しているだけさ。」


「成る程な。」


先代の表情は再び、険しくなる。これは何か突っ込まれそうだ。


「そこの君。」


先代は俺を指差す。


「……何だ?」


先代は俺との距離をゆっくりと縮めながら、話始めた。


「このダンジョンに君たちが入ってから、僕にとっても予想外のことが起きた。それは君たちの力が大き過ぎてダンジョン自体に影響を及ぼしたことだ。具体的に言えば、ダンジョンの力で君たちに影響を与えようとしたら、はじき返されたんだ。」


「それはただ俺たちの力が強かった、と言うことではないんですか?」


颯太が言うが、先代は首を振り否定する。


「ダンジョンに入ったとき、試練で君たちを見たとき、僕は君たちの力を確認した。けどね、3人程僕でも、いや、マスタースキル3つ分の力を使っても、見定めきれなかった者たちがいたんだ。そうだろ?イヅナくん、アスモデウスくん……


「え?私、女だから“さん”ですよ。」


…ルネくん。」


勇者たちの視線は俺たちに集まる。まあ、こうなるのも仕方なしか。マスタースキルの上位、ソーズスキルを持つ俺、それにそんな俺がステータスを秘匿したアスモデウスに、ルネだ。例え、マスタースキル3つの力を使ったとしても、見破れるものでは無い。


「そうだな。」


俺は隠すつもりもないので、すぐに認めた。


「君たちは勇者の味方でいいんだね。」


「ああ。」


「なら今ここで答えろ!」


先代は俺の胸に杖を押し当てた。


「君は一体、何者だ!」





















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