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気がついたら魔神でした  作者: ヴァル原
第3章 サモン大陸編
80/164

気がついたら【聖剣グラム】でした

祝総合評価1500点突破!!!

皆さんのおかげでここまで来ることができました!ありがとうございます。

次は2000点を目指し頑張っていきます!どうぞこれからも『気がついたら魔神でした』をよろしくお願い!


ーーー木下歩&上条颯太SIDEーーー


「どこだ、ここ?他の奴らはいないし、変だな。」


俺は見覚えのない場所で辺りを見渡すが、俺たち以外の人影は見えない。


「ダンジョンの中なのは間違いないだろうね。みんなはもしかしたら別の場所に行っているのかもしれない。」


隣で颯太が言った通り、ここはダンジョン内部だろう。不思議な場所だ。とても現実とは思えない。宇宙のような空間に1つの大きな球体を中心として、無数の球体が浮いている。俺と颯太はそれに思わず見とれてしまう。

そのときだった。


「やあ、君たちが勇者だね。」


「「!」」


俺と颯太は突然、掛けられた声に驚きながら剣を構える。すると、そこには眼鏡をかけ、白いマントを付けた、痩せ型の黒髪の青年が立っていた。見た感じ年は俺たちより上の気がする。


「あなたは誰ですか?」


颯太が尋ねる。こう言った場合は基本そういうことになっているのだ。何でも、俺が話し始めると大体面倒なことになるから、という理由かららしい。酷いものだ。もう少しオブラートに包んでも良いんじゃ無いかと思う。まあ、それは今は置いておこう。

とにかく、颯太が尋ねた。眼鏡のやつはこたえる。


「僕は先代の勇者の1人、影山 恒夫かげやまつねおと言う。」


「勇者ですか……。本物という証拠はあるんですか?申し訳ないのですが、先代の勇者が召喚されたからかなりの年月が経っています。今も生きているとは考えにくい。」


成る程な。何百年も前に召喚されたやつが、こんな何も無いところで生きていられるとは思えない。だが、俺は思った。


「そうか?勇者ならどうにかなるんじゃねえか?」


勇者って何でもありそうだろ?俺はそう思った。


「確かにその可能性もある。人間という枠組みに入れられない存在だからね、寿命が伸びているかもしれない。だから、確認のため本人に聞いているんじゃ無いか。」


まあ、確かに敵意は無さそうだし、今は様子見というところか。

先代の勇者、影山は突然拍手をした。俺たちは意味もわからず眺めることしかできない。


「それだけ用心深ければ安心できる。」


「そうですか。それであなたは結局勇者なんですか?」


「いや、僕はただのプログラムみたいな物だよ。」


「プログラム?」


「そう。僕は影山恒夫の記憶を持って生まれた。そうだな、人工知能、まあ、ダンジョンだけど、それが映し出した立体的な映像だと思ってくれれば良いよ。一応言っておくと僕には触れられないし、僕から君たちに触れることもできない。」


影山はそう言って手を差し出してきた。俺と颯太はその手を掴もうとするが、スルリとすり抜けてしまった。どうやら本当みたいだ。


「わかりました。と言うことはここに俺たちを連れてきたのはあなたですね?」


「え、何でだ?」


先程の会話を聞いていた俺だが、なぜ颯太が影山が俺たちをここに連れてきたのかわからない。やっぱり俺は頭の方は駄目だな。


「さっき言ってただろ?ダンジョンが映し出してるって。」


「ああ、確かにそんなこと言ってたな。」


「そこまでわかればわかるだろ?俺たちをここに飛ばしたのはダンジョンだ。そして、目の前に影山さんもダンジョンの一部、いや、もしかしたら勇者の記憶を持っている彼がダンジョン全体を操作している可能性もある。」


「へえ〜。あんた凄いな。」


「まだ、そうだと決まったわけじゃ無い。」


颯太がため息をする。俺ってそんなに迷惑かけてるか?そんなはずないと思うが。まあ、それはともかくだ。今は影山の答えを聞く必要がある。


「で、どうなんだ?」


「君たちが言った通りだ。今は僕がこのダンジョンを操作している。そして、訳あって君たちをここへ連れてきた。」


影山は自分のした事だとあっさりと認めた。まあ、その方がいいよな。勝手な事しといて、下手に嘘ついた誤魔化そうとする奴だったら1発殴ってやるところだ。ん?いや、それ以前に俺が勝手にこいつのダンジョンに入ったから、そんな事したら駄目か。よく分からなくなったな。

俺が1人頭を抱えている間に、影山は話を続ける。


「僕はこのダンジョンに入った者たちにそれぞれ試練を与えた。」


「試練。それはいったいどう言ったものですか?」


「今回は精神的なものが多かったな。だが、君たちにはまた違ったものを用意させて貰った。」


影山は杖を掲げる。すると、周囲に浮いている球体の1つが光を放ちながらこちらに飛んできた。そのあまりの明るさに俺と颯太は思わず目を瞑る。


「何しやがる!」


「悪かったね。もう目を開いて大丈夫だよ。」


言われた通り、目を開く。すると、そこには1つの球体が浮いていた。しかし、俺たちの視線はその球体には向かなかった。


「気付いたみたいだね。」


「まさかこれが……。」


「そう。【聖剣グラム】だ。」


青白いオーラを纏ったその剣こそ、俺らが探し求めた【聖剣グラム】だった。幾多の戦場を乗り越えた剣、しかし、その刀身には傷1つない。まさに剣の頂点にある存在だ。

俺はおもわずその美しい姿に見入ってしまった。


「これを僕は君たちのどちらかに授けようと思ってる。」


「本当か!」


「歩、そんなに食い付くんじゃない。おそらく試練か何かを受けなければならない筈だ。」


確かに俺たちはまだ、みんなが受けていると言う試練を受けていない。もしかしたら、影山は俺たちにとんでもないことをさせようとしているのか?だが、どんな試練だろうと関係ない。必ず、クリアしてみせる。

俺は覚悟を決める。しかし、影山はそんな俺が間抜けに思えるほど軽い感じで話す。


「まあ、君たちには精神的な類の試練を受けさせる気は無い。だから、そんなに身構えないで、気楽にして良いよ。」


「試練の内容は。」


「それは……。」


次の瞬間、影山はその場から消えていた。そして、気がつけば【聖剣グラム】の横に立っているでは無いか。影山は【聖剣グラム】を指差す。


「これを引き抜くこと。」


「やっぱりそうか。」


俺は自信満々に言った。あんな突き刺さった剣を出してきて、それが試練に関係しないわけがない。となれば、間違いなく引き抜いた者がその使い手に選ばれる筈だ。


「と言うのは冗談。」


「こ、この野郎。」


むかつくやつだ。


「まあ、そう怒るな。試練の内容を言うから。」


最初からそうして欲しいもんだ。


「では、君たちには肉体的な意味での鍛錬をして貰う。」


「それなら、今までひたすらやってきたぞ?」


俺は剣を振るってきた日々を思い出す。基本的な形を学び、騎士たちに相手になって貰って日々鍛錬してきた。颯太という仲間にして、最大のライバルもいて、俺は日に日に力を増していった。

しかし、鍛錬をやれとはまだまだ俺たちが甘かったのだろう。


「確かに君たちは鍛錬をしてきて強くなった。しかし、まだ足りない。魔神教の奴らと戦って負けたことは知っている。そして、そこで君たちが圧倒的な力の差を感じた筈だ。」


「確かにな。あのとき俺はもっと力が欲しいと思ったさ。守って、救ってやれるほどの力が。」


「俺もクラスのみんなを守れる力が欲しい。」


颯太の手に力が入る。あの敗北はそれだけ悔しかった。そして、自分を情けなく感じさせた。


「ダンジョンに入ってきたときから、君たちに【聖剣グラム】を託そうと考えていた。あの剣の能力を使うべき者は勇者たちを纏められる者であって欲しい。それにはもちろん力も求められる。その条件に見合っていたのが君たちだ。」


みんなを背負っていけ、と言うことか。面白い。


「僕は君たちの試練は何をすれば良いか考えた。そして、導き出した答えが単純に力をつけることだ。敗北によって失われた自身をここで取り戻す。それが君たちに与える試練だ。」


「俺たちの。」


「試練。」


これを乗り越えたとき、俺たちはさらなる高みに登れる。仲間を守る為、世界を救う為、魔神を倒す為、この試練、失敗するわけにはいかない。もう2度と負けるわけにはいかないんだ。


「相手は僕がしよう。と言いたいけど、僕は戦えないからね。代わりにこの聖獣たちにして貰おう。」


影山がそう言うと天から光が2つ落ちてきた。1つは鳥。もう1つは狼へと姿を変えていく。

強い。見ただけでわかる。単純な力勝負ならこちらにも勝機がある。しかし、あいつらが正面からやる程頭は悪くない。この戦い、経験の差が出るだろう。


「聖獣は強いよ。それこそ今の君たちでは恐らく勝てないほどにね。けど、時間の心配ならしなくて良い、ダンジョン内の時間の動きなら少しくらい操作できる。鍛錬に励んでくれ。それでは、試練始め!」


その声と共に聖獣たちが飛び出す。速い、だが反応出来ないわけじゃない。これならいける。


「颯太、俺たちも行くぞ!


「わかった。いつもみたいに突っ込みすぎたりしないでくれよ!」


「任せろ!」


こうして、【聖剣グラム】を手に入れるべく、俺たちの試練が始まったのであった。



木下歩、上条颯太・・・・『力の試練』開始
















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