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気がついたら魔神でした  作者: ヴァル原
第2章 カラドボルグ魔法学園編
30/164

気がついたら学園でした

前々回、大陸の名前を間違えてしまいました。

正しくは、ブリア大陸でした。

すいません。

  現在、俺はアスモデウスと共にブリア大陸のとある森の中にいる。


  「イヅナ様〜。まだ、つかないんですか〜?」


  「あと少しだ。我慢しろ。」


  「そのセリフ一時間前から行ってますよ。」


  「……まあ、多分大丈夫だ。」


  「多分って何ですか…。」


  確かに俺が『ヨグ・ソトース』を使い、周囲を確認したときにはこの森と、その先にあるカラド王国が確認できていたはずだった。しかし、いくら歩いても王国が見えてこないのだ。


  「本当に王国の近くに転移したんですか?」


  「したはずだ。……まさか、何者かによる妨害が…。」


  「あり得ません。イヅナ様の転移の妨害なんてルシファーでもできるかどうか分からないんですよ。そんなことができる人物なんて早々いません。」


  「まあ、そうだが…。」


  だとすると一体何故王国が見えてこないのだろうか…。


  「よし、もう一回、スキルで周囲を確認してみるか。」


  「え?今まで使って無かったんですか?」


  「ああ。いつも常時使用してるからな、たまには羽休めというか周囲を警戒せずに楽に行こうかと思ってな。」


  「………。」


  何やら急に考え始めるアスモデウス。


  「イヅナ様。少しスキルを使う前にもう5分だけでいいので歩いて貰えませんか?」


  「別にいいが、何故だ?」


  「細かいことは気にしないで、行きましょう。」


  俺とアスモデウスは再び歩き始めた。

  そして5分後……。


  「やはり、森を抜けられないな。」


  「それはそうですよ。」


  アスモデウスがあたかも当然かのように言う。


  「イヅナ様は先程から同じところをずっと回っているんです。」


  「え?」


  「証拠もあります。イヅナ様、足元に落ちている紙を拾ってみてください。」


  俺は言われた通りに拾う。


  「それは私が5分前にいた場所に落としたものです。しっかりと名前も書きました。」


  そう言われ、俺は紙を確認した。


  “アスモデウス♡イヅナ様”


  こんなことを書くのはアスモデウスくらいだろう。だとすると、アスモデウスが言っていたことは、全て事実だったと言うことになる。


  「……俺ってそんなに方向音痴だったのか?」


  俺は少しショックを受けた。


  「まあ、誰にでも弱点位ありますよ。それに、イヅナ様にはスキルがあるじゃないですか。」


  「アスモデウス……。はあ〜。」


  「な、何でため息なんてするんですか!」


  「いや、アスモデウスに慰められているのかと思うと自然と…。」


  「やっぱり、イヅナ様は最近酷いです。」


  「そうか?まあ、それだけ仲が良くなったと思えばいいことだろ?」

 

  「…そうですね。そう考えると私は進歩したことになりますものね。」


  チョロい。


  「そう言うことだ。それじゃあ、話もまとまったことだ、今度こそ迷わず王都に向かうぞ。」


  「はい。」


  俺達は再び歩き出した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



  「近かったな。」


  「そうですね。」


  『ヨグ・ソトース』を使用し、歩き始めて僅か15分。俺達は王国に着いていた。街並みはフィエンド大陸の王都エスカの物に似ている。唯一違うところといえば、エスカの街には巨大な城や塔など街の何処からでも見える建築物があったが、ここカラド王国にはそう言ったものは見当たらない。

  俺は街の様子を軽く見た後。


  「…王国にも着いたし、部屋で休むとするか。」


  と呟いた。すると、アスモデウスが俺の前に立った。


  「イヅナ様、何を言っているんですか?」


  アスモデウスが目を輝かせながら言う。


  「私達を学園が呼んでいるのが聞こえませんか?」


  「いや全く。」


  「ノリが悪いですよ。全く、しっかりしてくださいよ。」


  最近、アスモデウスが調子に乗り始めている気がする。


  「さあ、行きましょう!」


  アスモデウスの顔が目の前に迫る。


  「少し待…。」


  「行・き・ま・す・よ!」


  アスモデウスのおでこが俺のおでこと重なる。これは、もう何を言っても無駄であろう。


  「わかった。学園に行くとするか。」


  「ありがとうございます。では、私に着いてきてください。待っていてくださいね、夢の学園生活。」


  そう言って、アスモデウスはスキップでどんどん先に進んでいく。よほど学園が楽しみなのだろう。まるではしゃいでいる子供のようだ。

  そんな、嬉しそうなアスモデウスに口出しはしたくはないが、これだけは言わせてほしい。


  「アスモデウスー!!!学園は逆方向だぞー!!!


  「もっと、早く言ってくださいよ!!!」


  アスモデウスがこちらに、かけてきた。


  「勝手に先走ったのは誰だ?」


  「うぐっ!?痛いところをつきますね。」


  「そこまで、痛くないだろ。」


  「まあ、そうですね。」


  その後も、再びアスモデウスが先に行き道を間違えたり、ナンパ(アスモデウスが)にあったり、学園の入り口に着くのにさらに1時間かかった。


  「ようやく着いたな。」


  「そうですね。ここまで長かったです。」


  「よし。それじゃあ行くか。」


  「はい。」


  そうして、俺達が学園に足を踏み入れようとしたそのとき。


  ギュルルルルル〜。


  突然、何処からともなく大きな音がなった。


  「アスモデウス…。」


  「これはその…あれですよ、そう!まだ学園に入るときじゃないと言いますか…おやつの時間と言いますか…。」


  顔を赤くしながら必死に言い訳をする。


  「はあ〜。すぐそこにカフェがあるが、お茶にでもするか?」


  「わ、私は早く学園に行きたいのですが、まあイヅナ様にそこまで言われたらしょうがないですね。」


  「わかったわかった。」


  上機嫌のアスモデウスとともに俺はカフェへと入った。しかし、それからが大変だった。


  「すいませ〜ん。この“季節のスイーツ”と“紫芋のタルト”、それに“苺のショートケーキ”に“モンブラン”、あと“レアチーズケーキ”をお願いします。あ、全部ホールでお願いします。それとレアチーズのソースはレモンソースで。」


  「は、はい。」


  定員さんもドン引きの量だ。


  「お前ないくら何でも食いすぎだ。」


  「良いじゃないですか。どうせ、お金なら幾らでも有るんですし。」


  「それはそうだが。」


  俺達はエスカ王国での魔物の一件でそこらの金持ちなんか目でもないほど金を貰った。そのため、確かに金には困らないのだが、それを差し引いても限度ってものがある。


  「しょうがない。今回だけだぞ。」


  「はい。ありがとうございます。」


  「その代わり、明日からはケーキは1日1台とする。」


  「えー。それだけですかー。」


  アスモデウスが膨れっ面になる。


  「確かに少ないが我慢しろ。」


  (((いや、充分だろ!)))


  このカフェにいた、俺達以外が心の中でこう叫んだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



  「あ〜美味しかったです。」


  「よく食い切ったな。」


  やはりこいつにはマスタースキル『色欲之神』よりも『暴食之神』の方が似合っている。


  「まあ、何はともあれこれでようやく学園に入れるな。」


  「そうですね。」


  そして、俺達は再び学園の入り口前に立った。俺はすかさずアスモデウスの方を見る。


  「まさか、またお腹を鳴らすとか思ってるんですか?」


  「ああ、その通りだ。」


  「そこまで食いしん坊じゃありません。」


  あれだけ食べてよく言うものだ。


  「わかったわかった。それじゃあ行くぞ。」


  そうして学園の方を向くと、学園の中から1人の女性が歩いてきた。


  「初めまして。」


  「あ、どう…んぐ!?」


  俺が返事をしようとした途端、アスモデウスが俺の口を押さえた。


  「何するんだ。」


  俺は小声でアスモデウスに聞く。


  「イヅナ様。ここはもう学園ですよ。学園での性別を忘れたんですか?」


  「あ…。」


  そうだった。俺はこの学園では女ということになっていたのだった。


  「わかったら、女性らしい言葉使いをして下さい。」


  「………。わかった。」


  俺は再び女性の方を向いた。


  「あの、どうかされました?」


  「いえ、何でもありません。」


  俺は出来る限りおしとやかに話す。


  「そうですか。では、続けますね。私はこの学園で教師をしているものです。今回はエスカ王国からの入学生おふたりに説明等をするためこちらにきました。」


  「そうでしたか。それでは私達のことはもうご存知ですか?」


  「はい。イヅナ・ルージュさんとアスモデウス・ルージュさんですね。確か、アスモデウスの方が養子なのですよね。」


  ちなみにこの苗字は俺の瞳の色から取ったと言うのだから、適当にも程がある。さらには、同じ苗字なのに顔が似ていないからアスモデウスを養子にしたのだ。全く、ふざけた国王だ。


  「はい。そうです。」


  アスモデウスが応える。


  「では、早速試験を行います。」


  「え?」


  試験?そんな話は聞いていないのだが…。


  「その…試験をするのですか?私達、国王様から聞いた話と違うのですが…。」


  「そうかもしれませんね。私達は試験をするなどと一言も言ってませんですし。」


  「………。」


  どうやら試験を避けることは出来ないようだ。


  「ちなみに試験は何をするんですか?」


  「今回は転入試験と言う形ですので、私達教師と一対一で実力を見ます。」


  予想通りだ。まあ、まだ筆記試験では無かっただけマシであろう。


  「わかりました。それでは早速試験に取り掛かって貰ってもよろしいでしょうか?」


  やはりこの喋り方には違和感しかない。


  「はい。では付いてきて下さい。」


  俺達は教師の後を追い、俺達がこれから通う(予定)のカラドボルグ魔法学園へと入って行った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



  「広いですね。」


  やはりこの喋り方は気持ち悪い。


  「そうですね。面積だけならエスカ王国のお城よりも有るんじゃないですか?」


  建物の高さは4階建てとたいした高さは無いのだがとにかく面積が広かった。もしかしたら、某ネズミの国の倍以上あるかも知れない。


  「この学園は広すぎるので数年前までは移動にかなり困っていたんですよ。」


  女性教師が話し始めた。


  「数年前まではと言うことは今は違うのですか?」


  「はい。今は“瞬間移動の魔法陣”が設置されており、最も離れた校舎間の移動でも5分も掛からなくなりました。」


  「そうですか。」


  “瞬間移動の魔法陣”か少し気になるな。


  「それでは、私達も魔法陣に入りましょう。」


  「どうすれば起動できるのですか?」


  「直接、行き先を思い浮かべる方法と魔法陣それぞれに振られている数字を声に出す方法があります。ただ、魔法陣の数も多いので、新入生の中には苦労する人もいるんです。まあ、その話は置いといて、早く向かいましょう。単位先の番号は20番ですので、魔法陣に立ったら「20」と言ってください。」


  「わかりました。」


  「では、私は先に…。」


  そう言うと魔法陣の光に包まれ女性教師は姿を消した。


  「じゃあ、イヅナ様。私先行きますね。…20!」


  続いてアスモデウスも同じように姿を消す。


  「20。」


 俺も続いて移動をした。

  目を開くとそこはエスカ王国に合った試験場を少し広くしたような部屋に出た。


  「ここは本来、魔法の実践のとき使用する教室です。」


  教室なのか。


  「それでは早速試験を始めましょう。どちらから始めますか?」


  「はいはいはい。私からやります。」


  「わかりました。では、アスモデウスさんこちらに。」


  「では、イヅナ様。行って来ます。」


  「行ってらっしゃい。くれぐれも力加減を間違えないようにして下さいね。」


  「はい…ぷぷ…わかりましぷぷ…。」


  こいつは後でお仕置きだ。


  「それでは試験を始めます。アスモデウスさん、始めて下さい。」


  「先にやって良いんですか?」


  「?ええ、もちろん構いませんよ。」


  「じゃあ、ちゃんとかわして下さいね。そうしないと先生下手したら死んじゃいますよ。」


  「え?」


  「“ウィンドカッター”」

 

  どうやらアスモデウスは“無詠唱”で魔法を使えるらしい。

  女性教師は何とか上に飛び、“ウィンドカッター”をかわしたが…。


  「これって物理攻撃も良いんですよね?」


  「!」


  アスモデウスはすでに女性教師の目の前にまで迫っていた。そして、アスモデウスの拳繰り出される。教師と言えど流石にこれは対処しきれないだろう。予想通り教師は回避出来ないと確信したらしく、腕で顔を守ろうとした。それを見たアスモデウスは拳を止めた。


  「先生。チェックメイトです。」


  「そう見たいですね。」


  2人は地面に着地し、握手をした。


  「想像以上でした。まさか、イヅナさんもアスモデウスさんに近い実力を?」


  「そんなわけ無いじゃないですか。」


  俺の代わりにアスモデウスが応えた。


  「そうですよね。アスモデウスさんが特別なだけですよね。」


  勝手に納得する女性教師。


  「何言ってるんですか?イヅナ様の方が圧倒的に強いに決まってるじゃないですか。」


  「え!?」


  こう言う反応にはもう飽きた。


  「……。」


  そして、固まってしまった。


  「先生。どうしたんですか?イヅナ様の試験はやらないんですか?」


  「ハハ。2人とも合格で良いですよ。」


  アスモデウスの問いに、涙目になりながら応える女性教師。


  「見たいですよ、イヅナ様。やりましたね。」


  「そうですか。これで、ひと段落つきましたね。」


  何はともあれこれで学園に無事、入学できる。


  「そ、それでは、2人とも私について来て下さいね〜。学園長の所まで行きますよ〜。」


  この教師、鬱にならなければ良いが。


  「次は“50”です。」


  そして、俺達は再び魔法陣に入り、学園長の下へと向かうのであった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



  「こちらが学園長室となります。覚えておくように。」


  「はい、わかりました。」


  「私もわかりました!」


  何故か敬礼をするアスモデウス。


  「学園長。新入生を連れて来ました。」


  「うん。ご苦労。」


  中に入ると、見た目20代の何処にでもいそうな茶髪の男性がいた。


  「え〜、私がカラドボルグ魔法学園の学園長を務めている“ニック・ニク”だ。」


  えらい肉々しい名前だ。


  「こんな名前だけど、一応、魔法使いしている。」


  「初めましてニック学園長。この度、カラドボルグ魔法学園に入学することになった“イヅナ・ルージュ”です。」


  「同じく、“アスモデウス・ルージュ”です。」


  「なかなか、良い子だね。それに2人とも…。」


  急に黙り込む学園長。


  「どうされましたか?」


  俺が問いかけるが反応はない。


  そして、ゆっくりこちらに近づいて来た。そして、アスモデウスの手を取った。


  「美しい…。」


  「はい?」


  「どうかな、授業の参加は明日からなのだし、この後デートでも。」


  「学園長。何生徒をナンパしているんですか?」


  先ほどの女性教師が拳を握りながら言った。


  「ネイティー先生、顔が怖いよ…ゴホッ!?痛い!何するのだ!ってゴハッ!?に、2回も殴らなくても良いじゃないかな?」


  「すいません。ゴミ虫にしか見えなくて。」


  なかなか恐ろしい先生だ。


  「酷いな〜ネイティー先生は、これはもうイヅナさんに慰めて貰わないとな〜。」


  「まだ凝りませんか?」


  再び拳を握るネイティー先生。


  「じ、冗談だよ、冗談。」


  「あの、早く話を進めて貰えませんかね?」


  ここでアスモデウスが口を挟む。


  「あ〜、そうだったね。話の途中だった。すまない。」


  こんな人が学園長で大丈夫なのだろうか…。


  「それでは、この学園についていくつか説明をする。まずは、授業についてのことから。授業は1日7時間あり、1時限目が8時45分からとなる。昼休みとかもあるけどそう言うのはクラスメートにでも聞いてくれ。」


  適当すぎる。


  「続いて君たちのクラスだが……ネイティー先生。この子達は何クラスがいいと思う?」


  「Aクラスで良いと思います。」


  「そこまでの実力なのかい?」


  「私が手も足も出ませんでした。」


  「ほう、そいつはなかなか。と言うことでエリートの集まるAクラスに決まりました。やったね。」


  「イヅナ様!これで私達もエリートですよ!」


  何やら嬉しそうなアスモデウス。取り敢えず、無視だな。


  「次に、勇者達についてだが、彼らは特別教室、通称Sクラスの生徒になっている。比較的穏やかな生徒が多いみたいだけど、中には自分が勇者だと威張るものとかもいるから気をつけるように。」


  「わかりました。」


  「最後に寮についてだけど。君たちは第3寮に泊まって貰うことになる。制服や荷物はそこに置いてあるから、明日はそれを持って登校するように。ちなみに魔法陣の番号は3だよ。」


  「3ですね。はい、覚えました。」


  「よし、それでは今日はこれで終わりと言うことで。」


  「ありがとございました。それでは…。」


  俺はこの学園長といてもろくな事にならないと判断し、すぐさま立ち去ろうとした。が……。


  「あ、待ちたまえイヅナさん。」


  嫌な予感がする。


  「そのローブ、この学園内では着用しないように。印象が悪くなっちゃうからね。」


  それは俺にナンパ地獄を味わえと言う事であろうか?内心そう思った俺だが、断らそうにないのでしっかりと返事をした。


  「は、はい。」


  「わかったなら、フードだけでも今すぐ取りなさい。と言うか、とって顔を見せなさい。」


  満面の笑みで何を言っているのか。


  「わかりました。」


  俺はフードを取った。まあ、その後のことは言わなくとも大体予想できるだろう。そう、寮まであの学園長に追い回されたのだ。ただただ気持ち悪かった。

  まあ、そんなこんなで俺とアスモデウスは寮の部屋で休んでいる。


  「全く、今日は災難続きだった。」


  「イヅナ様。日頃から女でいないとボロが出ますよ。」


  「流石に部屋ではこの喋り方にさせてくれ。そうでもしないと俺が保たない。」


  「しょうがないですね。」


  アスモデウスは不満そうだったが何とか押し切れた。これでリラックスできる空間を確保できた。そう思いベットに横になりながら、少しばかりの開放感を感じていたそのとき…。


  「イヅナ様。」


  アスモデウスが話しかけてきた。


  「何だ?」


  「イヅナ様が男(元)ってバレたら間違いなく退学ですよね?」


  「そうだな。」


  「なら胸を作りましょう。」


  「そうだな……って、今なんて言った?」


  俺はベットから起き上がった。


  「だから、胸を作りましょうよ。」


  「いや、何でだよ。」


  「男(元)とバレないようにするためです。」


  「必要ないな。胸が小さい女性だっているだろ?俺もそう言うことにしておけば……。」


  「駄目です。良いですか?イヅナ様。これは保険なんです。」


  「保険?」


  「そうです。もしも、イヅナ様がヘマをやらかして男だとバレそうになったとき、胸があれば何とかなります。」


  「いや、確かにそうかもしれないが…。」


  「作りましょう。」


  「いや…。」


「作るんです!!!」


  「だから…。」


  「作りなさい!!!」


  「…わかったよ。」


  俺は『ジュブ・二グラス』を使い、胸を生成した。まさか、こんなことにマスタースキルを使うとは。


  「これで良いか?」

 

  「駄目です!もう少し大きく!」


  「こうか?」

 

  「もう少し形を!」


  「こ、こうか?」


  「いや、もう少し小さく!いや、大きく!やっぱり、小さく!」


  この調子で俺達は一晩、胸と奮闘し続けたのであった。


 


 


 


 


 


 


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 



 

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