閑話②
更新遅れてすみません。さらに、内容も薄いです。本当にすみません。
ーーー勇者SIDEーーー
こちらの世界に転移してから、一ヶ月と少し。歩達、勇者は日々鍛錬をしていた。その中でも、群を抜いているのが、歩と颯太だ。
「うおりゃー!!!」
「はあー!!!」
2人の剣が火花を散らし、激しくぶつかる。
「そこだ!」
颯太が歩の攻撃を受け流し、カウンターを仕掛ける。が…。
「甘いな!」
歩はそう言いながら、剣でカウンターを受けると颯太を蹴り、距離をとる。
「やるな、歩。」
「お前もな、颯太。」
2人の実力はほぼ同じ。ここ最近は引き分け続きである。
「また、腕を上げたな。」
そう言って、2人の間に入って来たのは、近衛兵隊長にして実質のグラム王国騎士団長“エドガー・ハイトである。
「こんにちは、エドガーさん。」
「よお!エドガーさん。」
「ああ。しっかし、今の俺じゃあ全く太刀打できる気がしないな。お前らは一体どこまで強くなるのか…。」
「魔神を倒せるまでです。」
「俺は雅風を救えるほどの実力は欲しいな。」
「そうか…。2人とも頑張れよ。」
「「はい。」」
「そうだ。忘れるところだった。」
「どうしたんですか?」
颯太がエドガーに聞く。
「国王から召集がかかってる。他の奴らも呼んで20分後にいつものところに集まってくれ。」
「はい。」
「おう!」
「それじゃあ、俺は一足先に行かせてもらうぞ。」
そう言うとエドガーは二人の元を去っていった。
「よし、それじゃあ歩は女子の方を頼む。僕は男子の方を呼びかけておく。」
「わかった。」
そうして、歩は女子達が鍛錬をしている場所へと向かった。
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「お〜い。何か王様がお呼びらしいぞ〜。」
歩は女子達のところへ着くと、早速呼びかけた。
「え?国王様が?」
結衣が気づいた。
「ああ、そうみたいだ。20分後にいつもの部屋に集合だとよ。」
「20分後ね。ありがとう、木下くん。」
「どういたしまして。まあ、そう言うことだからなるべく早く頼むよ。」
そうして、歩は一足早く、国王の元へと向かった。
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「よく集まってくれた。」
20分後。先生も含め、全員が国王の前に集合した。
「それで、国王様。今回の要件は何ですか?」
早速、颯太が本題に入ろうとする。こういったとき、国王と話すのは颯太の役目になっていた。
「うむ、実はだな。ついに魔神が復活してしまったのだ。」
「「「「!!!」」」」
国王のこの言葉にその場にいた全員が驚いた。
「国王様。確か、復活は3年後のはずでは?」
「そのはずだった。しかし、魔神復活の神託が下ったのだ。そして、実際に結界の中に魔神の姿は確認できておらず、何らかの方法で脱出したと考えるしかない。」
「そんな…。今の我々で魔神に太刀打できるのですか?」
颯太が焦りの表情を見せる。
「……わからん。ステータスを見る限り、不可能とは言えないが、それとは別に、1つ問題があるのだ。」
「問題ですか?」
「ああ…。実は魔神の消息が断たれた後、その魔神の封印の要として、用いられていた【神剣エクスカリバー】もその存在を消したのだ。」
「【神剣エクスカリバー】?」
「そうだ。かつて、前勇者が魔神に大きなダメージを与えることができたのはその剣があったからとも言われてある。」
「つまり、その剣が失われてしまった今、魔神を倒すための決定的なダメージを与える手段が無いと?」
「そういうことだ。」
「………。」
流石にこのことを聞いた勇者達は黙ってしまった。しかし、歩だけは違った。
「関係ないな。」
「歩?」
颯太がこちらを向いた。
「だったら、その剣が必要にならないレベルまで強くなればいい話だ。」
歩は自信満々の表情で言った。
「…そうね。それしか方法はないわけだしね。」
「そうだな。」
結衣と颯太が続く。
「私は結衣がそれで良いなら。」
「ありがとう。琴羽ちゃん。」
結衣は琴羽にハグをした。
「そう言って、くれると信じていた。」
国王は笑顔でそう言った。
「我々も勇者達の力になれるようできる限りのことをしよう。」
「国王様。」
「最悪、魔神が人類に被害を与えたと言う話はまだ聞かない。今がチャンスかもしれん。そこで、勇者諸君。君たちには学園に入学してもらう。」
「「「「が、学園?」」」」
国王の発言を不思議そうな顔で聞く勇者達。
「学園と言ってもただの学園ではない。魔法学園だ。魔法から戦闘に関することまで、ここで教わるよりも遥かに効率よく、力や技術を身に付けることが出来るはずだ」
「学園か…。もしかしたら、雅風がいるかもな。」
歩は誰にも聞こえないほどの声でそう呟いた。
「しかし、これも強制ではない。学園に行かず、ここで鍛錬に励みたいものがいるならばそれも良かろう。一応、その場合は今挙手をしてくれ。入学の手続きなどをこちらもしなくてはならないのだ。」
国王がそう言うと、一人挙手するものがいた。
「ん?学園に行くことを好まないか?」
「い、いえ違います。その、あ、私も行くとしたら生徒になってしまうのか聞きたくて。」
そう言ったのは、地球で国語科の教師だった“中島先生”だ。
「もちろん、そうだ。」
「そうですか。わかりました。ありがとうございます。」
「他に何かあるものはいるか?………………。よし、では皆学園に行くと言うことで話は進めよう。学園はここから1週間の位置にある。出発は明後日の午前10時とする。それまでに各自、準備を整えてくれ。」
「「「「はい。」」」」
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「まさか、異世界に来てまで学校に行くことになるとはな。」
自室で歩はそんなことを呟いていた。
「もしも、雅風がいたらものすげえ嫌なそうな顔しそうだよな。」
今まではすぐ隣にいた友人の顔を思い出す。
「雅風。どこにいようが俺が必ず連れ戻してやるからな。覚悟しろよ。」
数週間後、学園でその友人と会うと知らずそんなことを呟く歩むだった。
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「はあ〜。」
別の部屋では大きなため息を吐く人物が一人。横山結衣である。
「飯綱くん。また、会えるよね。私、このままお別れなんて嫌だよ。」
言わなくてももうわかったと思うが、結衣もまた、雅風に思いを寄せる人物である。
自分の信念を強く持ち、誰にも曲げられない強さを持った彼。そんな人物だったからこそ、彼女は惚れたのだ。そして、力になってあげたかった。
しかし、力になれることなく、彼はどこかへと行ってしまった。再び会えるかどうかはわからない。それでも、まだ彼が生きていることを信じ、今度こそ力になれるようにしたい。彼女は異世界に来てそう強く思うようになっていた。
「そう、お別れなんて絶対に嫌。必ず、必ず会える。だから、待っててね、飯綱くん。今度こそ私が力になってあげるから。」
ただの自己満足に終わるかもしれない。それなら、それでもいい。ただ、もう後悔はしたくない。
その強い気持ちを持ち、彼女は学園へと向かうのであった。
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中島 小百合。どこにでもいる高校の国語科の教師だった。そう、つい一ヶ月前までは…。
現在、中島は勇者の一員として、生徒たちとともに行動している。しかし本来、生徒を守る側のものが生徒と共に行動するだけでなく、このままでは守られる側になってしまうのではないかと不安になっていた。
「私は何ができるのかしら。」
毎日毎日同じことを自問自答している。しかし、それで答えを得ることもできず、ただただ虚しくなるだけである。最近では、そんな様子を見て、生徒達が心配をしてくれる。もうどちらが教師なのかよく分からなくなって来ていた。
さらには、今日伝えられた学園への入学だ。これで本当に自分の生徒達にとっても教師ではなくなってしまうのではないかと思うと涙が流れて来た。
教師である自分が泣いてはいけない。そう思っていても涙は一向に止まらない。
「このままじゃ駄目よ、私。」
中島は自分に言い聞かせる。
「ここから、挽回よ。学園に入って力をつけて、今度こそ生徒達を守れるようになるのよ。」
こうして、責任感の強い教師は、覚悟を決め学園へと向かうのであった。
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出発当日…。
「皆!準備はいいか!」
エドガーが勇者達に呼びかける。
「「「はい!」」」
「よし、いい返事だ。それでは、各自荷物を持って馬車に乗り込め!全員が乗り込んだことを確認次第、学園へ向けて主発する。」
こうして、勇者達はそれぞれが自分なりの覚悟を決め、これから先何が待つとも知らず学園へ向けて主発した。
今週も忙しいため、更新ペースが落ちてしまいます。来週には、ペースを元に戻す予定です。