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気がついたら魔神でした  作者: ヴァル原
第1章 フィエンド大陸編
17/164

気がついたら試験官でした

今度から場面が変わるときや移動する場面で、

間に「ーーーーーーー」を入れることにしました。

 

  「久しぶりの街だな。」


  俺とデイビットは姫様たちを連れて王都エスカへと到着した。


  「全くだ。軽い気持ちで出発したのに、まさか竜王まで出てくるとわな。まあ、俺は会ってないんだけどな、ガーッハッハッハッハ。」


  よく笑う奴だ。だが、デイビットの言った通り、軽い気持ちで目指した王都だったが着くまでに色々あったものだ。

  竜王しかり、魔神しかり…。思っていたよりも大変な旅になったものだ。


  「まあ、こうして無事に王都までこれたんだ。いいじゃないか。」


  「ちげぇねぇな。」


  そんなことを話していると後ろから姫様たちがやって来た。


  「イヅナさん、デイビットさん、お礼の件で少しお話が…。」


  「ああ。分かった。」


  「お、早速か。いいぜ。俺の荷物は最悪、明日までに運べばいいからな、何なら今日でも…。」


  せっかちな奴だ。


  「お二人がいいならそれでも良いのですが、その場合、王城に着いてから少しだけお待ちいただくことになりますがそれでもよろしいでしょうか?」


  「俺は良いぞ。デイビットは…聞くまでもないか。」


  「おうよ!」


  俺はすぐにお礼とやらを受けることにした。その方がダンジョン“聖なる祠”へ早く向かうことができ、フォートレスに早く帰れる。


  「では参りましょう。」


  俺たちはさっきまで乗っていたボロい馬車ではなく、いかにも王族や貴族が乗っていそうな高級感溢れる馬車に乗り、王城へと向かった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 


  「すげ〜な。こんなにでかいのか王城って奴は。」


  馬車から降りたデイビットの第一声である。


  「ああ。そうだな。」


  デイビットの言った通り王城はとにかくでかかった。ネズミが治めるどこかの夢の国にあるお城なんて比べものにならなかった。


  「私は少し準備がありますのでここで失礼させてもらいます。」


  「いや、ちょっと待ってくれ。こんな馬鹿でかい城でデイビットと二人にされたら確実に迷子になる。」


  「大丈夫です。後のことはガゼルに任せますので、お二人だけになることはありません。」


  それなら心配なさそうだ。


  「では今度こそ失礼させてもらいます。」


  「ああ。」


  そうして姫様は王城の中へと先に入っていった。


  「準備が出来るまで暇だな。」


  「そうだな。暇すぎて寝ちまいそうだ。」

 

  俺とデイビットがそんな話をしていると…


  「イヅナ殿。少しよろしいですか?」


  王国騎士団長のガゼルが話しかけてきた。


  「ん?何だ?」


  「お話というかお願いがありまして…。その姫様たちの準備が終わるまで私たち王国騎士団と手合わせをお願いしたいのですが、よろしいですか?」


  ガゼルはどうやら俺と手合わせをしたいらしい。まあ、俺は暇が潰れるので願ったり叶ったりだ。

  俺はガゼルの申し出を受けることにした。


  「ああ。良いぞ。デイビットはどうする?」


  「もちろん付いてくぞ。」


  「ありがとうございます。では、こちらへ。」


  俺とデイビットはガゼルについていった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



  少し歩くと王国騎士団たちが何やら稽古を行っているのが見えた。どうやらあちらも気づいたらしく、稽古を止めて整列した。


  「「「「お勤めご苦労様です!!!」」」」


  きっと日頃から練習しているのだろう、誰一人ずれずに敬礼をした。ここまで揃うとなかなかカッコ良いものだ。


  「ああ、ご苦労。今日は少しだけ話がある。」


  ガゼルのその言葉に少しだけざわついた。何か重大な報告でもあるのかと勘違いしているのかもしれない。


  「実はそろそろ空席だった10番隊長を誰かに任命しようと思ってだな。その試験を急遽、今日行おうと思う。」


  「「「「!!!!!」」」」


  騎士団の人たちは驚くタイミングもピッタリだ。


  「ちなみに試験官を務めるのは俺ではなく、隣にいるイヅナ殿だ。」


  団員全員の視線が俺に集まる。まあ、さっきからちらちら見てきている者も多々いたが…。

  というか、手合わせはお願いされたが、試験官をお願いされた覚えはないのだが…。しかし、とてもそんなことを言い出せる状態ではなかった。


  「よろしく。」


  一応、挨拶はしておいた。


  「それでは、試験の内容について説明する。まず、試験を受けることができるものは星2〜3の勲章を授与されているものだけだ。試験会場はここにある決闘場を使用する。そしてルールはイヅナ殿と手合わせをし、イヅナ殿に認められたものを10番隊長とする。尚、認められたものが数人いた場合そのものたちで決闘を行って決める。これが今回の試験の内容だ。」


  俺は試験の内容を聞いて、いつの間にか自分の責任重大になっていることに気づいた。全く、やってくれたものだ。


  「イヅナ殿。よろしくお願いします。」


  「あ、ああ。わかった。」


  乗る気にはなれなかったが、どうせ暇なので了承した。


  「それでは、我こそは隊長にふさわしいと思うものは前へ。」


  ガゼルがそう言うと4人の屈強な男たちと一人の少女が出てきた。


  「カイとハイディンとナーレとシン、そしてマイヤか。」


  どうやら俺はこの人たちと手合わせをするらしい。まだ、女のマイヤと戦うのは良いが、むさ苦しい男たちと4回戦うのは少しきつい。


  「ガゼル、提案があるんだが、いいか?」


  「何ですか?イヅナ殿。」


  「そのだな。出来れば全員で一気にかかってきてもらいたいんだがいいか?」


  俺のこの意見にその場にいた全員が驚いた顔をしていた。デイビット以外…。


  「い、良いですが、その大丈夫ですか?」


  どうやら、心配されてるらしい。


  「戦うのはあの5人何だろ?」


  「はい。」


  「なら問題無い。」


  俺のこの発言に流石に前へ出てきた5人は顔をしかめた。すると…。


「少しよろしいでしょうか。」

 

  先ほどカイと呼ばれていた男が挙手をした。


  「何だ?カイ」


  ガゼルが問う。


  「はい。そちらのイヅナ殿でしたか。少々我々を甘く見過ぎでは無いでしょうか。我々は王国騎士団です。一対一ならばともかく、一気に5人相手では我々を認めるよりも早くやられてしまう可能性が高いと思うのですが。」


  なるほど、つまりこいつは俺の実力がわからず、見た目だけで判断している訳だ。とりあえず、こいつを認めることはなくなった。


  「と言っていますが、イヅナ殿。」


  「何度も言わせないで欲しいな。全員一気にかかってきても問題無い。」


  俺は言い切った。というか、竜王の一撃を止めていた様子を見ていたガゼルならそんなことくらいわかると思うのだが…。


  「後悔しても知りませんよ。」


  カイがそんなことを言ったが、その言葉そっくりそのまま返してやりたいものだ。


  「では、お互いの準備が出来次第、試験を始める。」


  「俺はいつでも良いぞ。」


  俺はそう言いながら騎士団員たちが使っているのと同じ剣を『ジュブ・二グラス』を使い生成した。


  「なら我々もいつでも。」


  相手の5人も良さそうだ。


  「よし、では試験会場に移動する。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 

  試験会場までは30秒もかからなかった。ちなみにデイビットは騎士団に紛れて、試験を見るようだ。


  「では、試験を開始する。」


  俺たちはそれぞれ武器を構えた。


  「始め!!!」


  ガゼルの掛け声と同時に5人は正面から突っ込んできた。まあ、この時点で全員OUTだ。俺のことを舐めているのが丸分かりだ。


  「くらえ!」


  ハイディン?だったか。そいつが大振りで剣を振るおうとしたが…。


  「隙だらけだ。」


  俺はそれよりも早くハイディンを蹴り飛ばした。


  「ガハッ!?」


  力のコントロールはしっかりできているので、死にはしなかったが、それでも壁まで飛んでいった。当然、気絶している。


  その様子を見ていた、残りの4人は一瞬驚いていたが、すぐに俺から距離をとった。

  なかなかいい判断だ。


  「確かにこれだけの実力があれば、5人同時に相手をすることも可能ですね。」


  カイが何やら言っている。距離をとれたことで油断しているようだ。

  俺はそこに容赦なく“フレイムボール”を放つ。


  「「「「!!?」」」」


  突然の攻撃に対応できなかったカイ以外は“フレイムボール”の餌食となった。


  「まさか、魔法まで使えるなんて、」


  カイは“フレイムボール”にやられた仲間に気を取られている隙に、俺はカイの後ろへと回った。


  「!いない。」


  カイはさっきまで俺がいた場所を見てそう言った。こいつも認めることはできないな。


  トントン


  俺はカイの肩を叩いた。


  「な!?」


  バキッ!


  こちらを向くと同時にカイのほおを殴り壁まで飛ばした。もちろん、気絶させる程度で殴った。


  「ガゼルこれで良いか?」


  「え、ええ。」


  どうやらガゼルも騎士団も俺が圧勝するこの状況を予測できなかったらしい。


  「そ、それで、どうでしたか?」


  「駄目だな。誰一人認めることは出来ない。」


  これが俺の判断だ。戦ってみて思ったが、こいつらは周りの警戒がなってない。そんな奴らには隊長を任せられない。まあもっとも、俺との実力差を認識できなかった時点で不合格決定だった。


  「そうですか。」


  ガゼルは残念そうに言った。試験を受けたもの全員不合格になったのだ無理もない。


  「まあ、そう気を落とすな。あいつらだってもう少し力をつければ隊長にしてやっても問題ないさ(多分)」


  「ありがとうござ…。」


  「お疲れ〜、イヅナ〜。」


  ガゼルが礼を言おうとした丁度その時、デイビットが割り込んできた。本当にどうしようもない奴だ。


  「デイビット…。お前はもう少し空気を読めないのか?」


  「ん?空気ってどうしたら読めるんだ?字なんかどこにもないぞ?」


  「…………。」


  これは救いようがないな。こいつは本当に商人なのか?そんなことを考えていると城の方からメイドらしき人がこちらに向かってきた。


  「イヅナ様、デイビット様、準備が整いましたのでこちらへどうぞ。」


  「わかった。」


  「おうよ。意外と早かったな。」


  「それじゃあまた後でなガゼル。」


  「はい。ありがとうございました。イヅナ殿。」


  俺はガゼルと挨拶を済ませるとメイドに続き王城の中へと入っていった。


 


 

 


 




 


 


 


 




 


 


 


 

〈おまけ〉

勲章についての説明を書いておきます。


勲章はその者の働きや功績を称え、国王や騎士団長から与えられる栄誉ある物。

その中には幾つか種類があり、星1〜10まである。


星1・・・・魔物の群れとの戦闘などで、良い働きをしたときに送られる。


星2・・・・強力な魔物の討伐などで送られる。例:フレイムドラゴンなど。


星3・・・・強力な魔物の群れとの戦闘などで、良い働きをしたときに送られる。ただし、幾つかの条件が付く。


星4・・・・一つの村に被害を及ぼすほどの魔物の討伐などで送られる。


星5・・・・幾つかの村に被害を及ぼすほどの魔物との討伐などで送られる。


星6・・・・一つの街に被害を及ぼすほどの魔物の討伐などで送られる。


星7・・・・幾つかの街に被害を及ぼすほどの魔物の討伐などで送られる。


星8・・・・一つの大陸全土に被害を及ぼすほどの魔物の討伐などで送られる。


星9・・・・幾つかの大陸に被害を及ぼすほどの魔物の討伐などで送られる。


星10・・・・世界全土に被害を及ぼすほどの魔物の討伐などで送られる。


ちなみに、ガゼルは星6の勲章を持っています。

この設定は結構適当なので知らない間に修正が入っているなんてこともあるかもしれません。




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