〈アフターストーリー〉気がつくのが遅くて…
お久しぶりです。そして、短いです、ごめんなさい。
また、投稿頻度を少し上げようかと考えてるんですけど新しい作品か、この作品か、悩んでます。
はてどうしたものか…。
「はあ……はあ……はあ。」
学生たちが賑わう校舎の中をミカエルは1人で走っていた。なぜ、走っているのか。なぜ、逃げたのか。ミカエルはその理由をわかっていた。
(……私は……どのような顔を……したら良いので……しょうか……。)
ミカエルは走りながら考える。頬に手を当てると熱い。きっと顔は真っ赤になっているのだろう。
イヅナのことが好き。それは前々からわかっていた。学友たちよりもイヅナのことが好きなのはきっと親友だからだと、そう考えていた。
けれどそれは違った。ミカエルはイヅナのことを愛おしく思っていたのだ。
気づくことのできた自身の変化。心があるのだと確信できる感情。そして、高鳴る鼓動。
ミカエルにとってその全てが嬉しいものであるはずだった。失っていた物を再び手に入れることが出来たのだから当たり前だ。しかし今、彼女の中にあるものはそれだけではない。
彼女がこの気持ちに気づくのは遅過ぎたのだ。ドクンと心臓が動くたびに胸が痛む。イヅナを見ると苦しくなる。彼のまわりにはもう沢山の想いが集まっているのだ。そこに今更、自身が入ったところで彼に近づけるわけが無い。
そして、何より…。
「……私たちは……“友達”……なのです……から……。」
ミカエルが呟いた時にはその足は止まっていた。そして、その場所は見慣れた光景だった。
「……皮肉……なのですか?……いえ……そんなわけは……ないですね……だって……私の……足で……ここまで……来たのですから……。」
そこには噴水があった。彼と出会い、そして、理解し合えた思い出の場所。
ミカエルの心など関係なく、あの時と何も変わらず、水が湧き出ている。この噴水と同じように、前のように話せたらどんなに楽しいだろうか。しかし、現実は違う。ミカエルは分かっていた。前のように話せない。話せるのなら今、自分はこんな場所まで逃げていない。
また、ミカエルが逃げてしまった理由はもう一つあった。それは彼女がもう手遅れとそう思ってしまったことだ。
イヅナの周りにはもう既にアスモデウスたちがいる。そして、彼女たちと話すイヅナは楽しそうで、生き生きとしている。気遣いもせず、壁などない仲だと見ているだけでわかる。
しかし、ミカエルはどうだろうか?気遣われ、心配され、頼っているのは自分ばかり。そんな自分と一緒にいて何が楽しいのだろうか。
「……はあ……。」
ミカエルはベンチに腰を下ろすとため息をついた。このモヤモヤとした気持ちを吐き出したかったのかもしれない。だが、ため息をした程度では何も変わらない。
「……私は……。」
ミカエルは自身の気持ちをよく理解していた。イヅナの横に並んで立ちたい、そして、笑顔で寄り添いたかった。それが今、ミカエルが望んでいることだ。しかし、それではイヅナに迷惑なのではないかとそう考えてしまう。
「……私の願いでは……イヅナは……きっと……。」
ミカエルは自身の望みよりも何よりイヅナに幸せになって欲しいと強く思う。自身のために考え、行動してくれたイヅナ。そんな彼の為に今度はミカエル自身が何かをしてあげたかった。それが今なのではないだろうか。
距離を取り、彼が幸せになれるよう遠くから見守る。それが自分のできる恩返しなのではないだろうか。
「……きっと……そう……それがイヅナに……とって……一番……あれ?……」
突然、視界が歪んだ。不思議に思い目をこするミカエル。するとこすった手が濡れていた。ここで自身が泣いていることに気づいた。
「……どうして?……イヅナに……幸せになって……欲しい……のに……それが……私の1番の……願いのはず……なのに……。」
こぼれ落ちる涙は止まらない。
「……なんで……なんで……こんなに……苦しいの……なんで……こんなに……辛いの……なんで……こんなに……悲しいの……うぅ……。」
ミカエルは思う。きっと自分は強欲なのだと。何もかも全てがうまくいくはずがない。望んだものが全て手に入る世の中のわけがない。わかっている。理解している。けれど、それでも、全てがうまくいく未来が欲しい。イヅナも、自分も笑っていられるそんな未来が。
ミカエルは泣いた。声を上げて。そして、その声は風にのり、彼の耳にも届いていたのだった。
書いてて胸が痛くなる。
自分で書いといて何言ってるんだ!って感じですね。