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気がついたら魔神でした  作者: ヴァル原
第6章 世界大戦編
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気がついたら再会でした

突然の投稿。先週は日曜日に上げられずすみません。そして恐らく、今週の日曜日も投稿できません。申し訳ない。

 各地で爆発などの戦闘音が聞こえる。悪魔たちがしっかりと自分の役割を果たしてくれているのだろう。全員が無事な姿で勝てることが理想だがそんなことはあり得ない。俺たちが相手をするのはこの世界の頂点に君臨する者たち、一筋縄ではいかない。怪我をするもの、命を落とすものが必ず現れる。だが今の俺にはどうすることも出来ない。ただ彼らの 無事を祈る。今の俺があいつらにしてやれるのはそのくらいだろう。だが今の俺にはそんな余裕すらもない。創造神との戦いは始まっているのだ。

 創造神が放った炎が視界を埋め尽くし俺に迫る。逃げ場など見当たらず、回避は不可能だろう。だがあの程度の攻撃では俺に通用しない。炎は俺を包み込み、やがて消える。ダメージも入らない程の魔法。創造神は一体何がしたいのか。


「なめてるのか?」


「ええ?まだ生きてるの?」


 驚いた顔でこちらを見る創造神。ふざけた奴だ。

 俺は瞬間移動で背後を取り、【邪神剣エクスカリバー】を振るう。だが創造神はそれをいとも容易くかわす。まるで背後に目が付いているようだ。


「君こそ僕を舐めてるんじゃない?そんなのが当たるわけ無いだろ?」


「それもそうだな。」


 俺は話しながらも剣を振るう。しかし、創造神も瞬間移動を使用し、俺の攻撃をかわす。互いが瞬間移動を使用する戦闘。この場合、重要となってくるのは予測だ。瞬間移動を使用すれば魔力が消費される。転移を行う自身、またその移動先に魔力の波が生まれる。そこを狙うことで攻撃を与えることが出来る。だが俺も創造神もそれを理解しており、幾多もの場所にダミーの魔力の波を生成する。その為、次に相手がどの場所に移動するのか予測し、攻撃するのだ。それが出来なければただ魔力と体力を消費するだけだ。


「はははっ!楽しいねえ!」


 創造神の手が輝く。放たれた光は集約し、槍へと形を変える。


「【神槍エデン】。散れ!」


 エデンからまるでレーザーの様に光が放たれる。各方向に飛んでいく光は向きを変え、俺を囲む様に飛来する。瞬間移動をすれば交わすことはできる。しかし、創造神の狙いはそこにあるだろう。光をよく見ると俺に向かってきていないものがある。あれは俺が瞬間移動を使用した際に移動先を攻撃する為のものだろう。


(派手な攻撃に見せかけて計算された攻撃か。強いな。)


 俺は素直に創造神の強さを認める。

 まさか先にマスタースキルを使うことになるとは思わなかった。


(『色欲之神』『傲慢之神』。)


 俺はエデンから放たれた光と創造神を対象とする。対象とされた光は俺に近づいたものから『傲慢之神』により、自身の力へと変換されていく。

 最初は攻撃が成功したと笑みを浮かべた創造神だがすぐに異変に気付いた。だが遅い。集めた光を1つにまとめ、創造神に向ける。威力、速度、破壊力は先ほどのそれとは比べものにならない。

 突然の攻撃を瞬間移動を使用し、躱す創造神。だがあせったのだろう。魔力の波が出来た場所は一箇所のみ。つまりは…。


「ここだろ?」


 俺は自身が出せる最高速度で創造神の移動先へとまわる。瞬間移動とはいえ時差が生じる。回避やトリッキーな立ち回りが出来るため使用していたが今の俺の場合、単純な速度ではただの移動の方が速い。

 右手に【邪神剣エクスカリバー】、そして取り出した【邪神剣ダーインスレイブ】を左手に持ち、全力で振り下ろす。


「ちっ!」


 瞬間移動をしてきた創造神は腕を盾にする。何とか防御は間に合ったが威力は消せず、創造神は地面に叩きつけられた。木々が吹き飛び、地面はえぐれる。舞い上がった砂、土で姿は見えぬがダメージは幾らか入っただろう。俺は剣を構える。油断は出来ない。

 煙が晴れ、創造神の姿が見える。両腕に傷をおい、血を流している。


「やってくれるね。痛いよ。」


 創造神はへらへらと笑う。怪我はあるが大したダメージにはなっていないようだ。まだ余裕があるのか、腕を治療しようとはせず、そのまま状態でこちらを見つめる。まだ【邪神剣ダーインスレイブ】の特殊効果に気づかれていないようだ。


 ドクン。


 左手に持つ【邪神剣ダーインスレイブ】が鼓動する。血を吸う事により強化される【邪神剣ダーインスレイブ】が創造神の血を吸った。つまりは効果が発動したのだ。

 俺は新しく得た特殊効果を確認する。


【邪神剣ダーインスレイブ】

【特殊効果】

 攻撃範囲延長

 スキル効果の破壊


 増えた特殊効果は2つ。攻撃範囲延長とスキル効果の破壊だ。1つ目はその名前の通り攻撃範囲が伸びた。しかし、これは【ダーインスレイブ】が長くなったわけでもなく、伸びるようになったわけでもない。見た目の変化なしに空間に干渉し、攻撃の届く距離、幅を伸ばすことが出来るようになったのだ。確実に躱しているのに攻撃が当たる。そう言った効果だ。

 2つ目のスキル効果の破壊は例えば自身のステータスを上昇させるスキルを相手が使用していた場合、切りつけることでその効果を一時的に無かったことにするものだ。また自身に付与される効果も破壊することも可能なようだ。どちらも強力なものだ。


(これでまた戦いやすくなった。)


「なんかその剣変わった?」


 創造神がゆっくりとこちらに飛んできて、興味深そうに見つめる。


「教える必要はないだろう。」


「それもそうだねー。」


 戦場に相応しくない空気だ。ここを遊び場かなにかと勘違いしているのではないか?


「ねえ。1つ質問なんだけど。何で君は僕と戦うの?」


「何故?」


「そうそう。」


 創造神は頷く。そして俺の周りをくるくると回りながら話を続ける。


「君は別の世界からこの世界にやってきた。それは魔神を倒す為。まあ、君の場合はちょっと違うか。1人別の場所に飛ばされ、シヴァから力を貰った。」


 創造神は俺の目の前で止まる。


「でもその力があれば帰れるよね?勇者たちもみんな連れて。何で帰らないで僕と戦うの?わざわざ危険な戦いに参加して仲間を失うかもしれないことする必要ないでしょ?」


 創造神の言うことは確かに正しい。今の俺ならば元の世界を見つけ、その座標に移動することは可能だ。それこそ勇者たち全員を連れて。それは最も危険性が低く、安全な選択肢だ。恐らく、俺が勇者たちと同じように転移させられ、そのときからこの力を持っていればその選択をしただろう。はやく故郷に帰りたい。例え待っている生活がいじめを受けていた世界だとわかっていてもだ。それだけ焦がれていた。

 だが今は状況が違う。最初は命を救われたシヴァの願いを聞くことで恩を返したいと言う気持ちで創造神を倒そうとしていた。しかし、旅を続けていく中で出会いがあった。大切な人、仲間、思い出。それがこの世界でも出来てしまった。だから俺は決めたんだ。

 自然と拳に力がこもる。


「確かにお前の言う通りだ。その選択肢が一番賢かったのかも知れない。」


「だったら…。」


「でもな。俺はこの世界を好きになった。お前が玩具程度にしか見てないこの世界を。」


「で?」


 創造神はあからさまに態度を変える。つまらないものを見せるなそう言った態度だ。だが俺はやめない。


「だから見捨てられない。俺はお人好しなんでな。シヴァのために、いや、この世界に住む人々のためにだ俺はお前と戦うさ。」


「つまんなー。」


 創造神はそう言うと至近距離で魔法を放つ。俺は『暴食之神』を使用し、対処する。


「でもさ君は少しは考えなかったの?」


「何をだ?」


「シヴァが嘘をついていて彼も僕のようにこの世界を引いては人々を玩具にしか思っていない奴だったら、なんて。」


「シヴァが?」


「そうだよ!あいつだって魔神と呼ばれるまでに落ちぶれた奴だ。何をやってきたかも分からない。そんな奴の言葉を君は簡単に信じるのか?」


「だがそれはお前が…。」


「僕のせいだと?そう『ネクロノミコン』に記されていたからと?ハハハハハ!」


 創造神は腹を抱えて笑う。俺は【ダーインスレイブ】で攻撃をするが簡単に回避される。


「それもこれも僕やシヴァが仕組んだ物だとは思わないの?まあ、仕方ないか。君たちがいた世界はこの世界とは違うんだもんね。争いと無縁な生活をしてきた君らが騙されているなんて考えにくいか。」


 小馬鹿にした態度の創造神。そんなやすい挑発にはならない。

 俺の中でシヴァはこの世界のため、仲間の仇のために戦った神だ。それは悪魔たちの話を聞いてもわかる。だがもしもそのシヴァが裏切っていたら、俺たちをはめようとしていたら、そのときは俺たちは負けるであろう。が、そんなことをいちいち考えてはいられない。


「確かに俺はシヴァを信じすぎているさ。命を救われたこともあるからな。だがそんな可能性の話をしていても意味はない。今はただお前を倒すだけだ。」


「あーあ。せっかく親切に話してるってのに。まあいいや。じゃあ終わらせよう。『魔殺之神』。」


 白いオーラが創造神の右手から放たれ、全身を覆っていく。神々しく感じるそのオーラだが嫌な予感がする。俺は光魔法を使う。最も速さに長け、回避されないと考えての一撃だったが、どうやら創造神に回避する様子はない。光魔法は正面からぶつかる。しかし。


「効かないなー。」


 光魔法が創造神に触れた瞬間、彼の体から先程のオーラが溢れ、光魔法を包み込んだ。勿論、ダメージはない。


「驚いた?ねえねえ。驚いた。これが『魔殺之神』の力だよ。」


 そう言うと創造神は自慢するようにスキルの説明をした。

『魔殺之神』。その力は魔神を殺すためのものだった。魔神からの攻撃を完全に無力化し、『魔殺之神』の効果を持った攻撃が魔神に当たったとき、このダメージを上昇させる、対魔神スキルだ。


「いやーこのスキルを作っといて良かったよ。シヴァがいなくなったことに気づいてから用意したんだ。流石にスキルを用意するとなると時間がかかってこれしか作れなかったけど、充分すぎたね。」


 先程からある余裕はどうやらこのスキルのおかげのようだ。創造神は今の攻撃でスキルがしっかりと発動していることを確認した。つまり自身が負けることはないと確信した。


「何か言ったらどう?もう君に勝ち目はないんだよ?そうだな〜、君を殺したら何をしようかなー。」


 創造神はいやらしい笑みを浮かべながら、こちらに目を向け、考える仕草をする。


「勇者たちを殺して、アスモデウス?だっけ君のそばにいた悪魔彼女も殺して、そしてあとは〜仲よさそうにしてた娘がいたよね?セリカだっけ?あいつも殺そうかな〜。まあとにかく君に関係した人たちを片っ端から殺して、それで世界の人々に本当は僕は悪いやつって伝えて絶望のうちに殺して。それからまた新しく世界を始めればいいかな。ハハハハハ。」


 俺を見下し、煽り、楽しむ。幼稚なやつだ。しかし俺はそんな奴の言ってた言葉に怒りを覚える。人々を殺す。よくもまあ俺の前で言えたものだ。だがそれだけ勝ちを確信しているという事だろう。

 俺は剣をしまい。出来る限り我を忘れたかのように叫びながら創造神に突っ込む。


「貴様ああああ!!!」


「ハハハ!苦し紛れの行動かな?」


 俺は創造神に殴る、蹴るを繰り返す。しかし、その攻撃の全てがオーラに阻まれ届かない。それを創造神は楽しそうに眺める。本当に嫌な性格をしている。やはりこんな奴にこの世界を支配させるわけにはいかない。


「うおおおお!!!」


 俺は【邪神剣ダーインスレイブ】を取り出し、大きく振りかぶる。


「無駄なのになあ。」


 創造神は余裕の表情を崩さない。それはそうだろう。俺からの攻撃をこれだけ無力化出来ればそうなる。だが『魔殺之神』で無力化出来るのは所詮は魔神の力だ。邪神よりも下の存在。つまり魔神程度に抑えていた攻撃ならば防げた。だが。


「くらえ。」


【邪神剣ダーインスレイブ】が創造神に近づく。そのとき余裕の笑みを浮かべていた創造神の表情が変わる。


(なんだこれ?何かまずい。)


 創造神は仰け反り、躱そうとするが間に合わない。


 ザシュ。


 鮮血が飛び散る。【邪神剣ダーインスレイブ】の刃はオーラを搔き消し、創造神を捉えた。しかし、咄嗟の回避により、体を分断する事は出来なかったがそれでもそれなりに深い傷を合わすことが出来た。


「がっ!い、痛い!な、何だよそれ!」


 血を吐き、傷を抑えながら、創造神は叫ぶ。しかし、答える必要はない。俺は距離を詰め、更に【ダーインスレイブ】を振るう。創造神は必死に回避するが俺はその足を掴む。そして力に任せ、地面に投げつけた。先程のダメージのせいか受け身も取れず、創造神は地面に激突する。


「がは……。はあ……はあ……。」


 俺は創造神の側に降り立つ。


「確かに『魔殺之神』は魔神程度の力になら発動していた。攻撃は届かなかっただろう。けどな。」


 俺は自身のステータス。その種族の欄を見せる。


「…邪…神?」


「そうだ。魔神の更に上らしい。だから『魔殺之神』では防ぎきれない。」


(まあ【邪神剣ダーインスレイブ】の新しく得た特殊効果使えばそんな事関係なしにダメージは与えられただろうがな。)


 その言葉を聞き、創造神の顔が真っ青になる。後ろに飛び距離を取ると『回復魔法』等のスキルを使用して、傷を治そうと試みる。しかし…。


「な、何で…。」


 勿論、傷は治らない。それが【邪神剣ダーインスレイブ】の力だからだ。

 俺は創造神に詰め寄る。


「さっきは俺の仲間たちを殺すとか、この世界の人々を殺すとか言ってたな。それを俺が許すと思ってるのか?」


(よし出来た。)


 俺は創造神に近づきながらあるスキルを作成していた。その名も『創造殺之神』。先程、『魔殺之神』の創造神版だ。

 黒いオーラが右手から溢れ、俺を包み込む。


「これを見ればどう言ったスキルは予想できるだろ?」


「ま、まさか…そんな訳がない。スキルを作るなんて事!僕以外…。」


 理解できない事象に対する恐怖。創造神は怯えていた。目の前に立つ邪神、俺という存在に。


「今までの罪を今ここで償え。」


 俺は剣を構える。


「嫌だよ。まだ僕は死なない。」


 何かまだ企んでいるのか?俺は少し警戒を高める。そのとき、後方から巨大な魔力の反応を感じた。俺はすぐさま振り返り、接近する魔力を切り裂く。


「やっと来たか。」


 俺は創造神の方へと向き直る。そこには創造神ともう1人の天使がいた。白髪で金色の瞳をもつ少女がいた。木々が折れ、荒野のようへと変貌した世界の中でも美しく見える彼女は見覚えのある存在だった。俺は彼女に会いたかった。しかし、今この場では会いたくなかった。


「ミカ。」


 金色の瞳がただ俺を見つめていた。











ミカエル再び。

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