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気がついたら魔神でした  作者: ヴァル原
第6章 世界大戦編
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気がついたら殴られてました

久しぶりの投稿なのにも関わらず話が殆ど進んでません。月曜日にもう1話投稿するので許してください。

 イヅナが創造神を追いかけ、円卓室を後にすると悪魔たちは行動を始める。


「それでは私たちは天使長たちの相手をするとしましょう。」


「何故、貴様が仕切る。」


 当たり前のように仕切り始めたアスモデウスにルシファーはそう言うが、アスモデウスは何を言うかと反論する。


「イヅナ様の恋人である私は貴方よりも立場は上に決まってるじゃ無いですか。」


「…………。」


「むーむー(ルシファー、諦めて)。」


 余りに理解できない発言にルシファーは言葉を失う。


「では、続けますよ。先ほども言った通り天使長たちの相手は私たち6人でします。」


 そう言い、アスモデウスは集まった悪魔たちを見渡す。


「全く、貴様は。」


 雪のように白い髪に底の見えぬ黒い瞳と漆黒の翼をもつ。悪魔たちの王にして神への反逆者であるこの男こそ、『傲慢、憤怒之神』を所持する悪魔“サタン・ルシファー”だ。


「むむー(まあ、私たちがやるしか無い)。」


 短めの紫色の髪に魔法陣が刻まれたマスクをした少女。『暴食』を所持する悪魔“ベルゼブ”だ。


「どうでも良いが強い奴とは戦えんだろうなあ?」


 その男は丸太のように太い腕を組む。その巨体は見るものを畏怖させる。『強欲之神』を所持する悪魔“マモン”。


「早く終わらせ……て。」


 床に横になり、ピクリとも動かないこの男。伸びに伸びた緑の髪とその細い体からは覇気は感じられない。しかし、この男もまた悪魔。『怠惰之神』を所持する“ベルフェルである。


「良いわよねえあんたは。一日中、ごろごろしてるだけでしょ?私なんて、一体どれだけの仕事をルシファーに押し付けられたと思って。」


 横になるベルフェルを恨めしそうに見つめる女性。青く長い髪はベルフェルの物とは違く、艶のあり光っているかのようにも見える。『嫉妬之神』を所持するレヴィである。


「そして、私アスモデウスです!」


「急にどうしたんだい?」


 突然、意味のわからぬことを言い出したアスモデウスにルネはそう聞くが、勿論いつものように無視され話は進む。


「まず天使長たちの居場所ですが……もう近くまで来てるみたいですね。いくつかの大きい魔力の反応があります。それと向こうの方々は雑魚兵も連れて来たみたいですね。まあ、そこはルネにやらせるとしましょう。」


「わ、わかったよ。」


 ルネの体が少し震える。何度か戦いや試練を乗り越えて来たルネだが、今回の戦いは今までの物とは違うことくらい分かっている。だからこそ、震えてしまう。ルネは成長した。しかし、未熟だ。

 自分の力がどれ程通用するかも分からない状態で敵と相対する。恐怖しないわけが無いのだ。


「ルネ、まさか…。」


「大丈夫さ。」


 見かねたアスモデウスがルネに言葉を掛けようとしたが、その必要は無かった。


「もう、あの頃とは違うからね。」


「…そうですか。じゃあ、頑張って下さい。」


 未熟なままだ。でも、弱いままでは無い。力がないままではない。そして、何より今のルネには強い覚悟がある。

 心を引き締めたルネ。いつの間にか震えも止まっている。


「ふん、まあ、精々足を引っ張らんことだな。」


「努力するよ。」


 ルシファーはルネに背を向け、イヅナが天井に開けた穴から出て行った。他の悪魔たちも次々と円卓室を後にしていく。


「ルネ、私たちも行きますよ。」


「ああ、そうだね。」


「むー(頑張ろう)。」


「ま、待ってください。」


 ルネたちもルシファーたちを追いかけようとするが、突然かけられた声に動きが止まる。


「わ、私たちはどうすれば。」


 巫女は気絶している勇者たちの側に座っていた。先ほど『神体憑依』を使用した為、体力が残っていないのだろう。顔は悪く、イヅナに降ろされた位置から一歩も動いていない。だが、アスモデウスはそんな巫女にも容赦はない。


「子供じゃないんですから、そのくらい自分で考えてください。私は忙しいんです。」


「え…。」


 予想外の対応に巫女は唖然とする。


「と言うか、あなた創造神側の人間じゃないんですか?何よりイヅナ様にお姫様抱っこされてましたよね?羨ましい!そんな人にあれこれと教えませんよ!」


「だいぶ私情が絡んでいるね。」


「で、ですが…。」


 巫女は顔を赤くし、モジモジする。


「あ、あの人はその、私を助けましたし。な、何よりかっこ……よかったですし…お、お姫様抱っこも…。」


 巫女に向かって走り出したアスモデウスをルネが何とか抑える。


「きい〜〜!!!何ですか、あなたは!自慢ですか?自慢ですね?恋する乙女みたいな顔して!私だってお姫様抱っこくらい!それに…むががが!」


 ルネはアスモデウスの口を押さえ、代わりに巫女に答えた。


「すまないね。彼女はイヅナくんのことが好きでね。彼に関係することなるとこうなってしまうんだよ。それと君がどうすれば良いか、だったかい?」


「むががが!!!」


「はい。」


「君はそこにいるのが…。」


「むがが!!!」


「安全だよ。さっきイヅナくんが…。」


「むごごご!!!」


「そこに結界を張っていったからね。余程のことがない限りは大丈夫さ。」


「わ、わかりました。」


「そうかい。じゃあ、僕たちも…。」


「むぎぎきぎぎ!!!!」


「ア、アスモデウスさん。もう少し静かに…は無理だね。」


 ルネはアスモデウスの口から手を離す。それと同時に不思議なことが起こった。


「あれ?」


 ルネは宙をまっていた。それに何故か顎に痛みを感じる。地面に落ちて空を見上げる体勢になり、ルネは理解した。


「よ、容赦ないね。」


 自分がアスモデウスに殴られたことを。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「案外綺麗に飛びましたね。」


 アスモデウスは新たに天井に開いた穴を見て、満足そうに言う。巫女は先程まで確かにそこにいた筈の者が突然消えたことに驚く。が、やはりアスモデウスにとってそんな事はどうでも良い。巫女の様子に構わず口を開く。


「良いですか!イヅナ様は……ちっ!折角イヅナ様が誰のものなのか教えようと思ったんですが。来ちゃいましたか。」


「え?」


「敵ですよ!全く。」


 アスモデウスは巫女に背を向ける。


「後でたっぷりと話がありますから。」


 それだけ言い残すと円卓室を後にした。


「……せ、せめて回復だけでも。」


 残された巫女は1人勇者たちの回復に専念するのであった。










巫女は創造神が決して人の味方出ないことに気づいています。それについての話もまた書きます。

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