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気がついたら魔神でした  作者: ヴァル原
第5章 教師編
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気がついたら魔法陣でした

とても短いですが、キリが良いのでここまでにします。

その代わり次回は木曜日に投稿します。あ、もちろん日曜日にも投稿しますのでご安心を。

「ジエルさん、作品名に『睦月』が使われているものはありますか?」


「はい、あります。しかし、探すならそれ以外のものが良いかと。」


「どういう事ですか?」


 図書室についた中島は『暦』を頼りに書物の中から探そうと考えた。その為、作品名に『睦月』など旧暦が記されているものを探そうとしたのだが、ジエルはそれを止める。


「中島様、日記には手掛かりがあったと仰られました。『暦』『探してくれ』『誰にも頼らず』『この世界の真実を知った』。これが1050日目に書かれていたことです。そして、次のページには『刻んだ』『それを頼りに押せ』『頼む』と書かれていました。」


「はい、その通りです。」


 中島がそう答えるとジエルはじーっと中島を見つめた。


「な、何ですか?」


「まだわかりませんか?」


「……す、すみません。」


 寝不足ということもあり、中島の頭の回転はいつもよりも悪く、ジエルが何を言いたいのか、自分が何を見落としているのか、なかなか気づくことができない。

 痺れを切らしたジエルはため息をすると、説明を始めた。


「中島様、この日記を書いたダイチ・ツキヤマ様は『暦』を頼りに探せとここに書きました。そして、その次の日に『刻んだ』と書いておられます。つまり、1050日目にはまだ手掛かりとなる『暦』存在していなかった。1051日目に刻んだ、ということです。」


「成る程。」


 ようやく中島は理解する。


「ただ、ダイチ様が物を創造する能力などを持っていた場合、話は変わりますが、剣の鍛錬をし、実戦でも剣を使用していたのであればその可能性としては低いです。

 物を創造する能力であれば、わざわざ剣を持たせるようなことはせず、前線の支援をする為の訓練などを受けるはずです。しかし、日記には剣や魔法の訓練をしたと記されており、300日以上が経過してもそのスタイルが変わっていない以上、ほぼそうだと確信して良いかと思います。」


 ジエルが言いたいことは何とか理解できた。しかし、ではどうすれば良いのか?

 頭を抱えている中島にジエルは1つの提案をする。


「まず本から探すことには賛成です。ただ、作品名に着眼するのではなく、本の何処かに『暦』が記されていないか、それを探すべきかと。」


「そうですね。わかりました。その案でいきましょう。」


「ではこちらに。」


 ジエルはそう言って中島を手招く。

 何故、ジエルがそう言った行動に出たのか。こちらから探した方が効率が良い、間違えて同じものを2度調べなように。中島は色々な可能性を考えながら、ジエルの後を追った。


「確か……あ、これですね。」


 ジエルはそう言って1つの本を指差した。

 まさか、とは思ったものの中島は確認のためジエルに聞いた。


「ジ、ジエルさん。まさか、その本に『睦月』と刻まれているんですか?」


「いえ、『睦月』とは刻まれていません。ただ、この図書室には『睦』『如』など『暦』の最初の一文字が刻まれている本が全てで12冊あります。その為、これらが最もダイチ様が残した手掛かりである可能性が高いのではと思いまして。……中島様?どうなされました?」


 呆然とする中島にジエルは声をかけるが、中島は反応できない。


「大丈夫でしょうか。」


「だ、大丈夫です。その少し驚いてしまっただけで。そ、それよりもこの本のことです。」


 話題を変える。


「次は『押せ』でしたね。と言うことはこの本を……。」


 中島はジエルが示した本に右手を押し、少しずつ力を込める。すると、本はゆっくりと本棚の奥へと入っていく。そして、本はそのまま本棚の奥へと消えていった。

 あまりに地味なその様子をみて中島は本当にこれで良いのかと思うが、他にできることがない以上、続けるしかない。


「ジエルさん次へ。」


「はい。ではこちらへ。」


 その後も中島は『如』『弥』『卯』『皐』『水』『文』『葉』『長』『神』『霜』と刻まれた本を見つけは押すの作業を繰り返した。残るは『師』が刻まれた本を残すのみとなった。


「ジエルさん、もしも何かあったら私を置いて逃げてください。」


「いえ、私は中島様の専属メイドゆえ、そのような真似はできません。」


「で、でも。」


「何を言おうと私の意思は変わりません。諦めてください。」


「……わかりました。」


 ジエルの覚悟は変わらないと中島は理解した。だが、それでも中島には譲れないものがあった。

 もしものときは自分を身代わりにしてでも。中島も覚悟を決める。


「では押します。」


 中島は最後の『師』が刻まれた本を押した。その瞬間だった。図書室の床一面に魔法陣が広がった。

 その光景を見た中島はあの日のことを思い出した。そう、この世界に来ることとなったあの日を。気がつけば中島の体は動き、ジエルを抱きしめていた。何処へ転移するかはわからない。しかし、無理に魔法陣の外へ出してしまえば飯綱のように転移に失敗してしまうかもしれない。ならばせめて離れないように。

 魔法陣が発する光は次第に強くなり、中島たちを包み込む。

 光が収まったとき、そこに2人の姿はなかった。



最近思ったこと。

総合評価の伸びが良くなってきている。

嬉しいです。ありがとうございます。


教師編はあと2、3話で終わる予定です。そしたらまた主人公たちに戻って、物語も終わりに近づいて行きます。


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