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気がついたら魔神でした  作者: ヴァル原
第4章 デミア大陸編
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気がついたら部屋へ向かってました

短めです。次回は恐らく日曜日に投稿します。

もう皆慣れてしまった部屋に、見慣れた玉座に座るラフィーエ。俺はこの景色に見慣れてしまった。勇者の中にも同じような者もいるだろう。ただ、ラフィーエの存在感と場の雰囲気に圧倒され、まだ緊張している者もいるのも確かだ。


「全員揃ったか?」


ラフィーエは俺たちを見て確認をする。何人かの勇者たちが頷き、今後についての説明が始まった。


「まず、幾多もの困難を乗り越え、【聖剣エクスカリバー】を除く全ての【聖剣】をよくぞ集めてくれた。これは妾はだけの言葉ではない。各国の王たちも言っておったぞ。」


それを聞き勇者たちは顔を綻ばせる。褒められれば嬉しい。当たり前だ。


「じゃが、だからと言うて気を抜くでないぞ。魔神との戦いはこれからなのじゃからな。」


魔神との戦い。この世界に呼ばれた理由だ。だが、その戦おうとしている魔神は俺のことであり、敵対の意思はない。どうにかしてそのことを伝えたえ、創造神との戦いに持ち込みたいが、そう上手くはいかないだろう。何より、その創造神の介入が間違いなくある。俺としてはその介入を使い、真実を世界中の人々に伝えたいのだが。

俺が思考を巡らせているなか、ラフィーエは話を続ける。


「して、これからのことじゃが、1週間後に各国の国王を集め、世界会議なるものを行うこととなった。そこで、魔神との戦いに向けた最終確認を行う。また、その場には“巫女”を呼ぶこととなっておる。」


ラフィーエがそう言うと、颯太が挙手をし、質問をする。


「その“巫女”と言うのは一体何者なんですか?」


「そうか。お主らは知らぬのか。“巫女”と言うのは厳しい修行を耐え、『神体憑依』のスキルを習得した女子のことを言う。『神体憑依』はその名の通り、己の体に神を憑依させるものじゃ。口にだけ憑依させれば、神の声を聞くことができ、全身に憑依させれば少しの間じゃが、この世界に神を降臨させることが出来る。そして、今回の世界会議で巫女を呼ぶのは『神体憑依』を使い、神に魔神の居場所を聞こうと言うわけじゃ。」


「しかし、その神は魔神の場所を知っているんですか?」


「わからぬ。じゃが、以前に魔神が身を潜めてしまったときは見事その場所を言い当てていたとのことじゃ。だから、恐らく今回も大丈夫じゃろう。」


それを聞き、動悸がする(ような気がした)。世界会議には恐らく俺も参加することになるだろう。今までの功績や勇者たちの関係があり、何より戦力的にも俺やアスモデウスたちは重宝される。それは別に良い。

だが、巫女が呼ばれると言うことはその場、もしくは事前に『神体憑依』を使用するはずだ。つまり、俺の正体がバレる。俺は今まで世界中を旅してきた。極力、力を抑え、創造神にバレないよう行動してきたが、それには限界がある。創造神はその名の通り神だ。少しでも俺が力の片鱗を見せれば十分に気づく。そして、創造神は恐らく俺に気づいている。

つまり、巫女が『神体憑依』を使用すれば、世界会議の場で創造神は俺が魔神(邪神)だと言う。そして、俺は世界の敵だ。

だが、俺はそれを事前に防ぐことはしない。したところで創造神の介入が加われば結果は変わらないとかそう言う理由ではない。これは創造神を倒すために、必要なことだ。

シヴァの為に俺は創造神を倒す。奴の積み上げてきた全てを壊して。

俺は戦いは目前なのだと理解する。そして、改めて決意をする。

颯太は質問を続ける。


「それでその世界会議はどこで行われるんですか?」


「それはこれから話す。世界会議は各国の王が集まる。その為、出来る限りどの大陸からも移動が容易いところを選択した。」


「どの大陸からも?そんな場所があるんですか?」


「ああ、あるとも。ただ、このデミア大陸からだけは直接移動することは出来ぬがのう。ただ、転移で移動が可能な、サモン大陸からは容易くいけるぞ。お主らも行ったこと、いや、通ったことのある場所じゃよ。」


通ったことのある場所。それだけで俺は直ぐに何処かわかった。思い出深い場所だ。そして、それが本当ならば彼女にもあえるかも知れない。


「世界会議が行われる場所、それはカラドボルグ魔法学園じゃ。」


ラフィーエがその名を言い、ようやく気づいたアスモデウスが嬉しそうに俺に言う。


「魔法学園ですよ!イヅナ様!また、皆に会えますね。」


「そうだな。ルネも久々に友人に会えるんじゃないか?」


「そうだね。親友とまでは行かなくともそれなりに話す友人はいたし、少し会ってはみたいかな。」


「まあ、ルネはどうでも良いですよ。」


「最近、少し扱いが良くなってきたと思っていたのだけど、勘違いだっのかな?」


「(アスモデウス相手なら)よくある事だ。」


「そ、そうだね(アスモデウスさん相手なら)。」


俺たちはそんなことを話していたが、勇者たちもあまり日は経っていないが懐かしいなどと口を揃えて言っている。だが、そう感じられるほどに学園を離れてからの体験は壮絶なものだったのだろう。


「出発は明日の朝で構わぬか?」


颯太が勇者たちに確認をとる。全員、問題ないと首を縦に振る。


「大丈夫です。」


「そうか。では、出発は予定通り明日の朝じゃ、準備は就寝前にしておくのじゃぞ。それと、イヅナよ。」


「何だ?」


「妾の部屋に来い。少し話がある。」


「了解した。」


俺も夜都“デリン”を離れる前に少し話をしたいとは思っていた。あの騒動の後、ラフィーエは忙しくその機会が無かったのだ。隣でアスモデウスが駄目だと叫んでいるが、ここは我慢してもらう。


「よし、ではこれで話は終わりじゃ。」


こうして部屋を後にし、俺はラフィーエの部屋へと向かうのであった。











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