お休み明けの事
「お元気してたー?」
GW明け早々、遅刻ギリギリの時間で席に着いたあたしにへらへらとしながら手を振ってくれる同級生がいました。実香奈です。
「ひじょーに溶けてたけど元気にはしてたかな」
あたしのてきとうな返事に実香奈は、あーやっぱり? といった顔で
「やっぱりー? 芽羽ちゃんって何かしてるとこちょっと想像つかないんだよねー」
無遠慮すぎる発言を飛ばしてきました。ふむ、これはさすがに怒ってもいい気がします。
とはいえ全く同意でしたのでここは素直に頷いておきましょう。見栄を張って、街に出て遊んだし! とか言っても全く……自分自身で全く想像できないのは如何なものでしょう?
ということで全く想像のつきそうな質問の主に女子高生らしいGWの過ごし方を教えて貰うことにしました。
「そういう実香奈は何してたの?」
なんだか、ちょっと拗ねた人みたいな言葉になってますが気のせいでしょう。
「えー? 私は街で遊んだり山行ったり親戚の家に行ったりとかかなー?」
「え? そんなに時間あったっけ?」
驚きました。同じ時間を過ごしているはずの同じ人間であるはずなのに、そんなにあちこち行くなんて可能なのでしょうか? もしかして、この目の前の同級生は人間という殻を被った……。え、もしかしてこれが普通なのでしょうか? ふむ、あたし一人の基準で決定を下すにはやや荷が重いようです。
「ちょっとタンマ」
ここはいいんちょーに話を聞いて見るべきでしょう。席を立つと実香奈が、え? 何か変なこと言った? とか首を傾げていますが、とりあえず後回しです。後ろからこっちを見る視線を感じますがスルーです。
「いいんちょー、ゴールデンウィーク何してたの?」
ぱっ! と控えめながら嬉しそうな顔をこちらに向けてくれるいいんちょー。え、何この子……超かわいい、ってそうじゃない。
いいんちょーがしっかりと答えてくれます。そう、非常に健気に頑張って
「えっと、ねっ。おじいちゃんの、家に……行ったりとかしてっ! あとは家族で映画とか、買い物とかっ……。あっ。雪沢さんは何してたのっ?」
頑張って、あれ? 結構色々行っている気配です。それに周囲の気配からするにこれでも少ない方のようなものを感じます。えー、そんな、芽羽ちゃんが何してたのか気になるかな……! って顔しないで欲しいです。だって、えっとですね? んーと、別にいい気がしてきました。
「えー、あたしはしっかり休んでたよ。そういえばいいんちょーと連絡先交換してなかったよね! せっかくだからまた今度どこか遊ばない?」
「えっ! うん! ちょっと待ってね!」
急いでケータイを取り出すいいんちょー。すみません……こんな逃げるために連絡先交換だなんて
ことをしてしまって。
ああ、しかしこれでいいんちょーと休みの日に遊べると思うと結構いいことですね。非常に面白そうです。確かに、これなら休みの日に外出するのも悪くないですね。
こうしていいんちょーと連絡先を交換したところで予鈴がなったのでひとまず退散です。たまには学校にも早く来るべきでしょうか?
そうして席に戻ってきたあたしを待っている人がいました。
そういえば話の途中でしたね。なんだかニヤニヤしてるので戻りたくなくなってきました。
「芽羽ちゃんはやっぱりもうちょっと行動しないとね? 私ともメアド交換しよ!」
気がつくと手に持っていたケータイが無くなってました。
時代反映しないといけないと感じました。