最初の恒例行事です、前編
四月十四日、火曜日です。
始業式も終わり、週を跨いで配布物をてんやわんやと貰って一段落。そんな四度目の登校日のことです。もう多くなって来たから何度目とか言うのも難しいですね。余談でした。
ちなみに昨日は保志さんとお話しできました。高校で初めてのお友達が出来る話ですので飛ばすのももったいないでしょうか。手短に振り返ってみます。
「教材受け取りの場所ってどこでしたっけ?」
とあたしが質問していきます。実際わかりません。先生ー、説明早いですー。無言の講義です、もちろん届きません。
「えっと……多分体育館にいく途中にあった、多目的室だとお、思います……っ」
精一杯な説明、なんとも健気な可愛さ……人見知りなのに初めての人に声をかけられて緊張しているのに精一杯受け答えをしようとする姿勢……これは絶対モテますよ。これを放っておく男は目がスポンジですね。
「ありがとうございます、えっと、あたしは雪沢芽羽です。これからよろしくお願いしますね」
「こ、こちらこそっ、よろしくお願いします……! えっと、保志、由実です……っ」
そうです、あたしは行動力に乏しいですが、一度始めると惰性でそれとなく出来ちゃうのです。といってもちょっと見栄も混じってますけれども。内心こんな感じですが、客観的に見ると人見知りの大人しい少女といった感じです。ええ、すごい人見知りです。
だから近い雰囲気ですのでそれとなく声をかけれたような気がします。昨日の葛藤は忘れてください。
えー、あとは流れですね。思ったより長くなってしまった。
えーとですね、今日は委員会決めです。クラスの約三割が何かしらしないといけない、それに選ばれる勇者及び犠牲者を決める日ですね。
まずは委員長、やたら声が大きく口調が早い熱血の竹下先生がいいます。
「だれか委員長をやりたいやつはいないか? 委員長をやるといい経験がたくさん積めるぞ」
あぁ、担任変わらないかな。
もちろん誰も手を挙げません。こんなのに手を挙げる人なんてそうそういるもんじゃありません。
「委員長を出来る人って言うのはすごいんだからな、やってみて損は無いぞ」
熱血というかば、少し頭が弱いのでしょうか。けれども高校教師なくらいですしそんなにバカじゃない……と願います。
約十分経過、あぁ……これでは
「んー、そうか……。じゃあすまんが先生が選ぶぞ。最初だから、まあ難しい事も無い」
成績最優秀男女一名ずつが選ばれるという構図になってしまいました。
「保志、岡田。すまんが半年よろしく頼む」
保志!? 保志さんが委員長になってしまいました。難しい本を読んでいる人は賢いというのは事実だったのですね。これからは委員長と呼びましょうか、あたしは全然ありだと思います。
そして盛大な拍手。ここだけはクラスが一丸になります。薄情な……人の事は言えませんね。
「いいんちょっ、よろしくな! なら隣のお前も何か入らないとな!」
「?」
保志さんことはびっくりして顔をこくこく動かしています。かわいい。じゃないですね。
保志さんの前の席の男子、あたしの左前の男子がなんか調子良く調子良い事を言っています。あたしを見ながら。
長くなったので次はまた後日に書きましょうか。疲れました。