始業式ですよ
始業式です。始業式でした。
入学式から一休み終えた今日、二日目の高校生活です。
迷い無く教室に入ると、教室では既に出来つつあるグループで皆わいわいと話をしていました。その中でも多めの人数が集まっているグループに入学式に出会った早波さんが入っています。すごく楽しそうで元気一杯なグループです、スルーですね。
初めてあったときから馴れ馴れしい子だったので、また気が向いた時にでも話し掛けてくるでしょう。どうせ同じクラスですから急ぐ必要もありません。
ひとまずは自席に座り、クラスを眺めて、思考停止。する事がありません、明日からは本でも持ってきましょうか。
——とただ眺めてるだけだと流石に人生四度きりの新入生としてもったいないかもしれません。いえ、私にも人並みくらい……には期待に胸を膨らませているんですよ? ただちょっとアクションする体力がないだけで。
ふむふむ、前の席は男子で山崎くん。今はいませんが入学式で見た印象では大人しそうな真面目くんですね。万が一のときは彼にノートを見せてもらって……、なら声をかけておくべきでしょうか?
左となり……あぁ。ちなみにあたしの席は一番後ろの右端、廊下側にあたる場所だったりします。雪沢なのでこのクラスでは珍しく出席番号が最後です。いや、大抵吉田とかヨシなんちゃらとかいますよね、いるはずです。
で、左となりは私と同じように既に座って……こちらは既に読書を始めています。抜かり無いですね、きっと真面目に宿題をやると思われるのでこちらに声をかける方が無難な気がします。大人しそうな文学少女、ショートカットで顔は悪くない、むしろいい部類に入ると思うのですが全く目立たないので話題に上がらない女子、そんな感じです。知的なメガネがあたしの中で高ポイントです!
なんと話しましょうか。パッと見た感じだとちょっと難しそうな本のようです。やめておきましょう、たぶん話が続かない。あたしは推理小説を推理せずに読むような人種なのです。きっとやめた方がいいでしょう。ちなみに名前は保志由実さんです。思わずフルネームで呼んでしまいそうな名前です。
なにを話しましょう、何を話しましょう。あぁ、そうですね。
今後そういう機会もあるでしょう、もうすぐホームルームなのでトイレでも済ませておきましょうか。あたしのやる気は雀の涙なのです。