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桜散る、思い出
桜が死んだ。
碁会所に行こうとしたとき、車に跳ねられたらしい。
昨日まで、一緒に碁、打ってたのにな……
今日も碁会所で会おうって、約束したのにな……
『また明日、対局してください!』
これが、あたしの聞いた桜の最後の言葉。
まさかあの碁が最後になるなんてな……
碁盤に石を並べながら、桜――小袿桜に碁を教えたときを思い出していた。
あのときあたしらはまだ12だった。
『茜ー!なにやってるのー?』
『囲碁の勉強!桜もするか?』
『いご?おもしろそう!桜にも囲碁教えて!』
『いいぜ、まずはだな……』