最終話:炎のカニ最終決戦後編
焔が燃えていた。預言カニのワームホールに流れ込んできた焔は、ワームホール自身とぶつかり、エネルギーの奔流を起こしていた。ぶつかり合うエネルギー。それはワームホールを大きく変調させ、そしてつまり安定なワームホールは不安定なワームホールへと変わる。
サザンクロスは既にリフレクター盤の調整を終えていて、カニレイスを押さえつけるべく量子放射を起こすが、何の意味もなかった。
「ははは。カニレイスは贈り物をたわまったようだ」
能力でザードを拘束したまま、ロストが言う。
「お前のクルーだ。今の私の力を見せてあげよう」
ロストがそういうなり、いきなり宇宙船サザンクロスはバランスを崩し空間をぐるぐると旋回し始めた。そして更に。
「分解しろ!」
ロストは念を強める。しかし、そうはいかなかった。カニレイスを復活させた量子放射と同じ種類の量子的フィールドをまとうことで間一髪ロストの超能力を防いだのだった。これはワイズマンの発案だった。
「コンピュータ、自縛シークエンス起動。承認コードザードアルファナイン」
一瞬の隙をつきザードはシャトルの自爆をセットする。
「無駄だ。今の私は宇宙空間でも生存できる。私はカニレイスそのものなのだ」
無慈悲に宣言するロスト。
『自爆まで後1分』コンピュータの機械音が響いた。
「じゃあどうしろっていうんです!」
ザードは預言カニの空間に巻き込まれた。ここは太陽の間近の衛星だった。
「カニレイスは時空そのもの。時空の狭間に沈めるしかない」
「時空の狭間…そういうことか!」
気がつくとザードはサザンクロスの中にいた。
「間一髪でしたね。しかし、あいつは宇宙空間でも生きられるとか」
「ワームホールを閉じるぞ」
「えっ」
「ここは時空間に開いたいわば通常なら存在しない領域だ。この狭間を内側から開けることは出来ない」
「なるほど」
ワイズマンは拍手する。
「そして我々は犠牲になる。これを内側から閉じることによって」
「……」
ザードは沈黙した。しかし、全員の答は一緒だった。今のロストを世に解き放つわけにはいかないのだ。
ロストはもはや抵抗するすべを持っていなかった。ザードたちは最後の調整を済ませ、フェイザー砲を空間の特異点、つまりワームホールの出口に向けて発射した。
空間を構成する場そのものが励起し、その結果としてワームホールはその構造を維持できなくなる。こうしてワームホールは内側から閉鎖された。
「さてと、ロスト総督。私達はこうやってここで仲良くやって行きましょう」
言った瞬間、ザードたちは通常空間を漂っていた。
「これは預言カニが?」
「そうかもしれません」ワイズマンが言う。
「そうだとしたら何故?」
「さあ…奇跡ということでしょうか」
「何だかしょっぱいな」
「いいじゃないですか艦長! 帰ってこれたんですから!」クリムは笑顔だ。
「進路を宇宙ステーションへ。我々はこれより帰還する!」
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
この作品、現在書いている某作品があまりにもシリアスすぎるので息抜きに書いてみたコメディなのですがお楽しみいただけましたでしょうか。
ええ、随所に手抜きが見られるのは分かります。勘弁して下さい。
それでも感想等いただけるなら嬉しいです




